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「―報告は以上です。そしてアサルカルナ国からの封書です」
ここは国境から一番近い街。あれから私はノイマンと共に国境を渡り、近くの街に到着した。後からターナは荷物と共に無事合流する事が出来た。ノイマンは伝令から封書を受け取るとその場で開封し、ふっと小さく息を吐く。
「ノイマン、どうしたのかしら?」
「ローザアネット、丁度いい。これを見て」
ノイマンは封書をローザアネットに見せた。
「・・・これは」
見せられたのはアロイス陛下が書いたと思われる封書にはローザアネットとグラード公爵領を譲渡すると書いてあった。
やはりアロイス陛下にとっては私は取引の材料にもならない存在だったのね。
分かっていたけれど、軽くショックを受ける。そして書かれてあった内容にはグラード領を手放すと、家族の事が心配になった。
「ノイマン様、グラード領はどうなったの?家族は無事なのかしら」
ノイマンは満面の笑みを浮かべ私をギュッと抱き寄せる。
「グラード領はもちろん大丈夫だよ。みんな無事さ」
「でも、この内容だと、戦闘があったみたいなのだけど」
「あぁ、それはグラード公爵、君の兄に話をつけておいたんだ。君を隣国に連れていくと。君も知っているように公爵家はツィルトン陛下が隠居した後、王家から距離を取っている。
そして貴族達の争いが日々激化して国の分裂もチラついていて公爵家はついに見切りを付けたんだ。君が隣国に渡るなら公爵領も君に付いていくと。グラード公爵領はそのままカルマンハイルの領に編入される事になった。
グラード公爵は爵位を変える事になるけれど、今のまま変わらず統治を続けてもらう約束なんだ。これからは家族にいつでも会いにいける」
「ノイマン様、有難う」
私達はそうしてカルマンハイルの王宮まで移動する事となった。
もちろん今回ノイマン様が行った事は国に報告されている。




