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実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです

1話


「ノア! 早くアタシの聖衣を洗いなさいよ!」

「そうよ! こっちも汚れてるわよ! 掃除して!」

「本当にノアって愚図よね! そこら辺の村娘の方がマシだわ!」


 私に命令と暴言を浴びせているのはこの国の聖女候補達。

 彼女達は大抵お金持ちや貴族の娘だから、平民の私を馬鹿にしている。

 いいえ、馬鹿にしている程度ならまだマシ。彼女達は私のことを“奴隷”だと思っている。

 掃除、洗濯、料理、雑用、鬱憤晴らし……ありとあらゆることに私を使う。

 私が失敗したら、能無しと罵って殴りつける。

 私が成功したら、図に乗ってると蹴りつける。

 どっちも同じ。何をしても同じ。

 酷く疲弊していると、聖女候補達が騒めき始めた。


「王子よ! 王子が来たわ!」

「早くお茶の準備をなさい! 私がお相手するわ!」


 その言葉に私はうんざりした。

 ああ、馬鹿王子が来たのか……と内心悪態をつく。

 王子は聖女に選ばれた少女と結婚することになるからよく来るのだが、こいつが本当に無能で大馬鹿なのだ。


「おお、ジェラ。今日は一段と綺麗だな、流石は俺の未来の花嫁だ」


 黄金の髪を靡かせつつ颯爽と部屋に入ってきた王子――その視線は聖女候補の中でも最も美しいジェラに注がれている。

 この時点で、王子失格である事実を彼は知らない。

 かつて私の元に訪れた聖獣曰く、王子が聖女を見抜いて結婚するのが正しい在り方らしい。しかしこの国は徐々に堕落していき、今の王子はもう聖女を見抜くことができないと聖獣は嘆いていた。

 ジェラといちゃつく王子を眺めつつ、私は過去を思い出す。


 初めて聖獣が私の前に現れたのは一年前――

 この国が滅びそうだから、力を貸してくれと聖獣は泣きついてきた。

 王族も貴族も国民も堕落が酷く、このままだと魔に飲まれると言っていた。

 本来なら王子と結ばれることで聖女は真の力を発揮するのだが、それを待つことすらできないと。

 だから私は不完全なまま力を貸すことにした。

 しかしそんな状態で国を守護することは精神的にも肉体的にも負担だった。

 せめて王子が私を選び、真の力に近づけていれば――しかしそう思っても無駄なのだ。


 王子はジェラ、そして数名の聖女候補と関係している。

 純潔を保たなくてはいけない聖女を汚す行為は死罪である。

 しかしこの馬鹿王子は今日ものこのこやって来た。勿論一晩過ごすつもりで。

 あまりの愚かさに、深い溜息を吐く。

 私はなぜ酷い目に遭いながらも、この国を守っているのだろう――

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2話


 その夜、私はくたくたになって寝所へ向かっていた。

 王子の来訪を受けて、聖女候補達は突然のパーティを催した。

 料理人やメイド達が呼ばれたため私の負担は軽くなったが、それでも目が回るほど忙しかった。

 ようやくベッドへ入れる、そう思って寝所の廊下を歩いていると、ジェラの部屋から声がした。


「王子様……王子様ぁ……」


 甘ったるい声がドアの隙間から漏れている。

 差し込む薄明かり。私はそっと中を覗いた。

 見えたのは、王子とジェラの交わり――そして全裸で横たわる三人の聖女候補だった。


「見て! 誰か覗いているわ!」

「何ッ!? 早く捕まえろッ! 逃がすんじゃないぞッ!」

「分かりましたわ、王子様! スロウ!」


 その声と同時に、私は魔法にかけられた。

 聖女候補の一人が時間魔法をかけ、私の動きを封じたのだ。

 全身が固まって動けない、そんな不快感に苛まれているとドアが開いた。


「なんだ……ノアじゃない」

「他の聖女候補じゃなくて良かったわ。簡単に黙らせられるもの」


 その言葉に私は恐怖を感じた。

 早く逃げなきゃいけないのに、呼吸さえできない。

 このままじゃ窒息死すると狼狽えていると、時間魔法をかけた聖女候補が言った。


「頭だけ魔法を解きますわ。ほら、呼吸をなさい」

「……うぅっ!」


 その瞬間、私は思い切り息を吸い込んだ。

 深呼吸して少しだけ落ち着きを取り戻すと、私は辺りを見渡した。

 全裸のジェラと聖女候補達、そして王子が見下ろしている。


「おい、こいつをどうする? 見られたからには、ただじゃ済まさないぞ」

「大丈夫ですわ、王子様。ノアが絶対に喋れないようにしましょう」

「本当か? 一体どうするつもりだ?」


 するとジェラはベッドからおぞましい道具を持ってきた。

 ぬらぬらと液体に濡れたそれは――


「これでノアの純潔を奪いましょう。そして見知らぬ男と関係を持ったと言いふらすのです。そうなればノアは最悪死罪、軽くても聖女候補から外れます。貴族の娘なら難しいですが、どうせ平民ですから、いいでしょう?」


 その言葉に私の目の前は真っ白になった。

 私の純潔を奪う? まさか本気で?

