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第五話 ステータス

応援ありがとうございます。一部加筆修正しました。

「もうどうすればいいんだよ……」



 ゲーム時代にため込んだ、所持金、アイテム、武具、マイホームなどを全て喪失していた事が判明し、僕は暗い路地裏でうなだれていた。


 地面に膝をつき、今後どうすればいいのかと頭を悩ませていると、不意にある事に気が付き、ポケットから先程王宮で貰ったステータスプレートとやらを取り出す。



「そう言えば、ゲームの時にはこんなアイテムなんてなかったが、これは一体何だ?」



 ゲーム時代、自キャラのステータスを見るにはメニュー画面を開いて、そこからステータス一覧に開くのが一般的なステータスの確認方法だった。


 こんな小さなプレートに自身のステータスが表記されるということは決してなかった。


 それに、このプレートに書かれているのは、持ち主の名前とレベルと職業と属性の三つのみ、HPやMP、保有スキル、装備している装備品の情報などは何一つ書かれていない。



「ハァー……一体どうなっているやら」



 ゲームの時代から百年の時が経っただけではなく、その他の設定やシステムの改変もしくは消滅してしまったのか?


 そんな事を思った僕だが、ふとある事を思い出して、ゲームの時と同じ要領で動作をする。



「ステータス、オープン!!」



 ゲームの時は、初級も初級、職業を問わずに、最初から使える魔法の一つとして自分のステータスを確認できる魔法が存在していた。その名もステータスオープン。名前の通り、自分のステータスを確認できる魔法だ。


 極少量だがMPを消費し更に現在時刻や所持金などは表示されないなど何かと不便であるため、面倒ではあるがゲームシステムのメニュー画面からステータスを確認していることが多かったたので、この魔法の存在をすっかり忘れていた。


 初めての魔法は無事に成功したらしく、問題なくゲーム時代とは少し異なり、目の間の宙に文字が表示されたが、日本語で情報が書かれれていた。


 僕は食い入るように羅列されていた文字を確認する。



名前 ショーマ

レベル100

上位職業 陰陽師

属性 闇


ステータス一覧

HP 6000

MP 12000

物理攻撃力 1100

魔法攻撃力 2200

物理防御力 1100

魔法防御力 2200

俊敏性 90



保有スキル一覧

アクティブスキル

鑑定眼(B)

式神召喚(S)

悪霊退散(A)


パッシブスキル

無し


エクストラスキル

泰山府君祭



装備品一覧

武器 無し

頭 無し

胴 無し

腕 無し

足 無し

靴 無し

装飾品 無し


使用可能魔法

ダークボール

ホーリーボール

キュアライト

etc……



 メニュー画面から見れるステータス画面とは異なり、現在時間、所持金やアイテムなど一部は表示されなかったが、ステータスオープンの魔法で、表示される情報はゲーム時代と全く同じだった。


 一先ず、ステータスプレートだけでは分からなかった情報を知る事ができて安堵した一方で、やっぱり学ランは装備品と認識されないことと、現在装備品がない事に対して再び強い危機感を抱いた。


 理由は、ゲームの時代、武器や防具を身に着けることで、物理攻撃力などのパラメータが大幅に上昇するからだ。


 例えば、職業や身に着ける防具にもよるが、魔法を使わない戦士系でレベル100の廃人プレイヤーがフル装備を纏えば、プレイヤー自身の基礎ステータスの約十倍以上まで数値が上昇するし、僕のような魔法職でも五倍以上は数値が上昇する。


 なので、はっきり言って、基礎となるプレイヤー自身のステータスよりも、装備品の方が重要視される傾向が強かった。


 更に、自動感知、攻撃力常時上昇、毒耐性などの常時発動しノーコストで使用できるパッシブスキルは基本的に、装備品を身に着けることで使用が可能になっていたのだが、装備品がないため、それらは一切使用できないのはとても痛手である。


 特にせめて報奨金倍化は欲しかった。心の底から。


 レベルアップすることで、プレイヤー自身が会得できるアクティブスキルと特定の上位職でレベル100でかつ、特殊なクエストをクリアして会得できる最高にして最強のスキルであるエクストラスキルが使用できるのはせめてもの救いだが、これらのスキルは任意で発動し、更に発動の際に何らかのコストを要求される攻撃系、もしくは攻撃補助系のスキルだ。


 なので、今の僕は攻撃だけなら悪手ではあるがアクティブスキルやエクストラスキルが使える分、ゲームの時にある程度近い強さを発揮できるかもしれないが、防御に関しては、間違いなく紙装甲と見るべきだろう。



「う~ん、やはり、これは一度、じっくりと検証する必要があるな」



 そう考えた僕は、いつまでも暗い路地裏で項垂れるのを止めて、取りあえず、今自分に何ができるのかを確かめるために、立ち上がった。






「あの~大丈夫ですか? さっきから何やら困っているように見えましたけど」



 と思った矢先、急に声が聞こえ、振り向くとそこには一人の少女がいた。


 年齢は、僕と同じか少し下くらい。髪の毛の色はオレンジのような独特な色で肌は白い。ゲーム時代はこういう現実離れした容姿をしたキャラクターは数多く見てきたが、この世界に来て実際に目にしたのは初めてだ。


 服装は、初心のプレイヤーが着るようなシャツその上に胸当てを付け、下は動き易そうなハーフパンツ、そして腰にはレイピアと思われる細い剣があった。



「ええと、大丈夫ですか? 衛兵さんとかを呼びますか?」



 どうやら、こちらを心配しているようだが、黒い学ランをマジマジと見つめている当たり、不審者か何かと間違われているのではという気分だ。



「ああ、大丈夫です。心配してくれてありがとうございます」


「そうですか。じゃあ、私急いでいるので、失礼しますね」



 そう言い残し、少女はこの場から急いで去っていく。


 その姿を後ろから眺めながら、僕は取りあえず、服装をこの世界に適した物に変えようと決意するのであった。





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