第百六十二話 幕切れ
――クインズコート ――闘賭博決勝
カームの正体は、紫夜雨時朗だった。気づかれていないと思われていたロキの正体もジャネクサスに割れていた。レイチェルの力を見定め切れていないジャネクサスは当初、ロキを連れ去ったレイチェルの奇行を深追いする気は無かった。しかし、闘賭博のグレードⅠに出場を果たすほど力をつけたロキに明らかな力の向上を感じ、レイチェルにロキを使った反逆の可能性を嫌疑していた。
――
「あ……、くっ!! お前ぇ!!」
「……感触が浅いか……。やむなし」
そう呟くと、ロキの顎に膝蹴りを喰らわす時朗。その衝撃で意識を失うロキ。そして時朗はロキを抱えると、自らの影の中に消えるように姿を消した。
「……あ、あの~、えーー、りょ、両者行方不明につき、この試合はドローです!」
そこに、レイチェルが現れる。なんと、レイチェルは生きていた。
「ちっ……わしとした事が……。おい、そこの!」
「え?……わ、私ですか?」
「決勝の二人は何処に行った?」
「あ……、えーーとぉ……消えました。ていうか、あなた! 闘士以外が侵入するのは違反です!」
「黙れ!!」
「ひいぃぃ!!」
ブーブー……
「おい!! なんなんだ! この試合はよぉ!!」
「バッキャーロー!! 払い戻しだけじゃ許さんぞ!! 時間返せや!!」
観客からも割れんばかりのブーイングやゴミの投げ入れの嵐……
「ちょちょ……みなさまっ……いたっ! お、落ち着いてくださぁぁぁーーーい! (ひえぇぇ~~~ん、私何にも悪くないのにぃぃ~~~。だ、誰か~~~たしゅけてぇぇ~~――)」
「どぅわまぁるぇぇぇーーー、あほんだらどもーーーー!!!!」
ぶち切れたレイチェルが殺気を放ち叫ぶ。
……シーン――
「(か、神ぃぃ~~)」
そしてレイチェルは消え去った。
「え? あ? か、神様~、私も連れてって~(え~ん、この場から消えたいよ~)」
――最果ての孤島 ――監獄島 バッドエンド
「……ううっ……、はっ!! ここは!?」
「目覚めたか」
「お前!! よくもレイチェルさんを!! ムカつくババアだったけど……、ムカつくババアだったけどさ……。でも、あんな最後は……」
「案ずるな。師は生きている。良くて暗殺と言ったが我に師を殺める程の力はまだ無かった……。故に主を連れてきた」
「え……? 生きてる? ……よかった……。ちょっと待て。師って言ってたけど、どういう事だ?」
「言葉の通りだ。かつて指南を受けた」
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