決着!
第一章完結です^^新たなる戦いが始まります。………そして、過去編も。
日が沈み掛けているなかで、ルーク・アルデヒドは眼を覚ました。
「この俺があんな直ぐに負けるとは……流石は七聖覇者と言ったところか」
蓮はルークの目の前に立ち、見下ろしている。
「まだKAEZには引き渡さない。俺が逃げないといけなくなるからな」
ルークは抵抗する気は無いとでも言うように俯いた。
「お前は、北の大国の元騎士団長。そんなやつが何で……」
この世界には、五つの大国(北東西南、中央)があって、それぞれにKAEZの支部がある。KAEZが魔法政府と言われる由縁は、大国の政府が貿易などの国の安泰を担当し、KAEZは軍備、騎士の育成を担当していることからくる。
「『永遠の力』さ。このラヴェール王国には秘密があるのさ。国王すら知らない重要機密がな」
ルークは静かに語り始めた。永遠の力とは隠語である。その本当の意味は
「『永遠の力』……古代兵器のことか」
蓮は正体を知っていた。
「この国には隠されている。そして、古代兵器の復活には、オーパーツと…「聖」属性の魔力がいる」
ルークはオーパーツの1つ「天馬の蹄」を所持していた。オーパーツとは、魔法誕生の創世記から存在した、所持するだけで賢者クラスの魔法を扱えるともいわれる三つの秘法であった。……実際は適合したものしか魔法は扱えないが。
「それは薄々感ずいていた。……もう1つ聞きたい」
「征六龍火。俺はお前らのギルドの話を聞いたことがある。構成人数は六人。全部探知しかしていないからわからないが……五人しかいない」
蓮はただならぬ気配を感じていた。酷く鋭い殺気、万全の体勢で蓮は静かに振り向く。そこには、黒い装束を身に纏った小柄な少年が立っていた。フードからのぞかせるその瞳は、少年にもかかわらず大魔導のような知性を感じられた。
「お前は………?」
「僕は久城。このギルドの指揮をしている。………全ては僕が描いたシナリオに過ぎない」
久城は嘲笑うように微笑んだ。
「ルーク、ありがとう。君が無様に負けてくれたおかげで僕が描いたシナリオ通りに進みそうだ」
「全て想定内だったってことか…!」
冷たい風が流れるこの場の雰囲気に、蓮の焔は爆発した。
「とっととやろうぜ…! オレは今最高に急いでいる。敵を倒したら、さらなる敵が……ってシナリオは好きだ!!」
久城は手をクイッと寄せ、挑発した。
「良いだろう。来なよ。七聖覇者、あんたの戦闘パターンは解析済みだ」
久城の右腕が、蒼い焔で揺らめいている。不気味に、そして激しく静かな魔力だった。──────おそらく奴の魔法は相手に自分の魔力を適応させる系統だろう。そう解釈した蓮は先手を取り、炎のエネルギー波を数発打ち込んだ。久城は焔の揺らめいている右腕で凪ぎ払うと、蓮に向かって駆け出す。どこからともかく出現させた槍を構え、駆けながら矛先を蓮に定めた。戦闘の勝敗を左右するのは、魔法の読みあいである。
「格段に動きがよくなっている!? ……だか、想定内だ!」
久城は蓮に向けた槍を地面に突き刺し、叫んだ。
「悪いが、一気に片を付けさせてもらう。現れよ、魑魅魍魎の主!」
禍々しきオーラを解き放ちながら、大地が震え始めた。蓮の額に汗がにじむ。久城は静かに笑いながら、地面に更に槍を突き刺していく。
(大地にエネルギーを送り呼び出す召喚魔法か……魑魅魍魎の主……ヤバイかも)
蓮は先ほどと同じく先手必勝と言わんばかりに腕に焔をまとい駆け出した。
「今のうちに仕留めてやる!!」
召喚魔法は立つどうすれば強力だが、召喚の際に身動きが取れないのと、妨害されてしまえば一からやりなさねばいけないなどと隙が大きい。その隙を突くべく焔の拳を放とうとした瞬間、久城の真下から、黒い影が現れた。その影は、蓮を包み込もうとする。
「闇に飲まれろ!!」
蓮の窮地に、久城は満面の笑みを浮かべた。技を繰り出すタイミングが一歩遅かった。影に捕まれば抜け出せなくなる。しかし、笑う久城を、鋭い痛みが襲った。銀色の長いものが、一瞬蓮の視界に入ると、ク城の腹部に、刀が突き刺さった。
「俺らの負けだ」
そう呟いたのはルークだった。彼は魔法を封じられているその体で、最後の力を振り絞り刀を放ったのだった。この隙を蓮は逃さず、飲まれる寸前で、久城にとどめをさすべく無数の焔の礫を放つ。
「き、貴様!」
久城は崩れ去っていく。これで全てが終わった。蓮は微笑みながら、地面に倒れた。ルークも、意識を失った。
†
「蓮!! 今までどこにいたの?」
目を冷ました美紀が蓮に言った。蓮は再会を喜ぶように微笑むと
「美紀、久しぶりだな 会いたかった」
僅かに蓮の眼に水滴が浮かぶ。悲しみを堪えるように、蓮は歩き出した。美紀と香、真神が続いていく。
「このあとどうするんだ? 」
真神が聞いた。彼はボロボロになっていたが、何とか歩けていた。
「オレはKAEZには戻れない。たちまち消されてしまうからな」
そう言いながら蓮は王宮に入っていく。王宮に 王族が拘束されているはずだ。
「よくぞ助け出してくれた!!! 国民はどうなった!?」
助け出されたラヴェール王国 国王は言った。衰弱こそしていないが、多少疲れている。
「探索部隊が約94%が避難したと報告しています。 被害者は約9万人 程度かと」
香が静かに言った。国王は酷く悲しみ、嘆いた。
「オレは行くよ。じゃあまたな。お前らのピンチには、きっと駆けつけるから、洸助にヨロシク」
ラヴェール王国を出る頃に、蓮はそう言って去っていった。彼は知らなかった。自分の親友はどこかへ消えたことを……。
真神たちは列車で帰路についた。レインと真神は暫く治療を受けなければならない。
そして、列車の中
「あれ!? 何これ!?」
美紀が見知らぬ封筒を出した。彼女の胸ポケットに入っていたのだ。小さな茶封筒は、任意の人以外は開けられないように魔法が掛けられていた。
「狭間からのだな」
霧ヶ峰が封筒を眺める。差出人は確かに狭間蓮だった。
『みんなへ
知ってると思うが、オレはKAEZに狙われている。だからお前らとは一緒にいられないんだ。
…だが安心してくれ、オレはこれからも無事だ。
詳しくは言えないが、KAEZが手を出せないところに身を潜めている。
手紙を残したのは、みんなに1つ願いがあるんだ。
────────今から2ヶ月後、北の霊峰に誰か来てほしい。かなりヤバイことがおこる。俺一人では倒せない。
頼むぞ!』
手紙はそこで終わっていた。読み終えた一同は困惑する。手紙の内容が理解できないのだ。
「どういうことなんでしょう?」
香がきょとんとしている。列車はKAEZ西南支部付近まできていた。
「とりあえず、行ってみたら解るんじゃないか…?」
レインが何処からともかく姿を現した。彼は隣の車両にいたはずだが…?
「お前ら、声が大きいよ。聞耳のスキルが高いと聞こえるんだ。」
「お前スゴいな…。」
真神が呟いた。香の目は珍しい物を見ているように輝いていた。
彼らはKAEZへと帰還した。結城たちB部隊の生き残りも、無事に帰還できたようだ。