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人を超える力を持つ怪物と相対するには人ならざる力を使うよりほかにない

 世の中には圧倒的な火力で全てを破壊し尽くす兵器が存在する。


 核だ。


 そんなものとは無縁の人生を送っていたが、原理くらいは知っている。


 爆縮である。


 もちろんこの世界にそんな技術はまだ生み出されていないが、少なくとも僕は知っている。


 そして存在するのが当たり前のようにこの世界の人の生活に浸透している魔力。


 現代の日本の知識をこちらの世界で流用した結果。


 僕はその魔力を体内で爆縮と似たように圧縮し高密度の魔力を体内に生成し続けることに成功した。


 何故そんなことをしたのか?


 そう聞かれたのならこう答える。


 知的好奇心だ。


 所謂実験である。


「面白い、こんな面白いものこの世に存在するの」


 とは俺の子供のころの発言である。


 その結果。


 俺の魔力は増大の一途を辿り、さらにこちらの世界の文献を読み漁り、あらゆる魔術を試した結果、俺の新技が完成した。


「エクスプロージョン(仮)」


 そう一言、魔法使いっぽい感じで声を出してみた。


 周りには誰もいないだろうし恥ずかしくはない。


 俺の新技、エクスプロージョン(仮)によって消し飛ぶドラゴン。


 なお、正式名称は未定である。


 これは最早、爆散である。


 もちろん被害は最小限に抑えられるように街から離れた山の奥で撃ち放っている。


 さらに威力は調整に調整を重ねて最小限度にしてある。


 だがそれでも十分な破壊力である。


 生物なんぞ核の前では蒸発する。


 ドラゴンも然り。


 消し炭になったドラゴンよ。

  

