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ネガイシステム  作者: ぼんべい
六章 一人でダメなら二人で殴れ それでもダメなら千人で殴れ
46/62

6ー5

 「オコゼ!いくわよ!」

 (なに、こんな事は推測済み!こっちには別の作戦だってある、とっておきの、悪魔の物語りが、ね!)

 たこ糸の先の楔を一条が投げると、

 「よっしゃ、こい!」

 と、身を逸らしてかわしたレディ・ピエロの向こう側で長谷川がそれを掴む。と同時に長谷川も自分が持っているたこ糸の先の楔を投げ、再び身を逸らすレディ・ピエロの反対側でがっしりと一条がそれを掴む。

 それを仮面の無機質な目で追うレディ・ピエロ。さらに二人は楔を投げ合い数本の糸が道化を被う。

 「!!?!」

 そして、最後に投げた二人の楔がたこ糸をレディ・ピエロの腕に巻き付かせた。長谷川の放ったそれは道化の右腕を、一条の放ったそれは道化の左腕を。

 作戦その二。蜘蛛の糸作戦(という名前の単なるたこ糸による絡め取り)。斬撃による白兵戦に集中しそれに体が馴染めば馴染む程、こういう突然の中距離攻撃に目も体も追い付かなくなる。

 もちろん、レディ・ピエロの身体能力ならこんな子供だましすぐに逃げ出されてしまう。しかし、今は『魔銃』を撃ち込むほんの一瞬の隙さえあればそれで充分。

 「これで終わりだ!」

 力強く告げながら長谷川は『魔銃』をレディ・ピエロに向ける。


 【神の力の前ではどんな物理演算もかなわない】

 【悪魔の力の前ではどんな神聖な道標も意味をなさない】


 案の定、その銃口から飛びのいて避けようとする道化の体をたこ糸がぐいと押さえ付ける。

 かのように、見えた。

 しかしそれはレディ・ピエロが体勢を取るために逆にそれらの束縛を利用しただけだった。長谷川は、近すぎた。さっきまでナイフという近接武器を使っていたのだから仕方が無い。

 レディ・ピエロが後ろ蹴りを容赦無く長谷川の腹に喰らわせた。がはぁ、と、胃液を吐いて、長谷川はそのまま崩れ落ちた。

 「、、オコゼ!」

 突然の惨劇に気が動転し一拍遅れて一条が叫んだ時には、レディ・ピエロは自由になった右手でたこ糸を瞬時に切り離す。

 そしてまるで今の事など無かったかのように一条に飛びかかった。その物言わぬ仮面がぐいと一条に近寄る。その微笑んだ仮面がぐいと一条に近付く。

 「ひっ!」

 本能が咄嗟に一条に刺突剣を構えさせるが、道化の一撃が難なくそれを弾き飛ばす。さらに近寄る道化、後ずさる一条、

 ひゅんひゅんひゅん

 その一瞬で大きく肌を露出していた一条は体に無数の傷を負った。左肩のブラの紐も切り裂かれカップがめくれそうになる。

 しかし、一条は痛みなんか感じなかった。まるで親に叱られている小さな子供のように目を大きく見開いてそれを潤ませて、微かに体を振るわせ、一歩後ずさるがその震える足は体を支えきれずそのまま座り込んでしまう。


 【月明かりは平等に照らす 生贄も、か弱き乙女も無力な少年も 殺戮者をも】


 一条はその笑っている道化の仮面を、何もない道化の瞳を、見上げた。

 レディ・ピエロは一歩近寄り哀れな乙女の目の前に仁王立ちになると、静かに刃物を持つ両腕を上げた。

一条の絶望感とかもっと書けたはずですね。この時はアニメシーンを思い浮かべてそれを描写する、みたいな書き方をしていました。今はこういうシーンなら日本語でどう表現できるだろうか、どう表現したら面白いだろうか、と考えながら書いています。想定読者がいるのでどういう風に表現したらわかりやすいだろうか、という所にも気を配れるようになれましたね。

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