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ネガイシステム  作者: ぼんべい
三章 ヘヴィな話、ヘヴィな現実
21/62

3ー3

 ○ ○ ○


 午前五時半、母親起床。

 眠そうに目を擦りながら家のカーテンを広げ窓を開けると朝食を作る。特にドリップがお気に入りのようで深煎りのモカを濃い目に淹れる。


 六時半、姪起床。

 小学校二年生にしてはよく出来た女の子で、お母さんおはようと抱き付きながらキスをして、お母さんはそれを満面の笑みで迎える。母親のくれたミルクを飲みながら、いつもありがとう、と、本心で伝える。


 七時半、姪登校。

 母親は洗い物を中断してお見送りをする。気を付けるのよ、と伝え、キスと共に送り出す。姪はランドセルを背負い笑顔で元気良く行ってきまぁす。


 八時、連続テレビ小説『あんころ餌』。


 八時半、母親出社準備。

 それまで読んでいた新聞を畳むと丁寧に化粧をして慎重に選んだスーツに着替え、きちんと身なりを整え鏡の前で検分する。その様子はアンドウのそれとはまた違った物なのだろうが、見る人が見れば同じに見えるだろう。例えば、俺、だとか。


 九時二十分、白いインサイトで出勤。

 その車のセンスはどうなんだろうか。方向指示器を出すタイミングが遅れクラクションを鳴らされる。その時に舌打ちをする。


 十時二十分、姪、男性体育教諭に執拗に体を触られる。

 鉄棒の授業なので一応論理的な説明になるし、体を触られているのは姪だけでは無かったが、あれはやはりセクハラに該当するのではないだろうか。将来自分が娘を持った時は通わせる学校の先生には注意を払う事を決意。もっとも、その時にはこっちの世界には居ないとは思うが。


 十二時、母親昼食。

 会食を兼ねて近くの寿司屋に入る。相手は立派なスーツを着た壮年男性。しかし気後れはまったく見せない。俺は朝に買ってきておいた朝マックを齧る。


 十二時四十分、姪、給食。

 友達のゼリーを取り上げた男子生徒を堂々と注意する。その男子生徒がしょげて素直に従う所を見ると、どうやら姪のポジションはクラスの中でかなり高い所にあるらしい。


 午後一時、母親昼メロ。

 社長室で見ていた母親は際どいシーンで少し身を乗り出す。


 二時、母親激怒。

 シャープペンシルの仕入れにミスがあったらしく二十分程叱りつける。どう見ても相手は自分より年上の男性だったが、その男性がぶち切れて殴りかかる事は無くただぺこぺこと頭を下げてその説教を聞いている。


 三時半、姪、下校。

 仲の良い友達数名と一緒に帰るが、特に寄り道もする事無く素直に帰る。家に付くと植木鉢の下に隠してあった鍵を使って中に入り、鼻歌混じりに明日の準備を始め、宿題に取り組む。


 六時、母親二回目の激怒。

 アダルトグッズの仕入れに問題があったらしい。やはり年上の男性相手にバイブレーターをぶんぶんと振りながら怒鳴る。ちなみに姪はちょうどテレビでやってる魔法少女の変身シーンに合わせ偶然にも同じようにステッキをぶんぶんと振り回していた。


 七時、両者共夕食。

 姪の居る家にはデリバリーが届く。今夜は中華料理らしくエビチリとミニラーメンだった。慣れているのかきちんとお会計を済ませ、テーブルに置くと食べ始める。ラーメンに入っているナルトを箸で持ち上げると何故かその渦巻きを三十秒程眺めてからぱくりと食べた。

 母親はやはり会食を兼ねて外食。この辺りでは高級そうな料亭に今度は若い男性と入っていく。その男性は前回の選挙の時に見た顔だった事を思い出す。

 俺はこれもやはり朝に買っておいたコンビニのおにぎりを二つ頬張る。鮭といくらでどちらも好物だ。


 八時、姪、入浴。

 さすがに風呂の中までは覗けない。しかし自分で洗い物やお風呂の準備までこなすとは。よく訓練された子供だ事だ。しかもやらされてる感が一切無く、まるでそれを楽しんでいるかのように見える。


 九時、姪、就寝。

 母親は料亭の後帰るのかと思いきや、再び会社に戻り仕事を再開している。まだデスクであれこれ書類に目を通してはサインをしたり電話を掛けたりしている。


 十時半、母親帰宅。

 姪の就寝により玄関外以外一度全て消えた明かりが再び灯る。さすがにこの時間だ、姪がお出迎えする事は無かった。

 母親は疲れた様子で服を脱ぎ温め直した風呂に入ると、缶ビールを一本開けた後そっと姪にキスをしてから自分の部屋のベッドに入った。

 丁度今日と明日の境目の時間だった。


 ○ ○ ○


この日記形式(日記ではありませんが)の表現は気に入ってます。ネタの入れどころですよね。全体の構成ですが、とりあえず書きあがったのを後からほぼ等間隔になるようにぶつぎりにしたんですよね。だから章ごとの構成が出来てないのです。

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