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第十話  吾郎の告白

 質問を続けるロキ。


「ゴローじい、地球の時代には既にヒューマライズは居たんですか?」


「うむ、地球の時代にヒューマライズはおった。本格的な開発は、2100年代後半頃からと言われておる。開発当初はアンドロイドをベースにしたもので、ヒューマライズとは呼ばれてはおらず、体の構造はモーター駆動の機械だったそうじゃ」


「え? 今のヒューマライズとは随分違うんですね」


「まあ300云十年程も昔じゃからな。でじゃ、その数十年後の2203年に“エトワール・レ・ミルシェ”という人物によって“人間により近い存在”をコンセプトに開発が進められた。このとき、ミルシェが初めて“ヒューマライズ”と名付けたと言われておる」


「名前からして女性ですか?」


「ああ、そうじゃ。そして、開発から50年後、2253年に最初のヒューマライズが完成した。ヒューマライズたちは、介護施設や災害現場などで、人々を助け、時には心の支えとしても大いに貢献したそうじゃ。そして、人類がサテラビュアに移住した後も、ヒューマライズの研究は進み、今ではほとんど人間と区別がつかんくらいにまでなった。……と、まあこんなとこじゃな」


「……こうしてレンを見てても、まだ人間だと思ってしまうけど、改めて聞くとやっぱりレンはヒューマライズなんですね」


「ところで、ロキ君はヒューマライズと人間の見分け方はレンちゃんから聞いとるかの?」


「はい、でもレンから聞いたのは目の色が変わる事くらいで、色が赤とか青とかある事までは知りませんでした。レンから最初に聞いた時、レンの目は赤くなりました。そのあと、賊と戦う直前には青くなりましたし、ゴローじいと戦った時にも青くなってましたけど、状況によって目の色が変わるってことですか?」


「……いや、レンちゃんは特別のようじゃ。本来目の色は、“赤→生活支援型”、“青→戦闘特化型”、“黄→非生存地域作業型”と型が分かるように3種類あるんじゃ。レンちゃんは生活支援型じゃから赤い目が本来の色のはず。戦闘技術も青い目も何処かで覚えた能力のようじゃ」


「なるほど。賊に襲われた時、に賊の(かしら)がレンの目の変化に驚いてたのはそう言う事だったんだ」


「さぞかし賊も驚いたじゃろうな」


「(レン、あのおっさんに売られる前に誰かのところに居たんだろうか? 戦闘ができる人間ってゴローじい以外にもいるのかな。)」


 ……と、暫く吾郎の話に夢中になっていたロキ。料理に手を付けようとすると、料理がほとんど食べ尽くされていた。


「ちょっ……、レン! 嘘でしょ!」


「すいません。二人ともお話に夢中でしたし、ゴローじいの料理があまりにおいしくて」


「はっは! 嬉しい事を言ってくれるのう、レンちゃんは」


「その……、最初の一口目で思いましたけど、やっぱりどこか懐かしい味です。初めて食べるのに……、何故かそんな気がします」


 そんなレンの言葉を聞いた吾郎の目に薄っすら涙が浮かんでいた。


 ――夕食後、レンが風呂に入っている間、ロキは吾郎に“育成師”について聞こうとしていた。


「あのゴローじい……“育成師”について聞いてもいいですか?」


「……すまんロキ君、その前にキミに伝えておきたい事がある」


「え?」


 突然の吾郎の返しに一瞬驚くロキだったが、思い当たる事はあった。


「今から話す事は、レンちゃんには伏せておいてほしい」


「ゴローじい、レンに戦闘を教えたのって……」


「……隠すような言い回しをした事はすまんかった」


 ロキの予感は当たっていた。


「どうしてもレンちゃんには知ってほしくないんじゃ。だが、これはキミには伝えておかなくてはならん」


 吾郎の様子から、覚悟して聞く必要があると感じたロキは、少し戸惑ったがレンの(あるじ)として覚悟を決めた。


「……分かりました。聞かせてください」


「ワシは……、レンちゃんの父親じゃ」


「え!?」

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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