第百十五話 ロキVSソフィア
「さて、いいわよ。どこからでもかかって来なさい」
余裕を見せるソフィアに対して、ロキは間髪入れず間を詰めた。
そして、そこから全力の連撃を繰り出した。
「はぁぁぁぁ!!」
「へぇ、やっぱ普通の人間じゃないね。早いだけでも異常だけど、その上、打撃が私を追ってきてる。中々やるじゃん」
ロキの攻撃を躱し続けるソフィアだったが、隙をついて軽く反撃に出た。
「それ!」
隙をついた右の拳。ロキは、それを躱し、ソフィアの背後に周った。
そして、渾身の力で決めに入った。
「砕破・鑼心撃!!!」
ピタっ……
しかし、その一撃は片手で止められた。
「どお? 満足した?」
「くっ……!」
「まあでも、正直驚いてるわ。ヒューマライズでもなければ育成師でもない人間がここまでやるなんて。あんた、何者なの?」
「はぁはぁ……、それは、俺にも分かってない」
「へ?」
「記憶喪失なんだ。名前と年と、あとはレンと出会ってからここまでの旅で得た知識しか無い」
「へ~。どおりでモーゼスに噛みついたり、牢に閉じ込められるような事したりする訳だ。あ! あと、闘賭博でクリオネとやり合った人間もあんただって聞いた」
「まあ、そうだな。全部トラブルになった事を思うと、記憶が無いが為に、起こした事なんだろうな。この世界の常識とか分からないし」
「まー、いいんじゃない。知らない方がいい事だってあるかもしれないよ」
「そうかもしれないけど、知らなくちゃいけない事だってあるかもしれない。だから、探したいんだ」
「もしかして目的って、それ?」
「ああ」
「案外、真面目なんだね。ちょっと見直したよ」
「お? ようやく分かってきたか」
「前言撤回……。やっぱこどおにだ」
「ずこっ!……ところでレンが心配そうにずっとこっち見てるぞ」
「あ!……レン、制止を無視してごめん。こいつがバカだから、分からせてやろうって思って」
「バカだと!! 俺は戻る訳に行かないから本気で……」
「もう! 二人とも、せっかく仲良くなったのに、喧嘩なんてしないでよ!」
「だから、仲良くなんてない!!」
再びハモる二人。
「ふん、……さてと、じゃあ私は帰るから、あなた達はここにいなさいよ」
「待ってくれ」
「ん?……こどおには信用ならないから一応部下を二人置いていくわ。ショコラ! オランジュ!」
「ソフィア様、お呼びで」
ソフィアが名を呼ぶと、突然、若い男と女が現れた。
「わっ! どこにいたんだ!?」
「待機空間よ。私が作った部下の部屋。常に持ち歩いてるから」
「……持ち歩いてる? 待機空間?……まあいいか」
「ショコラ、オランジュ。私は一旦帰るから、ここは任せるわ。二人が逃げないように見張りをお願い」
「は!」
「こどおに! 私の部下はあんたより強いから、逃げられないわよ」
「……分かったよ。大人しくしてます」
「……レンも、ここにいて。閉じ込めるような事して、ごめんけど……」
「ううん。いいよ。私は、ソフィアちゃんを信じる」
「……じゃ。またね」
そう言って、ソフィアは消えて行った。
――
時を同じくして、ソートリオール
「ジャネクサス様、戻りました」
「リュシオルか。……して、報告とは」
「はっ。ジュヴェルビークの悪魔を一体確保して参りました」
「ほう……。使えそうだな」
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