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KAEZ TIME!!(NEXT)  作者: KeiTa
第二章:Darkness begins to move.
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皇の剣と銀の影


久しぶりの更新です^^

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「よぉ! 誰かと思えば、雄塀じゃねぇか。久しいな」


 気さくに話しかけてきたのはこの部屋の所有者、クラウン・ド・ダーツである。ここは《特殊班》のフロアの端に位置する《特別任務会議室》なる部屋だ。

 クラウンの当たる任務はどれも特殊な任務なので、彼に所有権が与えられていて、彼の仕事場になっている。


「いつ以来だったかな。……まぁさておき、今回は俺ら二人だけの任務だ。なかなか厳しい戦いになりそうだぞ」


 がっしりとした腕を組み、ダーツは言った。雄塀は曖昧な笑みを浮かべ、手近な椅子に腰かけた。


「厳しい戦い? あなたがいるのに?」


「はっ、そこまで俺を頼りにされても困る。俺にだって厳しい戦いはあるさ」


 そう言うと彼は陽気に笑った。


「ところで、敵についての詳しい情報は?」


 実のところ、雄塀はこれを聞きにここまで出向いたのだが、ダーツの陽気な乗りに邪魔されて忘れていた。


「あぁ! 言うのを忘れていたな、すまない。

……どうやらこの北東の地にやつらのアジトがあるみたいなんだ。やつらはそこを拠点に明後日の夜攻めてくる。

 その数約100以上。俺たちはやつらの作戦決行の前に殲滅させる…!!」


 ぞくりと雄塀は仰け反る。殲滅という言葉の響きが雄塀を興奮させた。彼は戦いの前はいつもぞくぞくと心が高鳴っていた。


「頼りにしてるぞ、望月雄塀!」


 バシリッ と雄塀の背中を叩き、ダーツは用があるらしく何処かへ行った。


「ホントにあの人が最強か…!?」


 雄塀は内心思ったことがそのまま口に出たようだ。

頭をポリポリ掻くと彼も《特別任務会議室》を後にした。




「あれが、西南の望月雄塀ですか」


 雄塀が去った直後の総帥室で、皇剣に所属する若い男が呟いた。

 常に剣に手をかけ、表情をまったく変えずに。


「あぁ。なかなかの手練れだろう? 我が支部に欲しいくらいだよ」


 フフフと微笑みながら、グリフォードは皇剣の横顔をチラリと見る。凛々しい顔立ちにも関わらず、生きていないような無表情。

 ―――これ程の教育を……。教え込んだ者は正気ではないな。



 グリフォードが皇剣を凝視していると、微かに魚籠ついた。何かに反応したように、警戒の目付きに変わる。


「総帥、敵の反応があります。扉の向こうに。数は1人。御気をつけ下さい」


 グリフォードは顔色を悪くせず、白き扉を見つめた。

 警戒を知らせたのは若く、黒髪の細身の皇剣で、もう1人の如何にも屈強、筋骨隆々とした方は眉すら動かさない。


「君の名は……?」


 今まで名を語らなかった彼は、剣を構え、答えた。

「………R,q(リーク)と申します」


 明かされたのはコードネームだったが、奇妙な信頼感が生まれたのは確かだ。


 リークは、右手に握る幅広の大剣を大きく振りかぶると、コンパクトなモーションで縦に振り、白き扉を躊躇なく切り崩した。


「姿を見せろ。お前に逃げ場は無い」


 静かに開く白き扉から、圧し殺したような笑い声が聞こえてきた。残忍さと無邪気さを合わせたような微笑。クロウド・ラルバートが現れた。


「これはこれは皇剣様。随分上から物を言うね。そう教えられてきたのかな」


 銀色の髪を少し弄り、彼は淡々と話す。


「予定より少し早いな、クロウドよ」


 グリフォードが静かに言う。


「下見ですよ、総帥様。 それにしても皇剣まで雇うとは。なかなか厳重だ。だけれど、命の危機は一応感じたほうがいいですよ? 余計なお世話か」


グリフォードの背筋に緊張が走るのを見越したように、クロウドは嘲笑った。 話し方を統一しないクロウドからは、何処か余裕を感じられる。目の前に対峙するのは世界最高峰の防衛機関の戦士であるのに。


 刹那、室内に緑色の閃光が散る。リークの構えた幅広の大剣が、クロウド目掛けて振り下ろされたのだ。


「危ない危ない。刃物の扱いには気を付けな」


 かわしたクロウドからは間一髪なのか、余裕なのかも感じ取れない。

 ―――先制攻撃をかわされた…!!


 あくまで表情を変えずに、リークは大剣の剣先をクロウドに向ける。

 ―――焦っているな。今の状態だと(・・・・・・)まともに殺り合えば負けるが……。


 この緊張感漂う総帥室には、クロウド・ラルバート本体はいない。

俗に言う、《変わり身》とやらをこの場にとどめているのだ。

 彼は言った。下見ですよ と。


 始まりは、数時間前に遡る。


 二度目の剣激をリークが放つ数時間前へと…………。



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