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4 出会いイベント開始

『今日は王子との出会いイベントがあるからな。気を引き締めて行けよ。王子はあの超有名スーパー大種牡馬だ』


神様の声を聞きながら、サラは入学式が行われる講堂へ向かう。


『そうそう。ここは貴族だけが通う学園だが、サラは平民出身という設定になっている。平民と駆け落ちした貴族の子息の娘がサラだ。サラの両親が亡くなって悲しみに暮れていたところ、父の弟だという男が現れてお前を引き取ることになったのだ』


「ま、待ってください!設定が難しいです!つまりどういうことですか?私は無名の父母から生まれたものの父の弟がめちゃくちゃ強くてなんか分からないけどその縁でものすごい名門厩舎に所属できたということですか?」


『大体そんな感じかなあ…なんか、余計に難しくなってる気がする』


一人でわめいているサラを、怪訝な目で見る学生たち。その中に、茶髪に黄色いカチューシャをつけた王子の婚約者の姿もあった。


『その黄色いカチューシャの女が悪役令嬢だから覚えておいた方が良い』


「悪役令嬢…とは」


『お前をしばく役だ。ちなみに名前はアフィシャージュ。そう言えば伝わるだろう』


アフィシャージュ。G1を6勝した超名牝だ。G1どころか重賞出走経験すらないサラにとってはまさに雲の上の存在であった。


「そ、そんな…!アフィ様にしばかれるなんて!30馬身差で大敗してしまいますよお!」


『大丈夫、大丈夫。神様パワーでアフィちゃんにハンデ負わせるから。乙女ゲームの世界においてヒロインは最強なんだよ』


乙女ゲームを知らないサラにとっては、何が大丈夫なのか全く分からない。そもそも何故自分が女の子にしばかれなければならないのか理解できなかった。


より良い子孫を残すことが目的なのかと思っていたが、まさかバトル要素もあったとは。


「斤量差120kgくらいつけてくださいね!絶対ですよ!」


『アフィちゃんに何キロ背負わせる気なの…?』


斤量差とは競馬におけるハンデのことだ。ハンデ戦では年齢・性別・実績をもとにハンデが定められ、強い馬ほど重いハンデを背負わされる。


といっても、ハンデは重くても数キロ程度の差だ。120kgはさすがにやりすぎかな。


『おお…来るぞ、王子だ』


神様の声を聞いてあたりを見回すと、周りの雰囲気が一変していた。


先ほどまで一人でしゃべっている平民出身のサラに注目が集まっていたが、今では彼らは皆別の人間を見ていた。


誰が王子なのかなんて、言われなくても分かる。


「…おはようございますっ!プロフォーンド殿下!」


最初に声をかけたのは、黄色いカチューシャのアフィシャージュだった。


「ぷ、プロフォーンド様…?!」


サラはその名を聞いて固まった。プロフォーンドとは。近代競馬において最強と言われることも多い三冠馬…そして、多くのG1優勝馬の父だ。


種付け料は4000万。しかも、選ばれたものにしか種付けが許されていない、まさに最強の種馬だ。


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