第百十四話 ソフィア・レモンタルト
――転送先 ――ロキとレン
ヴゥゥーンッ……
「ここは……どこだ?」
「分からない……。けど、転送装置で移動できる距離は精々数十キロくらいだから大陸間を移動する程離れてはいないはずだよ」
言われるがままに転送してきた場所が何処かも分からず混乱する二人。
すると、そこへソフィアが現れた。
「よっと!」
「え!?」
「あ、あのぉ……、ありがとう。えっと……、ソフィアちゃん? だよね?」
「そうよ。ソフィア・レモンタルト」
笑顔で話しかけるレンに、ソフィアは名乗った。
「あのさ、俺からも礼を言わせてくれ。助かったよ。ありがとう」
「ふん」
「あ、えーと……、その、ソフィアちゃんはなんで俺たちを助けてくれるのかな? キミは、政府の幹部なんだよね?」
「キモっ! お前は、ソフィア“ちゃん”とか呼ぶな」
「はははっ……、やっと口を開いてくれた思ったら、そこかい。じゃあ、ソフィアでいいかな?」
「……ふん。めんどくさいから、それでいい」
「あ、そうか。その前に、こうなった原因を謝るよ。……その、ロザンヌで町を救ってもらった時、俺、キミの事を子供だって言ったから、こんな事になったんだよね。あの時は、本当にごめん」
「あんた、それ、全然謝れてないから……。それに、いきなりタメ口の時点でまだ私を子供だって思ってる証拠でしょ」
「いや、それは……キミには何度も助けられてて、きっといい子なんだと思うから、親しみを込めて……なんだけどなあ」
「え? いい子?……あんた、今、私の事いい子って言った?」
「え? う、うん。(う、嬉しそうだな……。それは、嬉しいんだ……)」
「ふ、ふん! 当然でしょ!……まあいいわ。じゃあ、タメ口を許可するわ」
「……ど、どうも」
「ねえ、ソフィアちゃん。その……いろいろ質問はあるんだけど……、まずは、あなたは、何者なの? なんで私たちを助けてくれたの?」
「私は、政府の公安特務部隊、通称グローサ、七番隊隊長よ。あなた達を助けたのは、私にとってあいつらにあなたを連れていかれては不都合があるからよ。だから、守った訳ではないからね」
「……なら、敵って事?」
「政府は、ジュヴェルビークのレヴェイ達と敵対している。そして私も、その中枢を担う立場。もし、あなた達が、カルマの味方をするのであれば、そうなるわ」
「っ!」
身構えるロキ。
「別に、そうだとしても今ここであなた達を殺そうとかは思ってないから、今は安心していいわよ。……次に出会った時には、敵かもしれないと言っただけ」
「……私は、あなたと仲良くしたいと思う。ダメかな」
「え?……ふん、甘いね、お姉さん。でも、キライではないよ。その感じ」
「だったら、今日からお友達になろう?」
「……」
ソフィアは黙って手を出した。
「え?」
「ほら、こうするんでしょ?……私も友達に教えてもらったやつだけど」
レンはソフィアの手を取り、二人は握手を交わした。
「あ、なら俺も! よろしく、ソフィア!」
そう言って、手を差し出すロキ。
「……あんたは嫌。調子に乗るんじゃないわよ。“こどおに”!」
「は? なんて?」
「こどものおにいさんって呼ぶの面倒だから、“こどおに”って言ったの!」
「なんじゃそりゃ? 俺にはロキって名前があるんだぞ」
「知らん。私がこどおにって決めたらこどおにでいいの!」
「なんてわがままな……」
「ふふっ! 二人は仲がいいね!」
「仲良くない!」
同時に否定する二人。
「あ、ソフィアちゃん、質問の続きいいかな?」
「なに?」
「ここはどこ?」
「ここは、あなた達が捕まってたネクロネシアから南に位置する場所よ。地下だし、ジャミング掛けてあるから、お姉さんの場所はそう簡単にはバレないわよ」
「地下?……そっか、どおりで窓が無い訳だね」
「……私も一個聞いていい?」
「うん、いいよ」
「お姉さん、名前は?」
「あ、そっか。ごめん、言ってなかったね。私は、レン。レンよ。改めて、よろしくね」
「そう。……じゃあ、レンでいい?」
「うん。いいよ」
「ところで、ソフィア、俺たちこれからどうなるんだ?」
「一旦、ここに閉じ込めおいて、機を見てジュヴェルビークに返すよ」
「ちょっ! 待ってくれ! 俺たちにだって、目的があるんだ!」
「……だったら、私を倒して力尽くで出ていく?」
「……ああ、そういう手段があるなら、やらせてもらうさ」
「ちょっと、ロキ!……ソフィアちゃんも、やめようよ!」
ロキとソフィアは、隣の大広間へ移動した。
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