 聖女である私が汚れたら国が亡ぶというのに――

 すると王子は醜く笑った。


「くく、それは面白いな。俺は全て見て見ぬ振りをしよう。お前達が好きにやれ」

「かしこまりましたわ、王子様。さあ、ノアの足を開かせなさい」

「や……やめてッ……!」

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3話


 その直後、二人の聖女候補が私の足を左右に広げた。

 ジェラは道具を持ち、何やら魔法をかけている。

 それはどう聞いても呪詛――嫌な予感がする。


「道具に呪いをかけましたわ。これでノアは苦痛と快楽の余り正気を失うでしょう。私達のことを喋ることすらできません」

「よくやった、ジェラ。流石は俺の選んだ聖女だ」


 二人はそう言って華々しいキスを交わす。

 それを見た瞬間――私の中で何かが音を立てて崩れていった。

 そうか、そうだったんだ。私はまだ期待をしていたんだ。

 聖女鑑定式で私が聖女だと判明したら、王子の心が変わる、そう思っていたんだ。

 王子が今までの私の苦労を知って、労ってくれる。謝ってくれる。

 そんな未来を心のどこかで望んでいたんだ。


「馬鹿な女だな。覗き見なければ、聖女候補でいられたのに」

「その通りですわ。ノアは愚図で馬鹿な女なんです。本当に汚らわしいですわ」

「ああ、もしこいつが聖女で結婚しなければならなかったら、俺は死を選んだな」


 ああ、ああ、分かった。

 私は少しも望まれていない。

 聖女はいらないと判断されたんだ。

 その時、聖なるオーラが漂い、背後に聖獣が立っている気配がした。


「さあ、ノア。自分にさよならしなさい。もう何もかも分からなくなるんだから」


 ジェラが嫌な笑みを浮かべて、私の足に手をかけた。

 私はそっと誰にも見えていない聖獣に囁く。

 聖獣はそれを聞くと、静かに頷いた。


 この国の守護に回されていた私の力が、全てこの手に戻ってきた――


「最初は痛いかもしれないけど、徐々に頭がおかしくなるほど気持ちイギギギギギギッ……」


 ジェラが奇声を上げて仰け反った。

 その顔は青紫色に膨れ上がり、口から泡を吐いている。


「ど、どうしたジェラッ!? 今すぐ医者をウガアアアアッ……!?」


 王子が咆哮を上げて、転げ回った。

 全身の血管が浮かび上がり、波打っている。


「キャアアアアアアア!?」

「ジェラ様! 王子様!」

「今すぐ助けを……!」


 三人の聖女候補は部屋を飛び出す。

 逃がしてやろう。今だけは。

 私はゆっくりと立ち上がると、床に倒れているジェラと王子を見た。

 その時、一筋の涙が零れ落ちたが、それはかつての私の涙だ。

 今の私は笑っている。


「王子様、私はこの国を滅ぼすことに決めました。もう守護するのは終わりです」


 そう告げると、王子は目を見開いて震えた。


「ま、まさか……お前が聖女だったのか……!? 嘘だろう……!?」

「嘘ではありません。全ては王子であるあなたが聖女を見抜けなかった所為です」

「馬鹿な……そんなこと聞いてない……! 聞いてないぞ……!」

「それならそれで結構。これでお仕舞です」


 その時、遠くから破壊音が聞こえた。

 私が常時張っていた結界が消えたことで、城壁の外にいた魔物達が攻めてきた音だったが、二人には理解できないだろう。

 その時、ジェラと王子が魔物達に拷問を受けた末、殺される未来が見えた。

 しかしそれは二人の行為が招いたことだ、助けるつもりはない。

 私はゆっくりと部屋を去った。

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4話


 夜をひとり歩く――ああ、街が燃えていく光景は美しい。

 攻め入った魔物達が次々と家を焼いているのだ。

 人々は泣き喚き、逃げ惑っている。


「でもこのままじゃ罪のない人まで巻き込まれるわ……」


 力の戻った今なら、善き人間も悪しき人間も見分けられる。

 私は清浄なオーラを持った善人へ向けて、無数の守護を放つ。すると善人達の周りには魔物や悪人に襲われない結界が生まれた。これで善人達だけは生き残るだろう。


 それにしても手元に戻ってきた力は守護という行為により増幅したらしい。

 襲ってくる魔物は飴のように溶けていくし、目が合った悪人は次々発狂していく。

 とても気分がいい。罪のない人を不当に苦しめるやつらは皆消えてしまえ。


「――ノア」


 その時、背後から声がした。

 聖なる気配。きっと聖獣に違いない。

