ラヴェール王国 攻防戦!!
OVER-DRIVEにも出てくる国や人物が登場しますが、
ほとんどが別物です。ご了承下さい~
OVER-DRIVE、絶賛(?)連載中ですぜひこちらもどうぞ^^(宣伝
風が吹き荒れる。
望月雄塀達六名の魔戦士は、先に向かっている結城龍之助率いるB部隊と合流するため、列車で向かう。
「今回の敵って、有名な闇魔戦士なんですか?」
この四年間で、KAEZでも指折りの治癒魔戦士となった香が尋ねた。
「あぁ、……『征六龍火って言ってね、近年、力をつけてきたみたいだ。」
「調査部隊の報告では、住民は皆避難したけど王族が人質になっているらしいぞ。」
六名は列車に乗り込む。ほとんどが複雑な表情をしている。彼らが再会したのは、運命のいたずらか、本部の策略か、しかし、このメンバーには 二人足りない。…………重要な人物が、二人足りないのだ。
KAEZ上層部に無実の罪を着せられ逃亡した斉天大聖 狭間蓮と、そしてもう1人………。
四年前 KAEZ本部
狭間蓮が死亡したと発表されたとき、仲間は信じなかった。その時、彼はKAEZ本部冥皇五帝(KAEZの最高権力者の五人)の1人、洙廉総帥に呼び出されていた。彼、時名洸助は……。
「何ですか?洙廉総帥」
軽蔑の眼差しで洙廉を睨む。彼らの間に何かがあったことは間違いない。
「何の用かはわかっているだろう? ……我が息子よ」
洸助は拳をぎゅっと握り、怒りが込み上げている。
「あんたとはもう、親子の縁は切れている」
静かに言い放つ。
「狭間蓮のこと……気づいてないとでも思ったか?」
洸助はまだ知らなかった。狭間蓮が冥皇五帝(総帥)だけが動かせる 特殊暗殺部隊『骸』を使って 蓮を急襲させたことを。
「お前! 蓮に何をした!」
声を荒げながら、洸助の魔力が増幅していく。
「全てはお前が悪いんだ。『七聖覇者』を滅ぼす一族に生まれながら、親友になるなど……お前には、やるべきことがある。」
七聖覇者とは、その存在によって一国の運命が左右される程の大魔法を継承した選ばれし者達。強き者と戦えば戦うほど実力を上げていき、ほとんどの魔戦士は伝説程度にしかしれわたっていない。洸助は動揺と同時に、困惑した。
「お前の眠っている力を目覚めさせよう。今のお前では、七聖覇者と戦えばたちまち消される。」
洙廉がニヤリと笑うと、突如後ろの扉から黒服の男が三人現れ洸助を押さえつけた。彼の必死の抵抗をものともせず強い力で沈めさせる。
「くそっ!!、は、離せ!!」
─────俺は、蓮を探さなきゃいけないのに!初めての、親友を…!!
「……地下科学研究所へ連れて行け 『運命の息子』計画を始動させる」
洸助は、政府のものもほとんど知らない極秘施設に連れて行かれた。
現在 列車
「何か…寒いですね」
コートを羽織りながら、香が呟いた。ラヴェール王国は平均気温が18℃と寒い。
列車は、KAEZ西南支部前駅から北上し、約200km離れたラヴェール王国の隣国、タニア独立連邦に停車した。
「ここから数時間徒歩で移動し、ラヴェール王国に潜入する」
雄塀が手袋をはめながら、静かに言った。KAEZの魔戦士は戦闘時に手袋を着用している。
「潜入か………腕がなるぜ」
「その前に、B部隊と合流しなければいけない」
「結城か……。よし、とっとと行こう!」
レインが険しい顔になり、ラヴェール王国に向けて歩き出した。全員ついていく。
「ねぇ、霧ヶ峰君。『彼』のことがわかったって言ってたよね?」
香が道中、霧ヶ峰に兼ねてから思っていたことを尋ねた。
「……あぁ、『彼』の目撃情報があったんだ。四年間全く無かったのに」
香の頬を雫が滴った。
一筋の涙が、哀しみと嬉しさを交えて、降下していく。
「い、生きてるのね?」
香は無理やり笑みを浮かべる。霧ヶ峰も、状況を察し俯く。
「おい、見えてきたぞ、ラヴェール王国だ」
一同の顔付きがガラリと変わった。ラヴェール王国は、誰もいないかのように静まり返っている。六人は、王国の城壁を見上げた。並みの部隊では突破できなさそうな頑丈な塀に、魔方陣が張り巡らされているが、ボロボロに崩れ去っている。
