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小指  作者: M.O.I.F.
5/8

捨てられたコワレセカイの慟哭

5話目くらいです。

ようやく冒頭1話の前まで繋がります

次くらいからグロ要素が入ると思いますのでご注意を。


体中が痛い。


…夕日がまぶしい。


…何で裏山で寝っころがってるんだろう


ここで何してたんだっけ。


とっさに動こうとするが体中が痛んで動けない

うつぶせの体制から何とか首から上を無理やり夕日に向ける

地平線に消えていこうとする夕日は世界を赤く染め上げていく

真っ白になりそうな頭を働かせようと光を顔に受ける

当たった所が直ぐに軽く火照ったようになった


…あたたかい


かすかに力が湧く


「…なにしてたんだっけ…?」


相変わらず動かない体を無理やり左右に振ってみる

すると右の小指だけが体の動きに反して引っ張られた


…あれ?


私の小指、どうしちゃったんだろう


急に頭が痛くなる

顔をしかめながらも小指のほうを見ようと夕日から顔を背ける


「…なんにも、ない…?」


あれ?


そうだったっけ?


ガサガサッ!


後ろのほうに何かが落ちた

私は驚き、落ちたほうを見る


瞬間、

私の全身は凍った



あ?れ???


頭が痛い…!

痛い

痛い

イタイ


(あの世はどんな世界だろうね!


イタイヨ…!


(赤い糸は…


イタイ…!


(そうやって死ぬとあの世でも来世でも一緒になれるんだよ


私…


僕達あの世でも来世でも一緒だよ!


「私は!!?」


いつの間にか彼の傍まで這っていた私は絶叫した


私の世界が壊れた


そうだ…私、

私達は…!

じゃあここは!?

わたしは!!?


「相沢君!!」


彼の耳元で力の限り叫ぶ


いやだよッ!


おいて…いかないでよぉ!!


産み捨てられた世界の中で孤独の中で、私はどうしたらいいのだろう


力の限り、彼が戻ってくるように

涙で顔がグシャグシャになろうとも


叫ぶ―


でも二度と―

二度と、彼が動くことはなかった


のどが枯れ果て、気がついたときには辺りはもう暗くなっていた


…もういい


すべて、終わってしまった

私のすべてだったものは

私の、世界は…

私をおいていってしまった


「こんなッッ、こんなことならッっっ!!!」



泣き崩れた私はふと小指を見る

すると小指には―


赤い糸がついていた


さっきはなかったのに―


「っふふふ!」


そうか


「あはっははっははははっははははっっ!!!!」


闇夜につぶれた笑い声が響く


私は空を見上げた

目の前が真っ赤に染まっていく


私の赤い糸―


「私をみてくれてるんだよね!??

まってて、くれてるんだよね?

私達は、一緒なんだよね!!!」


枯れた声で叫び、彼にしがみ付く

もう、体の痛みだってどうでもいい

だって彼は―


赤い糸で結ばれてるから。


それだけで、十分だった


でも…私……


もう、抜け殻になった相沢君の小指を見る

力ない体と一緒に横たわるその小指は


もう、私にとってのすべてだった


「繋がったあなたが、ほしいの。」


そう、だってあなたは―


ワタシノセカイダ。




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