序
校歌が歌い終わる。卒業式ももう終わりだ。
私の高校時代は終わってしまった。
ここで出会った人たちも卒業してしまったらほとんど会えなくなってしまう。
卒業式が終わり改めて友人である鈴木千里と顔をあわせたとたん涙があふれてきた。
そうもう会えなくなってしまう。
「ほら、かすみ。進路は全然違うけどさ、またどっかで会えるわよ」
本当に今後も会えるのだろうか、連絡先も住所さえ知らない
“あの人”に
「もう・・・そうそう覚えてる?あの梅のこと」
慰めていた千里が話題を変えてきた。そうだ今は悩むよりも高校最後の友達との話を楽しもう。
「・・・あの梅って本当なの?」
「先輩が実際に叶えたって言ったでしょ。しかも今日がちょうどその日になるらしいわよ」
もともと神社にあったらしいその梅は、校舎の脇にある立派な梅だ。その梅自身が花を咲かせるころに、願い事をすると願いがかなうらしい。
「学校の七不思議よりもこっちのほうが面白くない?」
この話を聞かされたときに千里が言っていた言葉だ。
本当に叶うのなら今すぐにでも行きたいところだ。
「この後に行ってみない?」
「うん」
返事と同時に担任が入ってくる。先生の話が始まるこれも今日で最後だ。高校時代が終わろうとしていた。
「ここの前ね」
「場所なんてあるの?」
梅の前に来れば後は七夕のようなものだと思っていた。
「叶えた先輩の話によるとここで願い事を言ったら人の姿をした神様が出てくるんだって」
「かみさま?」
「あれ言ってなかったっけ?」
初耳だ。しかし今のご時世そんな非科学的なこと起こりうるとは思えない。やはりうわさなだけだったのだろう。
「それにしても、かすみが来るなんて珍しいね」
「そうだっけ?」
「うん。いっつも断ってきたじゃない」
そういえばそうだった気がする。中学は付いていったこともあったが失敗ばっかりだったので付いていくのをやめてしまっていた。
「うん。最後だからね」
「ふ~ん、ほら願い事言わないと」
「う、うん」
いつも千里のこの無駄と分かっていることを実行しようとする。それのせいで損をよくしていた気がする。でも私はすごいと思う。私にはそんな勇気はない。
「梅様、梅様。私の願いをかなえてください・・・かすみ?」
「えっ!?あっ・・・うん」
千里に促されて私も祈る。もしかしたら・・・そんな雰囲気を見せつけられる梅だった。
本当にもしかしたら・・・
「あなたの願いこの飛梅が叶えてあげる~。さあ、あなたの願いはな~に?」
「うそっ」
本当に現れた。どこからとも無く、小説だけだと思っていた、それくらい自然に。そして、いきなり目の前に現れた。
「やった、私の願いは」
すぐに千里が願いを言い出す。私は千里の願いなど聞こえないくらい悩んでいた。どうすれば・・・
「もう一度やり直したいの、この高校時代を」
「えっ?」
まさか千里がこんな願いをするなんて、聞こえないくらい悩んでいたはずなのに彼女らしくなくて反応してしまった。
「あ、でも私じゃなくてかすみが」
「千里!?」
おどろいた。まさか私になんて、でも何で?
「もう一回やり直しておいでよ。悔いばかりの高校生活にしたくないでしょ?」
「千里」
ありがとう千里。もう一回やり直すそんなこと考えたこともなかった。
「いいでしょ?」
「・・・」
反応せず悩んでいる顔をしている飛梅
「できない?」
表情を見てできないんじゃないかと不安がよぎる。せっかくの友人のプレゼント突拍子もないものだが叶えて欲しかった。
「できるよ~」
しかし、飛梅はさっきの表情はどこへ行ったのか明るく答えた。
その答えに私は安堵する。
「さあ、目をつむって、肥川かすみちゃん。何処からやり直したいかを心で思い出してて~」
言われて目をつぶる。戻るとしたら・・・。あの時から
飛梅は思い出されている場所と時間を確認すると、
「ではレッツゴ~」
そういって粉を振りまいた。
急に地面の感覚が無くなる。目を開けたが何も見えなかった。私はいったい何処にいるのだろう。すると少しずつ後に引っ張られ始める。始めはゆっくりそして段々と早く・・・
ふと、周りが明るくなるのを感じる。いつの間にやら瞑り直していた目を開けるとそこは思い描いた入学式の日の学校前だった。
「嘘」
何度目の言葉だろうそれくらいあっけなく願いがかなってしまった。
「ほら先に行っちゃうよ」
千里に声をかけられる
「えっ?」
もう入らないといけない時間だった。
「?どうしたのほら早く!」
私は急いで千里の元へと走った。
中に行くと懐かしい一年生のクラス。この時から一緒のクラスだったあの人。
このチャンスを逃したくない。どうやったら振り向いてくれるのだろうか
初投稿です。
誤字があるはずだけどどこか見つけられませんでしたORZ