 そっと振り返ると、そこには予想外の姿があった。


「あなた、誰……?」


 そこには美しい男性が立っていた。

 褐色の肌、夜色の髪、星の瞳――全てが整い過ぎている所為か人間には見えない。

 そう、あまりに神々しいその印象から連想するのはやはり聖獣。


「まさか……あなた聖獣なの……?」

「その通り。私はずっと君に語りかけていた聖獣だ。名をルキと言う」


 聖獣――いや、ルキはそう言ってわずかに微笑んだ。

 しかし彼はすぐに厳しい表情となって、こう続ける。


「君には本当に迷惑をかけた。無理を言って国を守ってもらった挙句、あんな目に遭わせてしまって……全ては私の責任だ。何なりと罰を下してほしい」

「そ、そんな……あなたは国を守ろうとしただけでしょう……?」

「しかし君には相当な負担をかけた。良ければ私の力を半分差し出そう」


 その言葉に私は首を横に振った。

 ルキは悪くない。罰を受ける必要なんてないのだ。


「いらないわ。その力で他の人を守ってあげて」

「他の人か……私は君の前にしか姿を現していないんだけどな……」

「え?」


 魔物達の砲撃で、ルキの声がよく聞こえなかった。

 私が聞き返すと、相手は少しだけ笑ってこう尋ねる。


「ノア、私の住む場所へ来ないか?」

「あなたの住む場所? もしかして神界かしら?」

「いいや、他の聖獣や妖精が住む楽園のような場所だ。きっと気にいるだろう」


 楽園――それは何度も夢見た場所。

 行けるなら行ってみたいけど、いいのだろうか。

 ルキの顔を伺いつつ悩んでいると、相手が破顔した。


「どうやら気持ちは決まってるみたいだね。さあ、行こうか」

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5話


 そしてルキは指を鳴らした。

 すると彼の背後から清々しい光が差し込む。

 美しい空が見える。この先が楽園なのだろうか。


「さあ、この抜け穴を潜って。その先が私の住む世界だ」


 そう言って彼は私の手を引く。

 すぐにでも抜け穴を潜りたくなったが、ふと思い返した。


「でも国がこんな状態の時、私だけいいのかしら……」

「国の破滅に巻き込まれる善人達が心配なのかい? それなら私の従者達が避難させているから安心していい」

「本当に? 皆、無事なのね?」

「ああ、君が飛ばした守護のお陰で無事だ。それより早く移動した方がいい。聖女の力を感じ取った高位の魔物達が近づいてきている。捕まったら酷い目に遭うだろう」


 その言葉に寒気がした。

 人間ですらあんなに酷いことをするのだ。魔物とは関わりたくない。

 私はルキに近づくと、光の漏れる穴を覗き込んだ。

 花の甘い匂い――私はその香りに誘われるまま抜け穴を潜る。


 目の前に広がったのは薔薇園。

 鮮やかな薔薇が咲き乱れる庭には獣達の姿があった。

 美しい毛並みの獣、可愛らしい獣、筋骨隆々とした獣……様々な獣が戯れている。

 思わず見惚れていると、獣達はこちらに気づいたようだ。

 次の瞬間、獣達が消えて私の手が掴まれた。


「えっ……? なに……?」

「ふむ、強大な力を秘めた匂いがするな」


 そう言ったのは屈強な男性――金髪の長髪を靡かせる彫像のような美男だ。

 私はその手を逃れようともがくが、相手の力が強過ぎてびくともしない。


「へえ、悪しき存在を裁いてきたんだね。優しそうに見えてやるね」


 すると突然、青髪の美少年が私の顔を覗き込んできた。

 眼の奥を覗き込み、不敵に笑う。


「あなたの力は献身的な守護の形をしています。常人にはできないことです」


 すぐ横で穏やかな声がした。

 赤目に白髪の美青年――私を頭のてっぺんからつま先まで眺めている。

 何なの、この人達……。


「お前達! ノアから手を離せ! 彼女は私の客人だ!」


 すぐ後ろからルキの声がして、男達は私からそっと離れた。

 そして彼に向き直り、恭しくお辞儀をする。


「ルキ様の客人とは知らず、失礼を致しました」

「流石はルキ様が連れてきた女性。素晴らしいお人ですね」

「あまりに美しい心を持っていたため、吸い寄せられてしまいました」


 その言葉に私は目を瞠る。

 お世辞でもそんなこと言われたことがなかったから、焦ってしまう。

 おろおろと狼狽えていると、ルキが私の手を掴んだ。


「すまない、ノア。彼らは私の臣下である聖獣達だ。何もされなかったかい?」

「え、ええ……大丈夫だけど、彼らも聖獣なの?」

