表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

ティアラの戦い1

勢いで書きました

 とうとうこの日が来た。

 私が通うフェルグラント王立学院はこの日、第五十二代目の卒業生を輩出しようという記念日を迎えていた。

 そう、今日は卒業式。でも私からすれば、他人とは違う視点から見た別種の卒業式と言える。

 私は、この時のために死に物狂いで努力を重ねて来た。何度も、そう何度も。

 今日、今ここで私の大願は成就されるだろう。

 そうら、これから王子が演説を始めるぞ。極悪非道の下衆野郎め。


「みんな集まってくれてありがとう。これより、ある重大な発表をしたいと思う」


 こいつは我が国の第一王子、ローラス・フェルグラント。王家に連なる者の証である金髪に、スラリとした体形。そして、その人当たりの良さそうな柔和な表情に、貴族という身分にある女性に受けがいい柔らかい物腰。隣国との戦でも、この若さにして獅子奮迅の活躍をして、既に数多の支持者、いや信奉者がいる男だ。

 でも私は知っている。知っているぞ。貴様の裏の顔をな。


「僕は、ローゼンブルグ家の公爵令嬢、ティアラとの婚約を破棄する!」


 ほう、大胆な発言だな。こんなことを突然言われようものなら、通常であれば血の気が引いてしまうのだろう。

 だが、私は違うぞ。

 このティアラ・ローゼンブルグはな。


「ご存じの通り、僕と彼女は婚約関係にある。しかし、僕は見つけてしまったんだ。ローゼンブルグ家は、我が国を脅かすほどの悪事を働いて――」


 何やらローラスが喋っていようだが、全て嘘だ。むしろ、その悪事とやらは貴様がやっていることだろうに。

 私の周囲から人が離れてゆき、その視線は全て私に注がれている。

 ふん、今に見るがいい。このいけしゃあしゃあと御託を抜かしている男は、これから真実を暴かれるのだ。


「先日ローゼンブルグ家の領地にて、その証拠が発見されたんだ。それは……」


 ふむふむ。しかし、まるで根拠も何もない適当な嘘だな。我々ローゼンブルグ家は、むしろ貴族にしては裏が無さすぎる節があるというのに。

 だからこそ、ターゲットに選んだのだろうな。かりそめの愛情まで見せて。


「ティアラ、君は――」

「異議あり!」


 私が突然声を荒げてローラスの演説を遮ったことに、誰しもが驚いている。

 これからもっと驚くことになることを、貴様らは知るまい。


「何のつもりかな? 今は僕が演説をしているのだから――」

「黙れ。……皆聞いてくれ! ローラスが一体何をしたのかを!」


 おっと、先ほどまで隣にいたヒューストン家のご令嬢が何やら言いたげな様子だな。ふふふ……


 知ったことか。


「ローラスの個人用邸宅には、巨大な地下施設が埋蔵されている!」

「な、なぜそれを知っている!」慌てたようにローラスが言う。しかし私は止まらない。

「さらに驚くことなかれ。なんとそこでは、非人道的な人体実験が繰り返さているのだ! 証拠もあるぞ!」

「え、なんで……誰か、ティアラを黙らせろ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