”つ”から始まる
主人公のお仕事について詳しくはありませんので、仕事内容が違ったらごめんなさい。
群馬の土地のこともよくわからずにすみません。
なにか気になる点はおしえてくださいませ。
上毛かるた。
それは、群馬県民が読み札も絵も皆覚えているかるたである。
九九と同じように、大人になってもすらすらと口にできる。
さて、その“県民”とは、果たして人間だけなのだろうか。
大会も行われるというそのかるたは最初、「つ」の札から読まれる。始まりの合図。
「つるまうぅ~、かたちのぉ~」
すんと静かになり、ぴりりと空気がはりつめるその瞬間。
持ち札が同数の場合、「つ」の札を持っている方が勝ちとなるほど大切な札。
札に向かう県民は、絵札に描かれている鶴のように羽ばたけるのだろうか。
さあ、始めよう。
まだ未熟な鶴が、自らの翼で羽ばたこうと立ち向かうお話を。
仰々しく思うかもしれないが、構えなくていい。
ただの甘ちゃん社会人が、たくさんの“もの”と出会う、ただそれだけの小話だ。
浮かれたり泣いたり愚痴ったり笑ったり不満を吐いたり楽しんだり
おいしいものを食べたり幸福を感じたり観光場所に遊びに行ったり
なにげない日常をつらつらと綴ってあるだけなのだ。
ただ、その日常は、ちょっと変わった日常であるかもしれないということだけ、追記しておこう。
とりあえず、あの鶴になった気分で、俯瞰して見ておいで。あの子の日常を。
“みんな仕事しているから補い合える。そのためのチームなんだから”
この文章を読んだ時、涙が出た。
私もチームの一員として、認められていることが、嬉しくて。
でも。
“君は自分勝手すぎるよ”
そんな。
郵送が明日になりそうだと、伝えただけで。
“もう君に仕事は任せられない”
死亡宣告されちゃった。
私の代わりになる人なんて、十分すぎるほどいる。
“最後まで守ってくれるのは、家族だけだよ”
会社としては、使用者としては、私を守ることはできない。
それは当然だとわかっている。
ただ、守れないと言われるほど、私は必要とされていないんだと、わかってしまった。
“調子に乗りすぎ”
調子に乗るとは、高校生とかがよく漫画で言われる台詞みたいなやつですか。
すみません、自覚なくて……
調子に乗れるほど、私には心の余裕が、ありません。
そう、思っていたのですが。
そのように、見えているのですね。
嬉しかった言葉をいただいて一年。
それをくれた人は本心で言ってくれたのだと思う。
けれど私は理解した。
私は、チームの一員になど、なれていないのだと。
私は、いなくてもなにも問題のない存在なのだと。
私に、ここに、居場所はあるのかな――
お仕事×和風ファンタジーを、上毛かるたを無理矢理交えて紡いでいきます。
職場にアレが来た! でも所長にはソレに見えていないようで……?
そこからえりの仕事環境は変わっていく。
甘ちゃん社会人、えりの仕事と生活は、どう変わっていくのか。
えりの仕事について、本職のかた、県民のかた、違うところや思うところがあっても広い心で見逃してくださいませ。または教えてくださいませ。