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凄腕Player Killerは、死亡遊戯の地にて罪を重ねる  作者: 不来 末才
「◾️◾️の◾️◾️」
14/14

1-13

こんばんはおはようございます。


 PKK。

 プレイヤーキラーキリングの略称。

 PKをする輩のみを対象に無力化・殺す行為。あるいは人のこと。

 主にPKerにやられた仲間の敵討ちや、治安の維持などを目的に行われる。

 安易な表現をするなら(PK)を倒す、正義の味方である。


「俺らがするのか? 今? ここで?」

「そうですよ」


 なにを当たり前なことを。

 そう言いたげな態度でノーシャは肯定した。

 銃に給弾しているところ見ると、どうやら冗談で言っているわけでもないようだ。


「なんで……」

「なんでって、必要だからですよ」

「必要ってどうい……」

「ロスト」


 ノーシャはそう俺の名前を呼ぶと、じっと顔を見つめてくる。思わず話すのをやめてしまう。


「一つ質問します。あなたはあの少女をあのままにして見過ごすのですか?」

「それは……」


 まるで今日の夕飯何にしようかと聞くかのような、そんなラフな感じでノーシャは訪ねてくる。

 答えに言いよどむ。

 そんなの即答できるはずがない。


 未だに「ごめんなさい」と言いながら、ナイフを何度も指している少女。その様をPKerの二人は後ろでニヤニヤ笑いながら眺めている。

 先ほどの会話の内容や、雰囲気から彼女が彼らの言いなりになっているのは明らかだった。

 その姿を見て憐れみを感じ、助けてあげたいと誰だって思うはずだ。

 事実、俺だって思わないわけではない。

 だがそのために、自分たちの命を危険にさらせるかは話が別だ。

 ゲームならいい。感情に突き動かされて挑みかかり、その結果死んだとしてもゲームなら生き返れる。でもゲームはゲームでも、今はデスゲームだ。

 簡単に命をベットするわけにはいかないのだ。

 するにしても慎重に見極めなければならない。

 だからこそ俺は今PKされている最中の男を助けることなく見過ごしたんだから。

 その意思は変わることはない。ないと思うのだが……。

 改めて「助けないのか」と問われ、しかも訊ねてきたほうが乗り気の今、容赦なく切り捨てることもできないわけで。


「わかった。……やろう。ただし作戦次第だし、誰一人殺さないのが条件だ」


 渋々、そう答えるしかなかった。

 ノーシャはさも当然といった様子でうなずく。


「そうですか。良かったです相棒が判断を誤るような人じゃなくて。まぁPKKといっても、さすがに殺そうとは思っていません。救助を第一に、可能であれば男どもの無力化を目標にしましょう」

「それって具体的には?」

「せっかくこれまでの採集で()()()()()()()()()()、そちらを使おうかと」

「……なるほどね」


 ノーシャの提案を頭の中で施行してみる。

 俺とノーシャの二つ名、能力。

 対象の見てくれから予想できる戦闘スタイル。

 起きるかもしれないアクシデント。そうなった時の対処法。

 想像できるかぎりの要素を加味していく。

 ……いけなくもなさそうだ。


「よし、それでいこう」

「了解です。まぁ私たちならまずありえないと思いますが、死にそうだと思った場合は各自の判断で離脱するということで」

「当たり前だ。俺はあくまで自分の命第一にやらせてもらうからな」

「分かってます。それで十分です」


 その後簡単に打ち合わせを済ませた後、俺たちは行動を始めた。



 呼吸を整える。

 いま一つの茂みを挟んだ先に、PKer――今回の敵――がいる。

 ようやく人殺し(PK)は終わり、彼らは思い思いのことをしている最中だ。

 改めて深呼吸をする。

 慌てるな。下手なことをするな。バレるぞ。

 そう言い聞かせても、浮足立ってしまう。

 あまりの不甲斐なさに嫌気がさす、しかし仕方ないだろう。もしかしたら死ぬかもしれないんだから。ここで落ち着けというのが無理な話だ。


 やっぱりノーシャを説得してでも、この場から去るべきだったんじゃないだろうか。

 弱気な考えが出てくるが、あえて無視する。

 もう賽は投げられた。であるなら今からおきる戦いに集中するべきだろう。

 三人のPKerたちを茂み越しに確認する。

 皮鎧を装備した軽剣士風の男と、ゆったりとしたローブを身にまとった魔術師風の男。さっきからPKを嬉々と行っていた奴らだ。

 さっき死んだ男の様子を――死ぬまで動けなかったことを――思い出す。それを踏まえるにどちらかが動きを止める手段、麻痺毒か麻痺呪術を持ってるはずだ。食らわないように立ち回る必要がある。今のところ二人は暢気に会話をしている。どうやら先ほど死んだ男の真似をして笑っているようだ。完全に油断しきっている。

 最後の一人であるメイド服の少女は黙々と獲物がまき散らしたドロップアイテムを拾っている。装備は戦闘に耐えられそうもないメイド服に、貧相なナイフ一本だけ。脅威度でいえば0に等しい。だが、今回のPKKの目的はあくまで彼女の救出だ。戦闘中にダメージを負わせないように気を付けなければならない。

 幸い男たちと少女の距離はそれなりに離れている。最初のポジションの確保さえできれば彼女を守りながら戦えるだろう。

 そうしているうちに気分もいくらか落ち着いてきた。

 そろそろだろうか。

 ……覚悟を決めよう。


 後方で腹を震わせるような発砲音が鳴り響く。それと同時に魔術師風の男の胸に被弾のエフェクトが散った。

 PKKの始まりだ。

 俺は茂みから飛び出す。



読んでいただきありがとうございます。


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