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第一話 同居人(?)

いつも読んでいただきありがとうございます!

 俺は斎藤 真優(まひろ)。中学二年生だ。成績はそこそこよくて、運動もそこそこできる。要するに、普通かそうでないかと言われると、少し優等生に偏っているただの陰キャである。


そんな俺だが、一つだけ、完全に普通ではないところがある。


家に女子がいる。

それも、入り浸っている。


もはや同居人である。


彼女は香々美 愛菜(まな)。同い年の幼馴染である。顔は割とかわいい方で、スタイルも小柄で可愛らしいのだが、不登校である。その理由は後々語るとして、まずはこうなった経緯を説明しよう。


去年の年始、正確には二月辺りだったか? ある雨の日、突然彼女が、俺の家に押し掛けた。


あの顔を今でも忘れはしない。目元は赤く、何度も涙をぬぐったような跡があり、それでいて、雨か涙か分からないものが、彼女の顔を埋め尽くしていた。


「助けて」


枯れた声で彼女はそう言った。俺はその目の奥に、壊れかけの心を見た。


彼女と俺は小学二年生からの幼馴染で、お互いを、『姉貴』『弟』と呼んだりするほど仲が良い。そのため俺は放っておけなかったのだ。


俺はすぐさま、姉貴を風呂に入れ、その日は家に泊めた。翌日夜、姉貴の『彼氏』を名乗る、間宮 慶人(のりと)が俺の家を訪れ、事の経緯を説明した。


 そんなこんなで、今に至る。現在、2025年4月7日。俺は府内の私立男子校に通っているのだが、今日は始業式である。


つまり、‘‘早く帰れる日‘‘である。


「はぁ……」


俺は少しばかりため息をついた。


——今日もか……


家に帰ってからのことで、俺は少々頭を悩ませるのだった。


 帰宅後、


「ああ、真優おかえり」


俺にそんな挨拶をしてきたのは、親ではない。姉貴だ。


「早く昼ご飯作ってよぉ。もうお腹ぺこぺこ!」

「わかったわかった……」


俺は制服の上着だけ脱いで、エプロンをした後台所に立った。


冷蔵庫の中を見る。

焼きそば麵と、ニンジン、玉ねぎ、もやし、キャベツを発見。


「…………これにするか……」


独り言を言ってから、俺はそれらを取り出して、料理を始めた。

そう。俺が‘‘早く帰ってこれる日‘‘は、姉貴の昼食を作らなくてはならないのだ。


 フライパンを握ること数分後


「できたよ」


焼きそばが完成した。


「今日焼きそばか~いい匂い!いっただきまーす!!」


家では元気がある。しかし、いまだに、姉貴の通う、近くの公立中学校の制服を見ただけで体調を崩してしまう。


「どう?お味は」

「う~ん。まぁまぁね」


いつもの返答だ。おそらく、彼女の中での最高評価が「まぁまぁ」なのだろう。もともと食べられればいいって考えの人だし。


「今日から真優も二年生かぁ」

「そっちこそ。今日始業式だろ?」

「私は行ってないから、まだ中一だよ」


いたずらっぽく笑いながら、こちらにサムズアップしてくる。俺はそれに優しく微笑み返す。


「いつもごめんね?」

「そう言うんだったら、自分で作ればいいのに」

「やーだね」


姉貴は口をとがらせてそっぽを向いてしまった。そんなことをしていても、焼きそばを取る箸が止まっていないところは、少し可愛かったりするのだが。


昼食を食べた後は、少し遊んでから、姉貴は帰っていく。向こうは母子家庭なので、実質一人暮らし。姉貴曰く、家で暇だから、俺の家に遊びに来ているのだという。


しかし本当は、寂しがり屋で、甘えん坊だから、人肌恋しくなって俺の家に来ているだけなのだ。慶人さん(ちなみに、今日から中学三年生になる)が言っていた。


だが、俺にはもう一つ、明確な目的があるように見える。それは、


ピンポーン


インターホンが鳴ると、昼食を食べてソファアに寝転がっていた姉貴が駆け出して行った。

そして、玄関のドアを開け、訪問者をリビングに招いた。


「真優君。いつもごめんね」

「いえいえそんな。慶人さんこそ、姉貴をいつもかわいがってくれてありがとうございます」


おわかりいただけただろうか?

慶人さんは、姉貴が家に来るとき、決まって学校終わりに家に寄っていくのだ。


つまり、姉貴が家に来る真の目的は、俺の昼食ではなく、慶人さんとイチャイチャするためなのだ……と、俺は勝手に思い込んでいるのだった。


続く

次回

中間試験


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