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第百六十話  正義の為に

 血まみれのロキ、そのままカルラに歩み寄り手を差し伸ばす。


「へへっ! いい試合だった」


「……ふふっ! 手を抜いていてよく言いますね」


「ごめん……バレてたか」


「いえ……、それでも、戦いを終えてこんなに清々しい気持ちは初めてです。……私今、楽しいと感じています。……感情など無いので不思議なんですけどね」


「へへ、それだ! その顔!……だけど戦いだけが全てじゃない。いつかお前やその仲間たちがもっと自由にいろんな事を楽しめるようにしてみせる。だからもう仲間を殺したりしなくていい」


「……あなた。……不思議な方ですね」


 戦闘特化型のカルラの口元が自然と綻んだ。



 ――控室……


「たわけか。相手のペースに合わせてこんなにダメージを負いおって……」


「大丈夫です。致命傷は受けてませんから、次の試合までにはほとんど回復します」


「それだけじゃないわ。盛大に流導など使いおって。お前はわしの弟子として出場しておるんじゃぞ? 吾郎の技を使うなど違和感しかないじゃろ?……政府に感づかれては、わしの面倒も増える。どうしてくれるんじゃ?」


「ていうか闘賭博に出ろって言ったのレイチェルさんですよね? 面倒になるなら、こんな公の場に俺を巻き込まないでくださいよ!……そもそもなんで金なんかいるんですか? 育成師の稼ぎ、ありますよね?」


「なんじゃ、その言い草は! お前にわしの懐事情をとやかく言われる筋合いは無いわ! それにお前も腕試しができると乗り気じゃったじゃろうが!」


「そ、それは……そうですけど」


「はい、論破じゃ」


「くうぅぅ~、ババアー……」


「帰ったらこっぴどく扱いてやる。命は無いものと思え」


「そ、そんなー、分かりました。流導無しで優勝したら許してください!」


「初めからそうせよ」


「は、……はい」


 そして、二時間後、ロキの準決勝の試合が行われた。相手はカルラと同じく戦闘特化型の選手だった。流導を封じたロキは、一回戦とはまた別の戦法で会場を魅了した。完全に空間を支配仕切り流布で相手の攻撃を見極め、突き入る隙も与えぬまま一方的にダメージを与え完封した。しかし、ここまで勝ち上がってきた兵相手では流石のロキも一撃必殺という訳にもいかず、力を大いに振るい消耗した。


 そして、もう一方の準決勝を勝ち上がったのは、あのカームだった。



 ――控室 ――決勝前……


「……相当消耗しておるな。だが、タイマンが基本の闘賭博程度で敗北しておっては、政府に乗り込んで相方を助けるなど、無理じゃぞ」


「……わ、分かってます。……とりあえず、まず次の試合です」


「侮れん相手じゃぞ」


「……はい」


「なんじゃ、それだけか? いつもなら、アホみたいに意気込むじゃろ?」


「……俺、あいつを救ってやります」


「……は? 血迷ったか?」


「一回戦で戦ったカルラが言ってたんです。あいつが必要以上に相手を再起不能な状態にするのは、この戦いのループから解放してやってるからなんだって」


「……つまるところは理解できる。百歩譲ってそうだとしよう。……それで?」


「でもそれは、あいつが戦う事以外に知らないから……。ここから抜け出す術を知らないからなんです。もう、これ以上仲間の命を奪わなくてもいいように、今度は俺があいつを解放してやりたいんです」


「……アホじゃな」


「なっ……」


「正義のヒーローを気取りたければ、もう少し力を付けてからにしろ。お前はあやつに負けぬ事だけ考えよ。油断をすれば死ぬぞ。グローサの出場が無い事で少しは分があると思うておったが、恐らくあのカームとやら、まだ力を出し切っておらぬぞ」


「……分かりました。とやかく言うのはまず勝利してからにします」


「当然じゃ」



 ――そして三時間後


 ……決勝が始まった。

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