苦しみ、痛み、存在の理由を
2話です。
あんまり話進んでないですが…
まだまだ拙い構成ですがどうかお付き合いくださいます様…
その日は妙に風が強かった
「死ぬの?」
私はその声色に不信感を混ぜずにはいられなかった
死んだらどうなってしまうか考えたことがある
そのとき私の中での答えは
なにもない
先なんてものがさまざまな宗教で言われているけど
一体誰がそれを証明できるだろう
死の先なんてそんなものだと思っていた私に
彼の言葉は不審にしか映らなかった
彼はうれしそうな様子を変えずに
「そうだよ」と続ける。
「死んだ先にはね、あの世があってそれはこの世界のどこにもない
それこそ幻想のような世界が広がっている。
だから、一緒に死のう?
こんな世界には意味なんてない。
あるのは死後だけ。」
彼にそんなオカルトチックな一面があるとは知らなかった
私は椅子から立ち上がり
「そんなことはない」といって扉へ足を向けた
風の音がうるさい
後ろで彼も立ち上がる
「理由は?」
「…」
彼のだって根拠も理由もありはしない
振り返ってはっきりといってやろうと顔を向けようとして止まった
後ろでばさばさとカーテンがなびいていた
―
―
理由。
理由…?
生きる理由?
死にたい理由?
ここにいる理由。
そんな…大事なこと。
どうしてはっきりいえないんだろう
―
心の中で葛藤する私の姿を知ってか知らずか、彼はやさしい声で言った
「…ないだろう?」
「…わからないよ」
そう答える私の心はいつの間にか過去の思い出を必死に探っていた。
私って生きていたいと願ったこと
あったっけ…?
死の先には何もない
生の先なんて考えたこともない
不意に心の奥に封印していた記憶に触れる
とたんに心が鉛になったかのように重くなった
心臓は狂ったように鳴り出す
胸の中を裂いて苦しみを取り出したい
私は両手を胸の真ん中でぎゅっと強く握った
その日の夜
「次の日に返事を」といって彼と別れた私は
布団の上で封印したはずの過去を思い出していた
3話は彼女の過去と次の日の話です。