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第百四十一話  レモンタルト

 実戦任務から外されたソフィアの下に残る選択をしたショコラとオランジュ。二人にはソフィアから新たな指令が下された。


「そしたら私に与えられた任、あなた達にも協力してもらいたい。二人にはこれからレンの戦闘指南をお願いするわ」


「分かりました。訓練レベルは如何いたしますか?」


「そうね……。最初の基準値を測る必要はありそうね。……レン、ちょっと私と手合わせをお願いできるかしら?」


「私は生活支援型ですので、戦闘は正当防衛でなければ出来かねますが……」


「そっか。そうだったわね」


 そう言うとソフィアは、レンの耳元で囁いた。その瞬間レンの目は青く変わり、戦闘態勢に入った。


「ち、力が……溢れてくる」


「行くよ、レン!」


 ソフィアはレンの力に合わせて攻撃を仕掛ける。レンはその攻撃を右手で受け止め、自分の間合いを作り、その間合いのまま流れるようにソフィアの背後に周った。


「(へえ、戦闘センスは最初から高いみたい。戦闘スタイルは相変わらず式神吾郎の“流導”ベースなんだ。記憶消されてるはずなのに……、体に染みついてるのかな)」


 背後からレンの左の拳がソフィアを襲う。それを気配だけで察知し後ろを向いたまま片手で受け止めると、そのまま振り返りレンの懐に潜り込むソフィア。


「流導もどき・見様見真似・鑼心撃(らしんげき)!」


 その攻撃で、レンは膝をついた。


「へへっ! こんな感じ? 今度から戦闘スタイルに取り入れてみようかな……って、そうだった。もう私に実戦の機会は無いんだった……」


 そして立ち上がるレン。その目は、赤く戻っている。


「レン、お疲れ。中々いいセンスだよ」


「ありがとうございます」


「ショコラ、オランジュ。レンの訓練レベルは3からね。たぶんついていけるよ」


「はい、分かりました。早速始めますか?」


「ううん。今日のところはこのくらいで。訓練は明日からにしよう」


「了解です。では、俺らはいつものメニューで訓練に入ります」


「うん。じゃあ、明日からレンの特訓宜しくね」


 その後ソフィアはレンと話をしようと一旦待機空間を出た。

 自室に戻ったソフィアはレンの顔を暫くじっと見つめていた。


「……ソフィア様、私の顔に何か?」


「え?」


「先ほどからずっと私の顔を見ておられるので」


「……ねえ、レン。私の事、覚えてる?」


「“覚えている”という表現とは異なりますが、主ジャネクサス・スタードレア―様のご令嬢ソフィア・スタードレア―様という認識はございます」


「……そう。なら、こどおに……ロキって男の事は?」


「ロキ……。認識にもデータにも無い名です。その者が何か?」


「ううん、何でもない」


「……お茶でもお入れいたしましょうか?」


「……うん、ありがと。……あ、そうだ。斑鳩ちゃんに貰ったレモンタルトがまだあるから、食べようか。……それから私の名前、ソフィア・()()()()()()よ。よろしくね」


 そう言ってソフィアは、レンに手を差し出す。


 レンはその手を取り、二人にとって二度目の握手が交された――


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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