表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

第四話 青い髪と大佐の記憶


「しんだ…え、おっちゃんが…?」

「おいクロテツ」

「事実なんだから隠したって無駄だろ?」

「ハァ…」

「残念だったな、クソガキ。あそこの旦那は死んだってよ」


おっちゃんが死んだ、おっちゃんが死んだ?

そう小さく呟く少年は、大きい瞳をさらに大きくして、人目を憚らず泣き喚いて、またプツリと意識を飛ばした。ベッドから落ちそうになる瞬間、そばにいたクロテツがその小さな体を支えて静かにベッドに寝かせた。クロテツの顔は驚きを超えて呆れている。


「身内が1人死ぬくらいで、どうしてこんなになっちまうんだ?」

「それは、こいつが子どもだからだろう」

「俺がこのくらいの時はもっと平気だった」

「育った環境が違うんだ。一般人とお前を比べるな、クロテツ」


どこか冷めた目で少年を見つめるクロテツ。少年に触れようと片手を伸ばして、その体には触れずに、踵を返した。


「どこへいく」

「あの力を持ってるって聞いたから覗きに来たけどよ、期待外れだったぜ。俺は先に戻る」


あとは任せた。

そう残して部屋を後にしたクロテツに、お前もまだまだ子どもだなと含み笑いを浮かべる。


(どれ…)


腰を上げてベッドに近寄れば、目元を濡らして眠る少年の姿。

鮮やかな青い髪に、どこぞの民族を思い浮かべる模様が刻まれた頬の刺青。

白い作業着を着ているのだろうか?少年の胸元にはペンキ屋の名前だと思われる文字が編み込まれていた。


(見れば見るほどに、懐かしい青髪だ)


遥か昔、この国を支えていた偉大なあの方と同じ、青い髪。

まさかと期待する一方で、あの方は生涯孤独だったことを思い出す。


「ウィング大佐殿」

「どうした」

「アルベルティ少将殿より伝言を仰せつかりました。日暮れより上位(オフィサー)会合を開かれるとのことです」

「承知した」


小一時間で開かれる会合。いわずもがな、この少年が議題に上がるのだろう。


(この国を救う未来か否か、)


大佐はモナネルの青い髪をそっと撫でて、笑みを浮かべた。



.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