空席
同人サークルMake Only Innocent Fantasy 四槻想介です。
連載物としては初投稿になるかと思います。
ホラー特集にあわせた話にして行こうと思っています。
どうぞお手柔らかに…
私の隣の席が空席になったのはつい先週のことだった。
高校生活も3年目になってこのまま卒業を迎えるばかりだと誰もが思っていた。
それだけに、彼の死はクラスに大きな影を落とした。
朝のホームルームでは未だに先生が彼の名前のまで来ると泣き出してしまう。
つられて一部の女子たちも泣き出してしまうので
クラスは最近いつも重苦しいような、息苦しさに満ちていた。
それだけ彼がクラスに与えていた明るさとエネルギーは
私たちにとってかけがえのないものだった。
「何で相沢君を殺したの!?」
彼が死んだ次の日皆に詰め寄られた。
そう、彼は私が殺したようなものだった。
かなり酷い事も言われたし、この一週間影で殴られたりもした。
でも私はそれもしょうがないと半ば受け入れていた。
本当のことだから。
埋まることのなくなった空席を見るたびに私の心を押しつぶされそうになる。
そしてその度に右手の小指を目の前に掲げながら彼のことを思い出す。
そしてすぐ傍で笑う彼の顔を―。
「運命の赤い糸って信じてる?」
彼が死ぬ3日前、彼は突然そう話し出した。
当時私は相沢君と付き合う仲だった。
「小指が運命の人とつながっているって言う、あの?」
向かい合う彼は目を輝かせ
「そう、それ。
その話、何で小指に結んであるんだと思う?」
と続け、その理由を話し出した。
「小指はね、前世の指なんだ。
だから、昔添い遂げた相手を覚えていてずっと探し続けている。」
私は小首をかしげながら
「前世の?」
と少し怪訝に聞き返す。
彼にとってはその返事でも十分ならしく、笑顔で頷いた。
そして、こう続けた。
「そう、だから
僕と一緒に死んでくれないか?」