第百五十七話 闘賭博、再び
そして……
――ニース
「……レイチェルさん、知ってたんですか? ここ俺が参加した闘技場です」
「たまたまじゃ。……そんな事よりお主は今から“R-6”じゃ」
「偽名ですね。了解です」
そしてロキの戦いが幕を開けた。
――闘技場内
ワーワー――
「さあ、皆さまお待たせいたしましたーー!! 本日最初の試合の時間でございまーーす!! それでは、張り切っていきましょう! 一回戦、第一試合! 戦闘特化型R-6選手VS同じく戦闘特化型ドーラ選手! それではぁぁぁ……試合開始!」
開始の合図と同時にドーラがロキに攻撃を仕掛けてきた。
「おぉぉーと、ドーラ選手いきなり仕掛けました! これは凄まじい連撃だぞー! しかし、R-6選手、その連撃を躱しております! これは躱すのが精一杯という事かー! はたまた、余裕をみせているのかー!」
「やれー!! 殺しちまえー!!」
「(はぁー、相変わらず酷い声援だな。……さて、ここらで終わりにしようかな)」
ドっ!!
躱し続けていたロキが、拳を突き出すとドーラが激しく吹き飛んだ。
「おおっーーーと!! R-6選手の破壊力抜群の一撃が炸裂ぅぅーー! どうやら余裕を見せていたようだーーー! ドーラ選手は戦闘不能! これは、強い!! 今回の大本命かー!!」
「うおぉぉーーー!! スゲーぜ、R‐6!!!」
「ふぅーー、とりあえず一回戦突破だ」
その後、二回戦も難なく突破したロキは決勝の舞台に立っていた。二回戦は先手を取り、時間にして2秒で試合は終了。あまりの強さに、決勝でのロキのオッズは1.1倍。あっという間に会場の観客を虜にしていた。
「R-6ぅぅーー!! お前に俺の全財産を継ぎ込んだーー! 負けたら許さんぞー!!」
「R-6ぅぅーー!! 敵の首、跳ね飛ばせー!! 面白いもん見せてくれー!!」
「(あー、どいつもこいつも勝手な事言ってさー。ていうか、改めてホントにすごい数の観客だよな。この人達にとっては、こんな殺し合いみたいな競技を見たり、賭けたりする事が娯楽なんだな。そう思うと、なんだか虚しいな……)」
そんな事を考えいる内に既に試合は始まっていた。……が、ロキは相手の攻撃を全て無意識で躱している。
そして……
「げふっ……」
ドサっ……
頸椎に手刀で軽く衝撃を与えると相手は倒れた。
「し、……試合終了!! な、なんとR‐6選手、全試合を通して一切攻撃を受ける事無く、しかも一撃で相手を仕留めるという圧倒的な展開で優勝しました!! これは大型ルーキーの誕生だぁぁーー!!」
――大会後……
「たわけ。もう少しうまくやれ。圧倒し過ぎじゃ」
「す、すいません。まずいですかね……?」
「いや、無印の大会程度では大して目立つ事は無かろう。……だが、ハイグレードの大会ではもう少しうまく立ち回れ。適当に苦戦する演技くらいせんと常にオッズ1.1では流石に政府に感づかれる」
「……はい。気を付けます」
その後も各地を点々とし、無印の大会で知名度を上げていくロキ。適度に苦戦するような演出も覚えつつ優勝を重ね、グレードも上がっていき、かつては苦戦したグレードⅢの大会も圧倒的な展開で見事優勝。更にはグレードⅡの大会でもその強さを発揮し、優勝。
そしてついに、この日がやってきた。
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