「……酷いな、こりゃぁ」
「こんなことできる奴等なら、二日でこんな国、制圧できるわね。」
真神と秋道が声を漏らした。すると、前方に男が一人、崩れ去っている塀に座っていた。
「誰だっ!?」
男は、笑いながら言った。
「やぁ、盛大にもてなしてあげよう。」
男は消え、真神の目の前に現れた。
「瞬間移動? チィッ!!」
目の前に現れた男、ルーク・アルデヒドに、真神は回避を兼ねた回し蹴りを放った。
「うーん、かっこよく自己紹介したいな。…我が名はルーク・アルデヒド! ラヴァルジークの筆頭だ!!」
真神の蹴りを難なくかわすと、指をパチンと鳴らし、細身の剣をヒラヒラ舞わせた。その余裕の立ち振る舞いに、六人は油断できなかった。
「剣術使いか、丁度いい!!」
霧ヶ峰が気配を0にして斬りかかった。後ろから斬りかかたのにもかかわらず、彼は斬撃をひらりと受け流し、霧ヶ峰を蹴り飛ばす。
「悪いけど、剣術使いじゃないよ」
そういいつつ、雄塀に斬りかかる。
「あんた強いんだね、俺の見交わしを無視して連撃を放てるなんて」
「……やはり、見交わしの魔法を覚えているのか」
雄塀は目映い豪火をみにまとい、手刀で攻撃する。
「ならば対策は一つだ!」
《炎蛇の纏》
雄塀が呼び出した炎の大蛇が、地を這いつたいルークに迫っていく。ルークはそれに気づいておらず、大蛇は身体に巻き付いて燃え盛る。
「捕まえたぞレイン、頼む!!」
炎で身動きが取れないルークの上にレインが現れた。
「かわされなければ、こっちのものだ!! 流星彗剣!!!」
そう叫ぶと、レインは足に凄まじいエネルギーを集め、剣の形に具現化すると、勢いよく凪ぎ払った。まばゆい閃光に、一同の眼がくらむ。爆風と爆発が混ざりあい、凄まじいエネルギーに包まれた。
「はぁ……はぁ、手応えあったぜ」
レインが膝をついていた。魔力を使い過ぎたみたいだ。青い髪が、彗星の剣の爆風になびいている。
「くくくっ、甘いなぁ」
後ろを振り向くと、炎を引き剥がしているルークが笑っていた。
「なんだと!?回避したのか!?」
「あなたの魔法は何なの!?」
「………オレの魔法は、誰にも解らない」
ルークは剣を振り回し、攻撃を仕掛ける。あちこちを瞬間移動し、撹乱させている。雄塀達はズバズバと切り裂かれ、攻撃を繰り出すがかわされるので、守りに徹している
「ぐっ、………? ……まてよ」
レインが何かに気づいた。彼が考え込んでいるあいだにも、ルークは切り裂いていく。移動し、移動し、移動し、切り裂く。
「……1、……2、……3、……ここだ!!」
レインが放った一撃が、切り裂こうとしたルークの脇腹を直撃し、吹き飛ばす。
「見抜いたぞ……お前ら! 先行け!!まだあと五人いるんだろう?」
「…大丈夫なんだな?……なんて言わねえぞ、お前なら勝つってわかってるからなぁ!!」
五人はラヴェール王国に入っていく。
ラヴェール王国 南部
南部を一人歩く、たてがみのような髪型の小柄な少年は征六龍火の一人である。
「もう、人っこ一人いないじゃんか」
欠伸をしながら歩いていく。すると、不気味な風と共に、《彼》は現れた。
「お前が……KAEZか!?」
「………」
《彼》は黙っている。ボロボロのローブに紅い目。
「発動!迅速の槍! へへっ、ぶっ潰す!!」
少年、バーニアスは翡翠の色の槍を旋回させている。それを恐ろしいスピードで突き刺す。
「………」
《彼》は紙一重で避け、くるりとバランスをとる。
「回避した!? この迅速のスピードを…!」
その時だった。バーニアスが槍を構えなおし、二度目の攻撃に入ろうとしたとき、《彼》は動いた。《彼》の半身がうごめくと、金色の斬撃が煌めき、バーニアスは吹き飛んでいた。
「てめぇ、まさか、斉天大聖!?」
《彼》、狭間蓮は笑った
「ルークさんに知らせないといけないな。……《標的》を見つけたってなぁ!」
バーニアスが攻撃を繰り出す。またしても恐ろしいスピードの突きを放つが蓮はひらりとかわす。見切ったみたいだ。
「甘いな!」
『真空の突き』!
