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3 入学式前

サラが目を覚ますと、そこは人間が眠るベッドの上であった。


「何か夢を見ていた気がする…」


サラは、自分の口から人間の言葉が出てきたことに驚いた。


『目を覚ましたか、サラ。今日は入学式だぞ』


入学式?聞いたことがない言葉だ。だが、その意味は何故か分かる。どうやら神様パワーで知らない言葉でも理解できるようになっているらしい。


「何か夢を見ていた気がするんです。何か、大切な…大切なことを、夢で見た気がするんです」


『あー…気にしなくていいよ』


サラの言葉に、神様は少し投げやりに答えた。


腑に落ちない部分はあるが、思い出せない以上は仕方がない。よりよい遺伝子を求めて、学園に向かうことにした。


「学園っていうのは、要は種牡馬が集まるスタリオンステーションといったところですか?」


『どちらかというと育成場だな。未熟な子供たちが集まって、勉強をするんだ』


「そんなところで強い遺伝子の持ち主を探すんですか?!本当に将来性があるかどうかわかんないですよね?!」


『乙女ゲームの世界で将来性とか考えるのはやめろ。ヒロインとくっつけば後はとりあえずハッピーになるんだから』


サラは不安であった。育成段階の競走馬なんて、いくら「こいつは強そう」と思っても全く活躍せずに終わることがよくある。


逆に、ノーマークだった馬がものすごく強くなることもあるのだ。


「男の人の何を見て選べばいいのかしら…体のバランス?脚の形?筋肉のつき方?」


『ハイスペックイケメン男子を選べばいい』


ハイスペックイケメン男子とは?ハイスペックはなんとなく分かるけれど、イケメン男子とは一体??


「イケメン…ってどういうことですか?」


『顔がいい男ってことだよ』


「顔…?人間は、交配相手を顔で選ぶのですか…?!」


カルチャーショックだ。まさか交配相手を顔で選ぶなんて。顔だけでは遺伝子が合うかどうか全く分からない。


『まあでも、今回用意した攻略対象たちは八代スタリオンステーションの超有名種牡馬たちだから。前世の知識も生かして選んでいいよ』


八代スタリオンステーション。それは前世の世界で最も有名な種牡馬が揃う牧場で、種付け料が3000万円にもなる馬もいた。


種付け料というのは、種付けの際牝馬側が牡馬側に払う必要のある料金だ。


要は、「一発あたりの料金」とでも言おうか。


実際には、一回分の種付け料で複数回種付けを行うこともあるので、一発あたり、というのは正確ではない。


「八代スタリオンステーションの馬だなんて…!そんな高額な種付け料払えませんよ!うちの牧場は…」


…うちの牧場?それって、なんだっけ。


誰だっただろうか。「3000万もする種馬をつけてやることはできないけれど、僕がちゃんとサラにぴったりのお婿さんを探してくるから」と私に声をかけてくれたのは。


『種付け料の心配はしなくていいって。ダビサイやってても種付け料なんてどうにかなるだろ。最近はガチャで種付け権利ゲットできるやつもあるし』


もやもやした気持ちを抱えたまま、サラは学園へと向かった。




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