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第百三十四話  二人旅の末に

 その様子を見た斑鳩(いかるが)は、トトニスの首から刃を下ろし、レンに指示をした。


「……そいつを連れてこちらへ来い。……分かってるとは思うが妙な気を起こせば人質の無事は保証しない」


 指示通り従うレン。


「ダメ!! レンちゃん! 逃げて! 私はもういいから! 二人には未来がある! だから!」


 しかしゆっくり近づくレン。やがて、斑鳩の下に辿り着く。


「トトニスちゃん……。言う事聞けずにごめんね。……でも、それだけは聞けないよ」


「レンちゃん……。ううっ……」


「さあ、トトニスちゃんを放して」


 約束通り、トトニスは解放された……その時、


「斑鳩……、もう終いにしよう」


 ロキの意識が戻った。


「な……!? 斑鳩さん!」


 咄嗟に間に入る新と蛍。


「……いい。どけ」


「しかし……」


「どけと言っているだろう……」


「はっ!」


「……え? ロキ……?(なんか気配が違う?)」


「……私は名乗った覚えは無いが、どこかで会ったか?」


「…………」


「ふん、まあいい。……終いにするとは、何の事だ?」


「“ミルシェの遺志”を蔑ろにするな。そんな事をしても辛いだけだろう」


「っ!! 何だと!? 貴様っ!」


 様子が変わる斑鳩。


「まだ遅くはない。諦めるな」


「黙れ!! 何者だ、名乗れ!」


「……既に気づいているのだろう?」


「そんなはずはない!! 認めんぞっ!!」


 更に歩み寄るロキ。


「い、斑鳩さん! トドメをっ!!」


 危機を感じた新が叫ぶ。


「騒ぐな! 分かっている!」


 しかし、なぜかロキに手が出せない斑鳩。


「っく!!」


 手を差し伸べるロキ。……しかし、次の瞬間力が抜ける。


「……っう!……えっ!?」


 ここまで歩み寄った事に気が付いていないロキ。目の前の斑鳩に驚く。

 その瞬間、斑鳩の体の強張りが解け、刀が抜かれた。


「しまっ……」


 ザシュッ……――


「ぬぅあああぁぁーーー!!!」






 食らったのはトトニスだった。瞬間、ロキを庇った。


「トトニス!!」


「……はぁはぁ……だ、大丈夫、このくらい」


「そんな訳……足が!」


 トトニスは両足を失っていた。


「トトニスちゃーん!!」


 レンも駆け寄る。


「レン!! 止血だけでも早く!! 頼む!!」


 トトニスの足を抑え、何とか出血を抑えるロキ。


「……あ……あ、許さない……許さないーーー!!!!!」


 トトニスの姿に感情が爆発するレン。涙を流し、力が暴走する。


「(この力……護符の力じゃない……)ダメだ!! レン!!」


 しかし、ロキの声は届かない。そのまま斑鳩に攻撃を仕掛けるレン。


「斑鳩さーーーん!!!」


 止めに入る新と蛍だが、全く歯が立たず、一撃で弾き飛ばされる。


「(ばかなっ! これでは、あの時とまるで同じ……)」


 斬撃で対抗する斑鳩。しかし躱され背後を取られる。


「っく!!」


 次の瞬間レンが消えた……。


「……な!?」


 その理由を真っ先に悟ったはトトニスだった。レンの消えた方に手を伸ばす。


「……レ、レンちゃ……ん」


「トトニス、無理するな。……レン! レン! おい、どこだ! 出て来いって!」


「……ロキ君……そうじゃない」


 涙を流すトトニス。


「どういう事だ……?」


「……破棄……だよ……」


「え……? うそ……だろ……」

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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