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第百三十五話  旅の終着

 ……と、そこにレンと入れ替わるようなタイミングで一人の女性が現れた。


「何だい? 辿ってきた大きな力が消えたねぇ……。ん?」


 何かを発見したような表情を見せる女性。


「む? お前さんは確か……」


 不機嫌そうにロキに歩み寄る。


「ちょっ……」


「いや……そんな事より嬢ちゃんの足じゃな……。どれ……」


 トトニスの怪我を確認した女性は、魔法のような力で血を止め、切断された足を蘇らせた。


「え? あ……足が……。あの……」


「悪いが、そいつは完全とは言い難い。切断の瞬間の情報が無いんでな。あとは、嬢ちゃんの治癒能力でなんとかなるじゃろう」


「あ、ありがとうございます……」


「……さて、どうやら用件も果たせそうも無いし、帰るとするかのう」


 すると斑鳩が女性に放し掛けた。


「待て、ばーさん。何をしに来た?」


「何だい、随分偉くなったもんだね、斑鳩」


「……」


「……ふっ、まあよいわ。報酬の額に納得がいかなくてね、ジャネクサスの奴に直接文句を言いに来たんだよ。引退とか抜かした吾郎のアホのせいでこの何年かはそれだけでも忙しいと言うに、マルクスの坊主まで本業を疎かにしおって。ここまで重荷を負わされて、割に合わんのだよ。あの額じゃあな」


「……」


「……なんだい? 何か言いたそうな顔だね」


「……いや」


「ふん、まあ、報酬の代わりと言ってはなんだが、この二人を頂いてくよ。お前は、後ろで伸びてる部下の手当でもしてやんな。じゃあね」


 そう言い残すと謎の女性は消え去った。


「……ちっ!」



 ――ソートリオール中枢塔最上階


「はぁはぁ……。(パパ、こんなに強かったの?)」


「どうした? もう終わりか?」


「(使いたくなかったけど)……ザ・サファリ!!」


 すさまじい数の動物のこんを体に取り込むソフィア。力が数倍に膨れ上がる。


「……行くよ」


 一瞬で間を詰めるソフィア。先ほどまでとはまるで別人の様なスピードを避け切れず、真面に攻撃を受けたジャネクサスは、激しく吹き飛ばされる。追い打ちを仕掛けるソフィアだが、ジャネクサスが切り返す。初見でスピードを見極め、もう既にソフィアの動きは通用しなくなっている。


「ぐるるるぅぅぅわうぅぅ!!!!」


 やがてソフィアの意識が獣に支配されていく。


「やれやれ……」


 ドスっ!!


 見かねたジャネクサスは、強めの一撃を打ち込んだ。


 その一撃で、一瞬意識を失ったソフィアの体から動物たちの魂が抜ける。


「ごはっごはっ……」


「……終了だ。出し切っただろう」


「……あ……あ……」


「分かっただろう。そんな力ではカルマは殺れん」


「(私では……パパの悲願を叶えられない……私の存在意義……だっさ……)」


「お前には、この任務から外れてもらう。以降、ジュヴェルビークを取り巻く一連の作戦において、一切の戦闘行為を禁ずる」


 言い返す言葉も失ったソフィアは、黙って命令に従った。

 黙ってうなずくと、そのまま部屋へと戻っていった。



 ――


 一連の抗争は、レンの破棄という形で幕を下ろした。


 ジュヴェルビークの防衛後、ソートリオールにカルマが辿り着いたのは、その直後の事だった。

 そこでカルマは、ロキとトトニスを抱えるあの女性に遭遇する。


 今回の政府との抗争は過去に例の無いほどの武力のぶつかり合いになった。その中で多くの仲間が傷つき、挙句、守るべき対象を守り切れなかったカルマは女性の前で憤りを露にする。

 しかし、今できる事をしろと女性に諭されたカルマは、トトニスを託され帰路に就いた。


 一方、女性はロキを預りその場を去った――。


 第二幕 終







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