第百三十三話 潜入! ソートリオール その4
ロキを殺し、レンを強制破棄しようとする新の前に立ち塞がり、ロキを庇うトトニス。しかし、無情にも新の攻撃がトトニスを襲う。
しかしその瞬間ロキの護符から力が溢れ、辺りを包んだ。光の槍は、トトニスに届く事なく砕け散り、やがて護符の力はロキの周囲に集まった。
「す、すごい……。力が溢れてくるようだ……」
「ロ、ロキ……くん?」
「トトニス、無事か?」
「う、うん」
「よし! なら、先を急ごう!」
そしてロキは、そのままトトニスを背負い、再びレンの下へ向かった。
「逃がすかっ!!」
追いかける新。しかし、護符の力を纏ったロキに追いつく事はできず、やがてレンと蛍の下まで辿り着いた。
「レーーーン!!!」
トトニスを背負ったまま蛍を襲撃するロキ。その一撃を真面に受けた蛍は激しく吹き飛んだ。
「ロキ!!」
「レン、大丈夫だったか?」
「うん、なんとか……。それに……、」
「レンちゃん!!」
「トトニスちゃん!!」
再会を果たし、抱き合う二人。
しかし、それも束の間。新が追いついてきた。
「っざけるなぁぁぁーーー!!!」
その追撃をロキが応戦する。新の大振りを躱し、そのまま地面へ叩き落とした。
「(この力があれば、一人ずつなら何とかなりそうだけど、恐らく互角程度。二人相手は厳しいか……)」
「ロキ、今のうちに逃げよう!」
「ああ、元来た所まで行けば、抜け道で一気に外に出られる! 急ごう!」
トトニスをレンに託し、応戦する事も考えたが、分が悪いと踏んだロキは、逃げる選択をした。
しかし、その時だった……。
正面から物凄い力が近づいて来るのを感じ、足が止まった……。
「……レン、ダメだ。引き返すのは諦めよう。こっちの出口から……」
しかし、背後の出入り口も既に新と蛍が封鎖していた。
「……ロキ、どうする?」
「……っく! 一旦、……え?」
手立てを考えようとしていたその時、背負っていたトトニスの重みが無くなった。
「……手間を掛けさせるな。さあ、大人しく従え」
現れたのは、グローサ一番隊隊長“美鏡斑鳩”だ。その手にはトトニスが抱えられている。
「くそーー! トトニスを返せー!!」
護符の力を纏ったまま斑鳩に立ち向かうロキ。
だが、サイドからの新と蛍の攻撃で返り討ちになる。
「っぐ……」
「ロキ!! 大丈夫?」
「ああ……。それよりレン、援護頼めるか? トトニスを助ける!」
「うん! 任せて!」
しかし、斑鳩が強行に出る。トトニスの首に刃を向けた。
「大人しく従えと言っている」
「や、やめろーーー!!」
「ロキ、ここは従うしか……」
しかし、
「もういい!!!」
突然叫んだのはトトニスだった。
「ロキ君……レンちゃん……、せっかく助けに来てくれたのにごめんね。私……もういいよ」
「ダメだ!! トトニス!!……おい! 放せ! お願いだ! 放してくれ! 従うよ!従っ…………」
トトニスの危機に動顛したロキは、護符の力も消え、そのまま意識を失ってしまった。
「ロキっ!!」
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