大きいけれど狭い世界
文才は無いです…雰囲気だけでも楽しんでもらえる様な世界を書いていけたらいいなと思います!
よろしくお願いします!
−−−ここは大きな壁がそびえ立つ監獄、国際総合監獄(IGP)そこには凶悪な犯罪者が−−−
居るには居るがとても凶悪な犯罪者とは呼べない者たちが壁の中を占領して生活していた。
凶悪犯は壁の更に奥に収容されており、軽い犯罪者は一番外の壁に近いところで暮らしていた。
壁の中では店を構えるものまで居た。八百屋、修理屋、理髪店、なんでも有った。
その中でも特に人気があったのは日本の組出身の兄弟、『始龍』と『龍次』が経営する理髪店だった。
獄中の女性陣にはイケメンとモテ囃され、男性陣には愛嬌があると親しまれていた。
素行はとてもよく看守たちからも人気があり皆に愛されているのにこの様な獄中にいるのか?
それはとても簡単な話だった。
「いらっしゃいませ、本日はどの様なセットにしましょうか?」
日向の様な爽やかな笑顔で囚人たちを迎える男、始龍。
彼には致命的な欠点があった。それは。
「えっと、カット代金が600Gで預かったのが1000Gだから300Gのお釣りかな…」
彼は計算が出来なかった。
今回はたった100Gの間違えだったが、彼がここに入る理由になった出来事では誤差950万Gの差額を支払いしそびれ詐欺として収容されたのだった。
「兄ちゃん、それじゃ100G多く貰っちゃうことになるでしょ!そんなんだからここにいるのに…」
溜め息をつきながら髪をかき上げ店の奥からやって来たのは弟の龍次だった。
「あ、え?そうなの?今日は兄ちゃんちゃんと計算出来たと思ったんだけどな。」
「いや、全然出来てないよ…昨日テストしたときは4割くらいは出来てたのに、本番になると全然出来ないの何でだろうね?」
「うーん、兄ちゃんも分からないんだよな…」
兄の計算間違いは致命的なもので龍次含め一家諸々頭を抱える問題であった。
始龍としてもこれは結構なコンプレックスで解決しようと日々龍次と共に勉強しているのだがどうにも上手くいかない。
「あの…そろそろワシ帰りたいんじゃが…」
常連客である老人が申し訳なさそうに兄弟に声をかけた。
「ごめんね、おじいちゃん!はい、これお釣りの400Gね。」
「おお、ありがとう。龍ちゃんも始ちゃんも多少の計算間違えは誰にでもあるんだ、気にしなくて大丈夫じゃからまたよろしくな。」
「ありがとう、おじいちゃん。俺たちもおじいちゃんの顔また見たいからカットだけじゃなくていつでも来てくれていいんだからね。」
「ありがとうございます。次カットしに来てくれる時にはきちんとお釣り渡せる様になるんで…」
しょんぼりとした始龍に対して老人は優しく微笑みながら店を後にした。
龍次は落ち込む兄の肩にポンポンと手を置き老人が退店するのを見送っていた。
始龍はしょんぼりしながらも老人に手を振っていた。