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ムールのキセキ  作者: りざりざ
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プロローグ的な

その国は建国の時から既に、立地と土地柄から、決して大国とはなれない宿命を背負っていた。


あまり裕福ではない農村と、付近の交通の要衝として栄えたいくつかの町。それらが自らと隣人たちの安全のためにと生まれた寄り合いの国。


四方を川に囲まれ、平原や山岳に住む、魔物や荒くれ者達に怯えつつ生きる、弱者の典型。


また、いずれ世界の覇権を争うであろう大国達との関係にも、その国の首脳部は頭を悩ませていた。


いつしか地図から消え去ったその国、「ムール」はしかし、ある時ひとたびの奇跡を享受する。


これは、そのムールが、歴史に輝いて消える刹那の物語である。




こんにちは。こんばんは?


ともかく、はじめまして。

ダリル村の道具屋で見習いをしています、カリンと言います。どうぞ、お見知り置きを。


ところで、あなたは歴史に興味がおありですか?


僕はとても興味があります!

先人達の生きたその証。歴史に刻まれた偉業や悪行、災厄。それらによってかよらずか変化する世界。


僕達エルフはその長命さから、多くの人間やドワーフ達のように、富を築いたり、名声を得たりと言った生の中での目標の達成には比較的消極的だとされています。


しかし一方で、ある種の人間達のように、学問や芸術、哲学といった形のない精神的営みに喜びを見出すことが多いです。もちろん、生活を営む程度の仕事はしますけれどね。


僕もどうやらその例にもれず、なにより歴史への探究心が幼い頃から旺盛でした。


しかしその類の本は大きな街の図書館くらいにしかないもので、僕のような田舎エルフには、先人達が村の書庫に残したわずかな書籍だけが全てでした。


悲しいかな、多くのエルフ達も自らの満足のために労働し、わずかな稼ぎで本の購入費や旅費を捻出していました。


だから、本当に偶然というか、奇跡だったんですよ。


あの手記が、僕の手元に転がり込んできたのは。




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