第百二十三話 ソートリオール幹部集会
マルクスがカルマを救出しジュヴェルビークに戻った頃、ソートリオールでも幹部たちが集結し、会合が行われていた。
「よう! リュシオル。カルマをいいところまで追い詰めたそうじゃねーか」
「ふん。うるさい。笑いたければ笑え」
「まあ、そう拗ねるなよ。人質が残っただけでもお手柄じゃねーか。それに、マルクスのヤツには俺も痛い目に合わされてるからよ」
「ねーねー、自分が雑魚だからって人のミスで安心感を得るなんてかっこ悪いよ~バジ~!」
「んだとてめえ!! ガキが横から口挟むんじゃねー!」
「よさんか、二人とも」
「ちっ! ボスのお出ましか……」
「リュシオル。改めて状況報告を頼む」
「はい。……ネクロネシアより捜索対象と思わしきヒューマライズを監禁中との連絡を受け、引き取りに向かいました。一緒に居た少年も、先日ニースの闘賭博にて高い戦闘力を見せたと報告があった謎の少年と特長が一致した為、オーナーとみて捕らえました。輸送中、思わぬ邪魔が入り、捜査対象と少年をロストしました……」
そう言いながらソフィアに視線を送るリュシオル。
「ふん! 何よ? あんたが弱いからそういう事になったんでしょ?」
「……よい。続けてくれ」
「……はい。……その後、付近でガルーダに乗ったレヴェイを発見し、捕らえました。先日、ご覧いただいた件です。このレヴェイを人質とし、ロストした対象二人の引き渡しをカルマ・アステロイドに持ち掛け、ドラグレスクにて待機しました。二人のみを寄越すよう要求を出したのですが、カルマが単独で現れました。しかし、場所をドラグレスクとしたのはそれを想定しての予防策。カルマを足止めした隙に人質は連れ帰る予定でしたが、地形の利が想像を超える効果を発揮しており、そのまま打ち取る事にしました。しかし想定外のマルクス・ガレットの出現でカルマを取り逃がしました。捕らえたレヴェイは、ドラグレスクにて一時精神異常に陥りましたが、その後落着き、現在監禁中です。以上です」
「うむ、ご苦労」
一通りの説明を受けたところで、四番隊のリゼルグが口を開く。
「ところでリュシオルの旦那よぉ。嬢ちゃんの足止めでロスッた二人の居場所は分かってるんかい?」
「恐らくは、お嬢がジュヴェルビークに戻しているはずだ。そうだろう? お嬢」
「だったら何?」
「明らかな任務妨害だ。反乱行為と言ってもいい」
「ふーん、反乱行為ね。……でも私は元々こちら側とかあちら側って思って動いてないから、反乱したつもりはないけど。常に、思ったように行動してるだけだから。もちろんパパに喜んで貰いたいって事が私のやりたい事でもあるからこうしてここにいるんだけど、……あんたはあんまり好きじゃない。悪いけど、私は好き嫌いで動くの。……それに邪魔が入って達成できないような事は、最初から達成できない事だったんだって。さっきも言ったけど、それ、私のせいじゃないよ。あんたが弱いせい」
「ぷっ、ぷははははっ!! 嬢ちゃんに一本取られたな。リュシオルの旦那よぉ」
「くっ!!」
「ソフィアよ。それでも今回の行為は褒められたものではない。罰は受けてもらう。……数日間の自由行動禁止監視付きに処する」
「……パパがそう言うなら仕方ないわ。ならこの後の作戦会議に私は居ない方がいいわね。部屋に戻るわ。早速監視を着けていいわ」
こうしてソフィアは自室へ戻った。
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