戦力確認の初陣討伐
戦力を把握するために俺とアイシーさんとヒーラーの女性とメアリーさん、4人編成の新たに結成されたパーティは非常に簡単な討伐クエストを受けることになった。
とは言っても、俺もアイシーさんももうすでにベテラン冒険者であり討伐者だ。
戦力把握はメアリーさんと破壊魔法の教えを乞いに来たヒーラーのロクサーナさんだ。
そして依頼はというと。
簡単な低級モンスターの水の上を泳ぐウォーターストライダー討伐のはずだったのだが。
「なんでこんなことにー」
叫び声を上げながら逃げ回るアイシーさんに襲い掛かるのは氷系統の効かない魔獣スノーベアだ。
気温の低い地域にしか現れないと言われる魔獣が何故かこんな場所に三体もいる。
討伐に赴いた冒険者が討伐対象とは別の魔獣に出くわすことはよくあることだが、もともと温暖な地域のはずのこんな場所に気温の低い地域に出没するはずの魔獣が出てくるとは。
これも天より降臨せし冷凍庫のなせる技か。
追いかけ回され半べそかきながら追いかけ回されてる。
「アイシー頭を下げろ、俺がやる」
そう言い放つと走って逃げ回っていたアイシーは即座に身を屈める。
のではなく見事に前のめりで転んだ。
「エアハンマー」
風系統の魔術を使い力技で一撃でスノーベアを吹き飛ばす俺。
後衛はすかさずヒールを使ってアイシーさんを回復させる。
しかも身体強化もデバフも次々と支援してくれてる。
それもベストなタイミングだ。
これはなかなかいい。
だが疑問に思う。
これだけ魔術が使えるのに何故か攻撃魔法での支援がない。
ヒーラーとは言え、後方から遠距離攻撃で支援するのは必須スキルだ。
しかも、バフを使うときも直接パーティメンバーに触れている。
そう、さっきから味方にバフをかけるときも、回復させるときも、俺が魔獣を吹き飛ばした後にわざわざ敵のいる前線に出て行って、バフと回復を行ってそのまま逃げるかのように後ろに下がって来ているのである。
直接触れた方がバフをかけやすいのは理解できる。
もちろん戦闘中の前衛と戦っている魔獣に対して攻撃するのは味方にも攻撃が当たる可能性がある。
だが、しかし味方と離れた場所にいる敵は後衛が援護的に攻撃しても問題はないはずだ。
なのに何故攻撃しない?
仕方がない。
ここは俺がやるしかない。
「ウッドスパイク」
スノーベア三体に俺の攻撃が突き刺さる。
「アイシーこっちに下がって」
さらに続けて攻撃する。
「オイル」
昔、文献で読んだ燃えやすい液体を放出する技だ。
「最後にこれで、ファイヤボール」
に見えない大火力のファイヤボールである。
見よ。我が卓越した魔力制御のなせる技を。
ちなみに今回使っている魔力制御は体内魔力圧縮である。
エンジンで使われるあれである。
体内魔力爆縮による超超超高密度高出力魔力とその制御は今回は使わない。
そこに続けて複数の火力を浴びせ、最後は水魔法で鎮火した。
転がっているのは美味しそうに焼けたスノーベアである。
あれ?
ウッドスパイクのヘッドショットが2体、ウッドスパイクがクビに刺さっているのが一体。
ほぼ2体は即死確定だ。
一体は生きてるがほぼ戦闘不能。
ウッドスパイクのあとの攻撃は無駄だったか。
「これでは出る幕さえなかったですね」
と後ろの方で落ち込むメアリーさん。
いえそんなことありませんよ。僕達に何かがあったらメアリーさんが前線に出ないといけない訳ですから。それに僕とアイシーの2人が異常なだけです。
事実そうなのだ。
俺達のパーティは少し異常だ。何せ普通は後衛の魔術師が2人も前衛で戦っているのだから。
パーティメンバーの感情的な面でのフォローは重要だ。
自分が必要ない人材だと思い始めたらパーティを辞めていく。
そう思い、メアリーさんのところに歩いて行くと何やら声が聞こえてきた。
「魔獣を痛ぶるということに関して負けるとは不覚! じゃなくて、騎士として遅れをとるわけにはいきません! 残り一体は私にお任せください!!!」
・・・・・いたぶる??




