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第百二十九話  ジュヴェルビーク攻防戦 その3

 駆け寄るマルクス。クリオネは、脇腹に深手を負ってしまった。


 現れたのは、四番隊隊長“リゼルグ・ミュートキア”、そして六番隊隊長“紫夜雨時(しゆうときあきら)朗”だ。

 このタイミングで敵第三陣が合流したのだ。

 マルクス、そして深手を負ったクリオネ二人で敵部隊長四人、更には疲弊した防衛班で第三陣の敵部隊も相手にする事になった。優勢に転じていた展開が、一瞬にして劣勢になる。


「クリオネ、キミは一旦離脱した方がいい」


「いや……、的くらいにはなれる。その隙に……」


「ダメだ! そういうのはカルマが許さないとキミが一番知っているはずじゃないか!」


「だが、……ここを止めねば……元も子も……」


 責任を果たそうと続行を望むクリオネだが、出血が酷く、力が抜け始めている。

 その様子を発見した仲間が二人の下に駆け付けた。


「クリオネさん! ここは引いて下さい」


 そしてマルクスは、駆け付けた仲間にクリオネを託した。

 しかしそんなやり取りをしている間に、部隊長達の侵入を許してしまった。


「まずい!」


 慌てて追いかけるマルクスだったが、部隊長四人を相手に圧倒される。

 部隊長たちは、そのまま最初の襲撃の時に熱源が発生した場所を目指した。


 ――

「なあ、アルージャの坊よ。熱源が確認されたのはこの辺りなのか?」


「うん、そのはずだけど……、居ないね」


「“居ないね”じゃねーよ! 他に当てはあんのかよ!」


「うっさいな、バジ! 文句言ってるヒマあるなら(あきら)くん手伝ってきてあげなよ。マルクスの相手一人で頑張ってんだからさ」


「ちっ!……へいへい。後で覚えとけよ、お前……」


 時朗と互角の攻防を見せていたマルクス。ここにきてのバジリスクの参戦に防戦一方になり、落とされるのも時間の問題だった。

 だが、その時だった。


「……リゼルグ。まずい事になるかも。一旦離れよう」


「ああ。坊は相変わらず察知が早いねえ。助かるぜ」


 何か嫌な予感を察知したアルージャがリゼルグに忠告し、戦闘中の二人にも後退の指示を送った。

 しかし、この素早い撤退さえも間に合う事は無かった。


 現れたのは、カルマだった。


「ちっ! 最悪の展開だ。こうなっては逃げ切れん。出し惜しみは無しだ。全力で同時に仕掛けるぞ!」


 リゼルグの号令で、四人が一斉にカルマに仕掛ける。


 しかし、その全てが躱され、次の瞬間には四人とも気を失って倒れた。


「マルクス。すまん、世話を掛けた」


「……カルマ、……もう大丈夫なのか?」


「問題ない。……それより傷を見せてみろ」


「僕は、大した事ない。……クリオネが深手を負わされた。今、救護班が見てくれている。そっちの様子を見てきてくれないか」


「分かった。……すまんが、そこで倒れてる四人の後始末を頼む。数時間は起き上がれないはずだ。……東でノイがリュシオルを退けている。まとめて送り返してやれ」

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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