表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/201

第百五十二話  血の覚醒

「……ハラが減った……。飯じゃー!!!」


「っは!!!……え? ここ、どこ?」


 瞑想を始めて十日後、レイチェルの叫び声でロキが目覚めた。


「寝ぼけた事を抜かすな。ここはわしの家じゃ。はよ飯を作れ! ストックが無くなった」


「え?……あ、そうだ。瞑想……、俺、十日間やり切ったんだ……」


 ぐぅぅぅ……――

 十日間、飲まず食わずでロキもハラが鳴る。


「うっ……、ハラが減って倒れそう……」


 その時、背後から無数の弾丸が飛んできた。

 しかしロキは、それらをまるで息を吸うかの如く無意識に躱した。


「え? 何?……なんか細かい玉が沢山転がってる? これ……俺が今、避けたのか?」


「何をボーッと突っ立ておる。何でもいいから飯を作れ!」


「え?……あ、はい」


 ドタっ……

 歩こうとして倒れるロキ、そのまま起きあげれない。


「あ、あれ? 力が……」


「はぁーーー、まったく情けないヤツじゃのう」



 ――十分後


「ほれ、特別じゃぞ」


 お粥を差し出すレイチェル。


「え? これレイチェルさんが!?」


「あたりまえじゃ。わし以外に誰がおる? 戦闘特化型の弟子たちには飯は作れん」


「はふはふっ……、うまいっ!! ガツガツっ……、おかわり!!」


「たわけっ! 調子に乗るでない! 自分でよそって来い。そんでそれを食ったら、わしの飯を作れ!」


「ふぁい」


 そして……


「ごちそうさまでした。じゃあ、今度は俺がレイチェルさんの飯を……」


 ハラも膨れ台所に向かうロキ。すると四方八方から無数の串がロキの周りを飛び交った。しかしロキは何事も無いかのように台所まで辿り着いた。そしてふいに振り返り、無数の串が壁や床に刺さっている事に驚く。


「えーー!! まただ! さっきも気づいたら床に無数の玉が転がってるし、今度は串がこんなに……。これってレイチェルさんの仕業なんですよね」


「そうじゃ」


「……でもどうして当たらないように……? いつもなら思いっきり狙ってくるじゃないですか」


「わしはいつも通り狙っとるよ。お前が躱しとるんじゃないか」


「は? 俺、避けて無いですよ」


「お前さん、吾郎のところで最初、どんな修行をしたんじゃ?」


「えっと確か、針の穴に……こう……スッと糸を通す。これを歩くように自然に……って感じのをやりました。それができたら血の目覚めが……ってもしかして!」


「ああ、お主、瞑想中も寝ながらわしの攻撃を避けとったよ。それが吾郎の言うところの“流布”じゃ。血が更に活性化した……、といったところかのう」


「え? じゃあ俺、まるで空気を吸うように無意識で攻撃を躱せれてるって事ですか!? すごい! だったらもう無敵じゃないですか!」


「たわけっ!」


 その瞬間、レイチェルが消え、同時に顔面に拳を食らうロキ。


「いっったぁぁ……! ちょっ、いきなり顔面とか……」


「たわけた事を言うからじゃ」


「す、すいません……。え? でも、全く避けられなかった。なんで?」


「あたりまえじゃ。流布は、自動で躱す便利機能ではない。あくまでお主の能力でお主自身が反応しておる。それが、無意識なだけじゃ。つまり、お主の能力を超える速度や力は当然対処仕切れんという事じゃ」


「うっ……、なるほど」


「今の顔面への攻撃もわしの行動を先読みした上で、気を張ってさえいれば、あるいは対処できたかもしれぬな。だが、今のお主の流布では反応しきれん攻撃じゃった」


「そうか。今まで戦闘中は、全てを意識して戦うしかなかったけど、流布を磨いて無意識で対応できる範囲が広がれば余裕を持って戦える」


「そういう事じゃ。だが、今のお主の流布程度では、政府の幹部ら相手では何の役にも立たんじゃろう。まだ基本を身に着けたに過ぎん。それの何処が無敵じゃ。言ってみよ」


「は、恥ずかしいからやめてください! よく分かりましたから!」


「ふん。だったらとっとと飯を作れ! とびきり美味くなけりゃ承知せんぞ、クソガキが」


「はーい、もう……」


「なんじゃ? 文句か?」


「いいえ! めちゃくちゃ美味いの作ります、お姉さま!」

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


もし少しでも、面白い! 続きが読みたい! と思っていただけましたら、


ブックマーク、評価をお願できましたら幸いです。


とても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