プロローグ
一人の少女が一人の男性とともに異世界で生きていくための術を身に着けていくお話です。
ひどく雨の降る夜。
「早く雨止んで欲しいな……」
そう話すのは十四歳の女の子。名前はローゼ・ブラオ。小柄で、しかしとてもいいスタイルをしている。腰まで伸びた藍色の髪の毛と、ビー玉のように透き通った青紫の瞳を持っている。
「雨は気分まで悪くなるから好きになれないなぁ……」
そう言いながらカーテンを閉め、机に向かい座る。いつも通り本に手を伸ばす。その瞬間、
――ゴロゴロゴロ
「きゃっ……」
突然の光とともに大きな音がした。近くに雷が落ちたらしい。
「今日はもう寝よう。起きたらきっと晴れてるはず!」
――パチッ
ローズは、電気を消して布団を頭からかぶり、耳をふさぎながら眠りに着いた。
翌朝。ローズは心地よい小鳥の鳴き声に目を覚ます。寝ている間にすっかり雨は上がり雷はどこかへ行った様だ。布団から出て朝食の準備をする。今日の朝食は、トーストに目玉焼きをのせて塩をふりかけただけの簡単なものだ。
「今日は何の本を借りてこようかな~」
トーストを食べ終わると学校の準備を始めた。ローズにとって学校は図書館のようなものであった。入学時、「たくさんの本がタダで読める」とローズはとても喜んだ。小さい頃から本を読んでいたため、学校の勉強はとても簡単で、ローズは毎日退屈していた。昼休みと放課後を除いては。そして今日もその時間を楽しみにローズは学校へ向かう。そこに、怪しげな影が彼女の後ろに現れる――
最後までお読みいただきありがとうございます。初投稿作品で、至らないところもたくさんあると思いますが、最後までお読みいただけると幸いです。