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オワリノの勇者   作者: ヤマタツヨシ
2/2

愚鈍な王国を救え2 (不運な少年)

サトルの過去

サトルはオンボロの教会の長椅子で、

鉄のパズルをいじっていた。


さっきのギルドの奴らにヒソヒソ話しにいらいらしていた。



なぜだ。

なぜはまらない。

このピースの形はここにハマるはずなのになぜかはまらない。


大きさが微妙に違う。

そして、ピースがどこか曲がっている気もする。

その隣のピースも、その隣のピースもなぜかハマりそうではまならい。


サトルは知恵の輪のように、鉄のピースをいじりながらこの世界に来た時のことを思い出していた。




大日本帝国大学の合格発表の、正午まで1分をきっていた。


まわりの受験生も固唾を飲んで発表が始まるのを今や遅しとまっている。


大日本帝国大学。日本の最高峰の最難関大学である。

サトルは不運にも現在2浪目だった。

それは本当に不運だったと言わざるおえない。


サトルは学校始まって以来の秀才と言われ、模試では全国1位の常連であり、大学日本帝国大学の合格判定はトリプルA判定だった。


本人はもちろん周りもサトルが落ちるわけないと思っていた。


落ちたらなにかの陰謀だとさえいわれていた。

しかし、サトルはとても不運だった。


まず最初の受験である、現役受験の時には、受験中に急性盲腸炎が発症した。


サトルは高熱と腹部の激痛に不屈の精神力でなんとか耐え、最後までテストを受けきった。

その後病院にいくと医者はこれはひどい、普通の人なら気絶しるよ。君は尋常じゃない精神力の持ち主だといわれた。


しかし最低合格点数に一点足りなかった。



二度目の受験では、入試に向かう途中に、シルバーのコンパクトカーにはねられた。


のちの診断で利き手の右腕が複雑骨折しているのがわかった。

腕はパンパンに腫れていた。

しかしその時のサトルは病院にもいかず、そのまま受験にむかった。

そして使い物にならない右手を捨て、いままでロクに文字も書いたことがない左手で答案を根性で書ききった。パンパンにに腫れた右腕の激痛に耐えながら。。。しかし、最低合格点には一点届かなかった。


そして三年目の今回についてサトルはぬるすぎると感じていた。


いままで幾度の障害があったのにこんなにも楽な入試は初めてだった。

小中高の一貫校を受験した時には、サトルは39度の高熱の中で受験した。

原因不明の熱で翌日にはすぐ良くなった。

しかし最低合格点には1点足りなかった。


中学受験の時には、またもや原因不明の熱で39度の高熱におかされた。しかし、サトルはこの時のために、日夜体を鍛えていた。そのため最低点で合格した。

しかし、合格発表の日に、父親の経営していた会社が倒産した。


母親と父親はサトルを守るため、

サトルを母の実家である鳥取のおばあちゃんに預けて、夜逃げをした。


そのあとサトルはおばあちゃんと二人きりで生活していた。


その後は公立中学校に通い、そして公立高校に進んだ。

公立高校は偏差値を真ん中ぐらいの普通校を選んだ。

受験当日に急激な腹痛を感じた、しかしそのままうけた。

病院に行くと医者はプロレスラーでものたうちまわる痛みなのに、よく耐えたね。と言われた。


激痛のなかでのテストだったが、難易度も普通な高校だったのでサトルは最低点から10点プラスで合格できた。


これがサトルのいままでの半生である。

それに比べたら今回の受験は全く何もなく、

順調であった。

自己採点では全教科満点であった。


さて、時間だ。

合格発表の掲示板にかけられている、

真っ白なシートが外された。


そこにサトルの番号は無かった。


頭が始めて真っ白となった。

その後はどうやってアパートに帰ってきたか憶えていない。

気づけばアパートの階段を登っていた。


オンボロのアパートの階段は一段登るたびにきしむ。


どうせ合格すると思い契約したアパートは風呂、トイレ共同の畳4畳で1万5000円だった。

写真を友人に見せるも口を揃えてあり得ない、

ボロすぎ。無理。と言っていた。


サトルは簡単に開きそうな鍵を開けると、暗いなか、畳に寝転び、天井を見上げてボーとしていた。



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