「皆、各国を守護する聖獣だ。君が滅ぼした大国ほどではないけどね」


 確かに私が住んでいた国は周辺の小国を束ねる大国である。

 まあ、あまりにも腐っていたけれど。

 それにしても臣下を持っているということはルキは地位が高いのだろうか。

 私がじっと顔を見詰めていると、彼が焦ったように目を背けた。

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6話


「それはそうと……この世界を気に入ったかな、ノア」

「まだ来たばかりだから分からないけど、美しいところね」


 そう答えると、ルキは嬉しそうに笑った。


「良かった。私が造った世界をそう言ってくれて嬉しいよ」

「え? ルキがこの世界を造ったの?」

「ああ。聖獣達の楽園――それがここなんだ」


 そう言われ、私は辺りを見渡した。

 薔薇の先には広い草原が広がり、その奥には立派な建物が建っている。

 とても綺麗だけど、外の世界とよく似ている。もしかして聖獣達は外の世界で不遇に遭っていたのだろうか。それをルキが救ったのだろうか。

 三人の男達はどこか誇らしそうにルキを見ていた。


「さあ、君はここで自由に暮らしてくれ。この三人も君の力になるだろう」


 その言葉にそれぞれが頷く。

 どうやら彼らも私を歓迎してくれているらしい。


「しかし――」


 不意にルキが語調を強めた。


「ひとつだけ条件がある」

「条件……?」

「ああ。さっき言った通り、ここは聖獣達の楽園だ。部外者が住むことはできない」

「そ、そんな……。私、思い切り部外者だけど……」


 突然、突き放すようなことを言われて、戸惑う。

 人間が聖獣になることはできない。どうしよう。

 ひとり困っていると、ルキが私の両手を強く握り締めた。


「確かに君はまだ部外者だ。しかしひとつだけ、私達の仲間になる方法がある」

「仲間になる方法……? それは何……?」

「聖獣と結婚するという方法だ」

「え……?」


 するとルキは私の手を握ったまま跪いた。


「ノア、良かったら私の妻になってほしい――」

「な、なにを言っているの……ルキ……」

「生まれた時から見守っていたが、私はずっと君に惹かれていた。そして聖女候補に汚されそうになった姿を見て、確信した。私はノアが不幸になるところは見たくない。心から愛している、どうか結婚してほしい」


 ルキの口から紡がれる言葉に目を白黒させる。

 ずっと惹かれていた? そんなこと言われても知らないよ!

 助けを求めるように辺りを見渡すと、三人の悪戯っぽい笑顔と目が合った。


「ルキ様、ノア嬢はお困りの様子です」

「あまりに唐突な結婚の申し込みは嫌われますよ」

「ええ、それに結婚するのはルキ様でなくても構わないのですよ」


 その言葉にルキは猛然と立ち上がる。

 しかし三人は態度を崩すことはない。


「お、お前達……!」

「こうするのはどうでしょう。ノア嬢は婿が決まるまで客人としてここに留まると」

「それはいいね。ノアちゃん、僕がこの世界を案内しようか?」

「いいえ、ノアさんは私と話をするんです」


 三人は再び寄ってくると、私の手を引いて歩き出した。

 すると薔薇の匂いが風に乗って香り、少しだけ緊張がほぐれる。

 ルキには悪いけど、まだ結婚なんて考えられない。

 それより平和な暮らしを味わってみたい。

 私なんかにそれが許されるなら――


「ねえ、私は国を滅ぼした重罪人だけど、それでも客人として扱ってくれるの?」

「勿論だ。むしろ君の株が上がったね。あの国は腐敗していた」

「そうだよ。悪しき存在を一掃したこと、尊敬するよ」

「私達は聖獣ですが、聖人ではありません。固いことは言わないのです」


 その言葉を聞いて、私の胸は晴れた。

 ここにいてもいい、そんな許可をもらった気持ちになったのだ。

 そっと振り返ると、ルキが不貞腐れた顔でついてきている。

 私はそんな彼に微笑みかけ、こう告げる。


「ありがとう、ルキ。あなたのお陰で私、人生をやり直せそう」


 すると陰っていた彼の顔がみるみるうちに明るくなった。


「ああ! ノア、君の幸せが一番だよ!」


 私達は薔薇が咲き乱れる道を歩き続ける。

 下界では私を苦しめた国が壊れていく。

 弱者を貶める恐ろしい人間達の国――

 私は少しだけ復讐心を思い出した。


 でもそれは彼らの楽し気な声にかき消されてしまった。

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