上に回避した蓮を、槍を上に持ちかえ、風を纏い更にスピードを上げた攻撃を繰り出す。さすがの速さに、蓮は避けるまもなく直撃しドサリと落ちた。が、
「疑似覚醒形態」
蓮の半身が金色のオーラを纏い、エネルギーがみなぎっている。
「粉砕せよ、我が七聖の力よ!」
、『賢き猿の貸力』
蓮の魔力が増幅していく。金色のオーラが全身に広がり、両手からオーラの爪が出現した。
「な、なんだよ?それ…なんて魔力だ……。」
戦意を失うかと思われたが、バーニアスはたたかうしせいを失わず、槍を構えなおした。
「『深淵の突き』…敵が強ければ強いほど、速く鋭い突きが放てる。」
「……奇遇だな、俺もだ」
ラヴェール王国 北部
先行部隊として、派遣されていた結城 龍之介は戦っていた。実力は五分と五分。戦況は……かなりきつい。部隊の半数以上が死亡した。加えて、残った八名のうち、三名が怪我を負っている。
「結城隊長!!俺らを置いて逃げて下さい!」
隊員が叫ぶ。八名の前には、二人の青年と女性が立っている。
「見ーつけた! ………よおーし レアル、適当に攻撃して。うちが仕留める。」
女性魔戦士、ラルクが魔方陣を展開する。五重にも重ねられた魔方陣は輝き初め、今にも発動しそうだ。
「『燐歌の旋律』 準備体勢その1 」
「ラルク姉、ここは僕に殺らせてよ。」
レアルと呼ばれた青年の腕が白い悪魔のような腕と変化した。
「…空閃の牙?」
空閃の牙…とは、北東支部の将軍、クラウン・ド・ダーツが生み出した、別名〝最強の近接戦闘魔法″と呼ばれる魔法である。レアルは、駆け出し 結城に襲いかかった。悪魔のような両腕を武器のように振り回した。
「そう簡単には負けない 」
『無心剣技』
結城は目を閉じ、刀を構えた。レアルの飛び込んでくる動きを先読みし、返し技へ繋げるためだ。
「 空閃の牙ではないよ。そんなに強くない……まだね。」
彼の放ったのは激しい拳圧。空気とエネルギーを混ぜ、拳の勢いで飛ばした。
「これなら返せない!!」
結城は目に見えない拳圧に直進していく。すると、刀を横に持ち素早く体を捻りながら突きの体勢に入った。
「 喰らえ!《流浪突き》」
結城はタイミングを見計らい、ワンテンポずらした突きを放つ。
「か、体が……動かない!?」
レアルは身動きが取れない。避けられないようにリズムを乱されたレアルは、体が一瞬動かず反応に遅れた。刀の突きをおもいきり喰らったレアルは吹き飛び倒れ去る。頑丈なその体は真剣の突きでも刺さらない。
「お前たちはもうひとつの部隊に情報を伝えろ!………ここは俺が繋ぐ」
隊員たちは駆け出した。雄塀たちに伝えるため、死に物狂いで………。
「 この場を繋ぐって! 面白いことを言うわね。二対一で勝算があるの?」
ラルクは弓と連結させた魔方陣を展開したまま、淡々と話す。後方でレアルが立ち上がるのが見えた。
「勝てるとは思ってないさ、繋ぎ止めるだけだ」
刀を再び構える。
先ほどとは違った、左手だけで持っている。
「来い!!」
《利刃の構え》
レアルは腕をビキビキと鳴らすと、再び襲いかかってきた。
「たかが一撃決めたぐらいで、図に乗るなクズが!!」
強力な腕の一撃を結城は刀で受け流す。しかし、黒いやいばが頬を掠めた。
「は、はぁっ!はぁっ!………こいつを解放したのは、久しぶりだぜ」
「な、化け物かっ!?」
結城が見ると、レアルの姿が変貌していた。目の下から太い黒線が延びていて、胸に穴が空いている。漆黒のカーテンのような翼がヒラヒラと風になびいていた。
「こっからは、戦闘じゃなく……《死闘》だ!!!」
誤字脱字、よくわからない箇所などあれば、
お気軽に言ってください!!
前者は修正!後者は話せる範囲で解説します!!^^