第百三十一話 潜入! ソートリオール その2
政府の猛攻で、陥落寸前まで追い込まれたジュヴェルビークだったが、カルマの復活により、難を逃れていた。
一方、ソートリオールへの潜入に成功したロキとレンは、唯一面識のあるソフィアを頼ろうとするも、その道中、敵に見つかってしまった。この窮地をレンが請け負い、ロキを先に行かせる。
しかし、格上相手にレンがいつまで持つか分からない。焦りが募るロキだったが、思わぬ形でトトニスを見つける。意識の無いトトニスを背負い、レンの下へ急ぐロキ。
しかし、それを阻んだのはトトニスだった――。
「トトニス、やめてくれ! 俺だ! ロキだ!」
攻撃を躱しながら必死に呼びかけるロキだが、動じる事なく攻撃を繰り返すトトニス。レヴェイであるトトニスは潜在的な戦闘力は高い。更に意識を奪われた今は闘争本能のままそれを向けてくるだけに、その攻撃を躱すのも容易ではなかった。
「くそっ! 躱し続けるのにも限界がある。……でもトトニスに攻撃はできない」
対処に苦しみながら応戦するロキ。足元への攻撃を受けてしまい、倒れた。トトニスは馬乗りになり拳を振り上げた。
しかし……
「ピィィィーー!!!」
ロキは、咄嗟にラムーを呼ぶ時の指笛を吹いた。
すると拳を振り上げたまま、トトニスの動きが止まった。
そして……
「……うっ!……え?……ロキ君?」
「トトニス!!」
「わっ! ごめん!! 私何やって……」
振り上げた拳に驚き、慌てて立ち上がるトトニス。
「大丈夫だよ! そんな事より、意識戻ってよかった!」
「ごめん!! 私、捕まって……途中からあんまり覚えて無くて……」
「いや、トトニスは何も悪くない。謝るのは俺だ。俺たちがジュヴェルビークを抜け出して……。それで、トトニスが捜してくれたって……。ごめん……こんな危険な目に遇わせてしまって」
「ううん……。それよりレンちゃんは? 一緒に抜け出したんだよね?」
「ああ。あいつ、俺を先に行かせる為に今一人で戦ってるんだ。だから早く戻らないと!」
「そんなっ! 急がなきゃ!」
「トトニス、走れるか?」
「うん! 大丈夫、急ごう!」
ロキがトトニスを先導し、元来た方へ走る。しかし、どこまで走っても入り口が見えてこない。
「……おかしい。方角は確かにこっちのはずなのに出入り口が無い……」
「ねえ……ロキ君、ここってさっきの場所に似てない?」
「え?」
「……間違いない。さっきの場所だよ……。あちこちにある窪み……、私たちが戦った時にできた跡だ」
「……うそだろ。……どうなってるんだ」
「もしかして、これも敵の罠なの?」
「……悩んでても仕方ない。一旦さっきとは違う方角に行ってみよう」
そして二人は、さっきとは違う方角へ走り始めた。しかし、結局元の場所に戻ってしまう。その後も出口を探して走り回るも、何度繰り返しても元の場所に戻る。
「はあはあ……」
「はあはあ……、大丈夫かトトニス……」
「うん、大丈夫……。でも、どうしよう。このままじゃここから出られないよ」
……と、ロキが思いついた顔をし、その場で高くジャンプし周りを見渡した。すると、遠くに地面の裂け目を見つけた。
「トトニス、あっちだ。あっちに谷がある。その向こうに何かあるかもしれない。行ってみよう!」
「うん!」
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