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決闘という名の大災害

「生態系の破壊および産業の破壊の罪で逮捕します」


 建物の陰に連れて行った彼女、もっと言うと強大な力を持つが故に自らに魔獣を引き寄せてしまうアイシーさんに俺はそう告げた。


「ちょっと待ってくださいよ。元はと言えばあなたが私を無理矢理この世界に連れてきたことが原因ですよ。私1人の責任にしないでください。第一これは事故のようなものです。いえ事故というより自然現象です。雨が降れば川が氾濫するのと同じです」


「自然現象じゃなくて自然災害の間違いでは?」


「それよりどうするんですか? 魔獣を侯爵領に戻したら決闘は見逃して貰えるらしいですが、本当にそんなことできるんですか?」


「方法なら簡単です。魔獣引き寄せ体質のとある女性を侯爵家に売り飛ばせばいいんです」


 と、俺はアイシーさん売却作戦を提案した。


「ちょっと待ってくださいよ。嫌ですよ。私結構ここ気に入ってるんですよ。第一私の正体知ってるのエーチさんだけじゃないですか」

「私が女神ですってあの侯爵家の方に教えたらいいじゃないですか? 素性を教えたら納得してくれます」


「無理に決まってるでしょ! 自ら女神を名乗るなんて頭がおかしな女性が来たと思われちゃいます。私を売り飛ばす以外で何か解決策考えてください」


「魔獣引き寄せ体質はポンコツなのになんで意見はまともなんですか」


「ポンコツじゃないです。女神の力です。ほら早く考えて! っていうか広い場所で決闘してドラゴン討伐のときの一撃で沈めちゃったらいいんじゃないですか?」


 なんでそんな一撃爆発させといたらなんとかなるみたいな発案してくるんだこの女神。


「無茶なこと言わないでくださいよ。人間相手に撃てるわけないでしょう」


「この世界に日本の常識は通用しないですよ」


「人間の心は異世界だろうと共通です。下手に人間を消し炭にしたら侯爵家からの報復が待ってます」


「もう既に報復しに来ているような気がしますが」


「相手の領地内で勝手にドラゴン討伐をやったことに対する公式な対応って言う感じではあります。仕方がないので他の方法を探ることにします」


 そう言い建物の陰から出て、2人のもとに戻る俺とアイシーさん。


「先程の話なんですが、出来れば決闘は避けたいので私が頂いたドラゴンの討伐報酬をそちらの侯爵家にお譲りすると言う形で納められないでしょうか? それと魔獣を大移動させると言う話ですがあの話は予防策ということで聞き流しておいてください」


「そういう訳にもいきません。もう既に我が領地で派手に許可なく暴れられてしまっているのです。それにあなたの得た報酬を横取りするような真似をしてしまってはそれこそ騎士の一族の名折れというもの、それともドラゴンを討伐したほどの方が怖気付かれたとでも言うのですか?」


「まだ、16歳なもので怖気付くも何も戦いに行く年齢ではありません」


「それは丁度いい私も同い年です」


 これはもう仕方がない。戦わざるを得ない流れだ。


「そちらの魔術師の方、あの魔術を教えましょう。それと決闘も行いましょう。出来れば広い場所がいいです。その方が街の方にも迷惑がかからないので」


 俺はアイシーさんの言った一撃爆発させといたらなんとかなる作戦に変更した。


 後日、俺と侯爵家の令嬢、アイシーさんに魔術師の女の子は場所を広く人のいない郊外へと移動し、さらに協会の職員さんに決闘に立ち会って貰いました。今から決闘を行うことになった。


「では改めて名乗らせて頂きます。騎士メアリー・アメリア」


 さすがは騎士の家系、正々堂々としている。


 しかしこちらは別に騎士の家系ではない。


 どちらかと言うと商業や学術と言った家系とでも言うべきだろう。


 国の戦争などで功績を立てまくった騎士一族とは対照的だ。


「私は騎士ではないのですが、一応名乗らせて頂きます。冒険者ジョン」


「実名は名乗らないのですか?」


「実家は騎士の家系でもないのでこちらの方がしっくり来ます」


 そう言ってお互いに向かい合い構える。


「それと一つだけ言っておきます。ドラゴン討伐を行った時の技を使うのでよく見ておいてください」


 本気でそんな技使うのか、というような顔をする協会職員さん達。


 もちろん威力はドラゴン討伐の時よりさらに落とすつもりだ。


「では私が持っているこの杖を振り下ろすのを決闘開始の合図とします」


 魔術師の女の子がそう言い、固唾を飲んで俺を見ている。実戦で見せてくれるのかと言わんばかりの表情だ。


 そう、実戦で見せてやろうじゃないか。俺の奥義をその眼に焼き付けてやろう。


 さらにそれだけじゃない。俺には今までに読んだ魔術関連の専門書の知識、そこから来る魔術を駆使した戦闘技能がある。さらには日本人時代に得た知識やらなんやらの技能まで組み合わせた戦闘技術を編み出した。

 もう既にそれらの技術は野盗やら魔獣の討伐やらで実践済みだ。


 つまり対人戦において、この相手、騎士メアリーが俺にかなうわけなどない。


 今まで陰に隠れてこそこそと偽名を使い顔を隠して行っていたことを表舞台でやる。


 ただそれだけのこと。


 行かせてもらおう。


「それでは決闘、開始っ!」


 その言葉と共に魔術師の女の子が杖を振り下ろす。


 騎士のメアリーさんは俺に向かって踏み込んでくる。


 そして俺はただ向かってくるメアリーさんを目掛けて魔術を撃つだけ。


「プリズン」


 剣を持って向かって来たメアリーさんは俺の魔術によって突如として出現した檻の中に閉じ込められた。

 そう、俺の今回の戦略、それは『直接戦闘を行わない』である。


 だれが剣を持った武勇に秀でた騎士の一族なんて恐ろしい奴と真っ向から戦うのか。


 そんな奴はきっとバカだろう。


「なっ! 卑怯ですよ、戦いなさい」


 卑怯とは失礼な、これこそ戦略である。


 卑怯者扱いされるのもしゃくだ。


 卑怯者ではない雰囲気を出して言ってやろう。


「今から本気で一撃を打ち込むんです。動かれていては狙いづらいじゃないですか」


 俺は体内からそれなりに相手がビビる程の魔力を放出する。


 これでは逃げ場さえないと顔を赤くして檻に切り掛かり柵ごと剣で切ろうとするメアリーさん。


 そこで俺が一言。


「ドラゴン倒した時の一撃いきますよ」


 目を輝かせている魔術師の女の子。


「ついにくるのですね!!」


 と目が輝いている。


「エクスプロージョン(仮)」


 ちなみに威力は極小の手加減した一撃をメアリーさんの向こう側、決闘を行っているこの場所よりはるかに離れた場所に撃ち放った。


 いたぶられる趣味はないのですっと爆音に紛れて聞こえてきた気がしたが気のせいだろう。


「エイチさんちょっとやりすぎっ!」


 手加減はしたが建設中の城壁に傷がついていないか心配な威力になってしまった。


 俺たちは爆風にさらされ吹き飛ばされもみくちゃになり、アイシーは涙目になり、立会人は地面に打ち付けられ青あざをつくり、魔術師の女性は爆風で吹き飛ばされボロボロになっている。


 俺が撃ち放った破壊魔術は見事にクレーターを造り。辺り一帯の土や岩をドロドロにと化している。



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