 あなたの体から採取した素材は有効的に換金し僕のお小遣いになってもらう。


「す、すごい。あの技術は見たことも聞いたこともない! 是非教えて貰わねば」


 ルンルン気分で素材を回収して帰る俺の姿を見ている少女がいた事など知る由もなかった。


 実験に実験、練習に練習を重ねた技を実践して上手くいった時の達成感は素晴らしい。


 ルンルン気分で素材を回収した素材を売り捌きに行く。


 今まで蓄えた知識を試すかのように魔物狩りを密かに行なっていた僕はある魔道具を手に入れていた。


 正体がバレないローブ型のアーティファクトだ。


 魔獣と戦う時は顔を隠し剣術を練習している時に着ている服のお古を使って戦い。


 野盗、盗賊と戦う時はローブを着ている。


 ちなみに魔物の素材を売りに行く時はローブ姿だ。


 そりゃそうだ。


 少年が魔物狩りをして素材を売り捌きに行く。


 そんな姿を周りの人間が見たらどうなるだろう。


 答えは簡単だ。


 一瞬で噂になる。


 それを防ぐためのローブなのだが、何せ動きが制限される。


 だから魔術主体の戦い方になるのだが、この世界にそんな戦い方で前衛やってる人間なんてほぼ存在しない。


 もっと言うと1人で戦ってる人間なんて居ない。


 そんなこんなでローブを着てドラゴンの素材を売り捌きに来たわけだが、予想通り街ゆく人の視線を集めている。


「おいあれ、ドラゴンの死体なんじゃ」


「最近噂になってた討伐隊がやられたって言うあのドラゴンかよ」


「しかもあの人って確か、ソロで魔獣狩りやってる奴じゃ」


 浴びたくもない散々人の注目を浴びまくってやって来た魔獣討伐やらの依頼が集まる冒険者協会、もといギルドに到着したわけだが。


「あのこれ1人で討伐したんでしょうか?」


「そうですが、何か」


 戦々恐々とした目で俺を見る受付のお姉さん。


「換金お願いします」


「か、かしこまりました。1人では時間がかかると思いますので他の職員を呼んで参ります」


 そう言い、奥に職員を呼びに行った。


 ドラゴンが討伐されたということ、それを成し遂げたのがたった1人の人物という事実に職員達が戦々恐々としている中、お偉いさんが出て来た。


「物凄い魔獣を討伐したと伺って出て来たのですが、これには驚きました。別室をご用意しましたのでそちらに移動しましょう」


 そう促されるが一応質問しておく。


「ちなみに別室で何を話すんですか?」


「いえ、それは周りの方も驚いていらっしゃるようですし」


「換金に関する話ならこの場で構いません。他に重要な話なら別室に移りますが」


「いえ、重要な話という訳ではないのですが」


「ではそちらのテーブルで話しましょう。あぁ後私の呼び方はいつも通りジョンでお願いします」


 俺は偽名で活動している。


 もちろん協会に登録する時は本名でなければ登録はできない。


 しかし、活動する時の名前は偽名で活動できる。


 依頼の中には野盗の討伐まで含まれている。逆恨みされて襲われるのを防ぐために偽名でやり取りする事は珍しい訳ではない。


 この支店のお偉いさんは俺の正体を知っている数少ない人間の1人だ。


 テーブルに移った俺とお偉いさん、もとい支店長さんは話を始める。


「今回の討伐なのですが、お一人で討伐なさったのでしょうか?」


「そうです。1人です」


「討伐対象はかなりの大物でして、ほぼ間違いなく冒険者として最上位ランクの称号と地位が協会から与えられるのはほぼ間違いないのですが、それは1人で討伐なさった場合の話になるはずです。疑いを掛けるようで悪いのですが、本当にお一人で討伐なさったのでしょうか? できれば証人などいらっしゃればその方にもお話を伺いたいのです」


 確かにあれを1人で討伐するのは普通に考えて不可能だ。疑われるのも仕方がない話だ。


「証人って言われましても、1人で罠を張ってそこに一撃撃ち込んだので目撃者も居ないと思います」


「できれば目撃者が欲しいところです」


 目撃者なんているわけがない。何せ被害を抑えるためにわざわざ人のいない場所に罠張ったんだから。


「被害を抑えるために人のいない場所に罠張ったんで、尚更目撃者は居ないと思いますが、一撃撃ち込んだ場所は私の攻撃で地形が変わってるのでそれを見れば証拠になるんじゃ無いかとおもいます。ただその場所というのが」


 俺は協会の支店から離れて野盗の出没地域の先の魔獣の生息域のさらに先の場所を教えた。


「確認しに行くのもかなりの無茶ですね。確認しに行くと魔獣に襲われて命を失うのが目に見えています。そのドラゴンを仕留めたという一撃なのですが、それを見せていただけると証拠になるとも思えますが、如何でしょう」


「その一撃なのですが、もし撃ったらこの街一つ消し飛ぶと思い」


 そう言いかけた瞬間に横槍が入った。


「見つけた! あなただったんですね! あのドラゴンを討伐したの方は!」


 歓喜の声を上げて横槍を入れて来た謎の少女はさらに続けて言ってきた。


「あの凄まじいまでの破壊力、あの一撃! あんな魔術を見たことがありません! 是非教えて下さい!」


 爛々と目を輝かせて迫ってきた少女に少し支店長が驚いている。


「あの、ドラゴン討伐の目撃者でしょうか?」


 支店長がそう聞く。


「あのドラゴンのことですよね?」


 少女はそう聞き、換金作業中のドラゴンの素材を指さす。


「見ましたよ! 凄まじいまでの破壊力で一撃でドラゴンがバラバラになってました」


 そう一言彼女が言うと、周りにいる協会に登録している冒険者や剣士が歓声をあげた。


 さてはこいつら、信じてなかったな。


 さっきからチラチラとこっちを見てたし。聞き耳を立てていたのだろう。


「あの一撃を見た瞬間に思ったのです! 私が求めていた物はこれだと! 是非あの技術、あの魔術を教えてください!」


 謎の少女に謎の影響を与えた俺は換金作業が終わって気が向いたら教えてもいいと適当に誤魔化して帰路についた。


 もちろん、少女の尾行を撒いた。

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