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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

時の欠片 

少しだけですが、残酷な描写があります。

どこかからか聴こえる心地よいハープの音と流れ行く風の音で私は目を覚ました。

「うぅー――……ここは、どこだろう?」


第1幕 Time warp for princess


私、架咲かけさき 佳苗かなえは、至って普通の高校生活を送っていた。友達と駄弁り、授業を右から左へ聞き流しながらipodで音楽を楽しむ。そうして、部活をして帰る。なんて、あまりにも普通の生活を送っていたのに――寝て目が覚めたら、どこか違う場所に飛んでるってどういうことなんだ!


私が、しばし自分の世界に入ってる間にハープの音は止んでいた。変わりに目の前には、豪華な純白のウエディングドレスを着たちょっと幼い感じの女の人が、ちょこんと座って、私をじーーーと見ていた。


「あなたは、誰ですか?」

「……私は、架咲 佳苗です。日本という国から来ました……あなたこそ、誰なのですか?」

「私は、この国のお姫様みたいなものです」

「私、寝てたらこんな所に飛ばされちゃったみたいなのですが……何か知りませんか?」

「もしかして、あなたが私の導き手ですか?だったら、どうか私を救ってもらえませんか!」

「はっ?いや、導き手って何なんですか?」

「いえ、それが私にもわからないのですが……夢の中で誰かがそう言ったのです!」

「でも、私、何もできないですし……それに急な展開に、全くついていけないのですが……」

「もしかして、旅のお方なんですか?だから、そんな不思議な格好をされているのですね!」

「えッ!?……まぁ……そんなものです。それよりも、お姫様こそどうしてこんなところに?結婚式とかではないのですか?」


そこで、今まで爛々と輝いてたお姫様の目に影が混じる。

「……お父様に決められた結婚なんて……私は、嫌ですから……でも、長きに渡り戦争を繰り返した国どうしの和解のための結婚ですから……嫌だと言えずに、逃げ出してきたのです。それに、私は――」


そこで、お姫様は黙ってしまった。おそらく他に好きな男性がいるのだろうと思っていた。でもお姫様の口からとんでもない言葉がでた。


「女同士の結婚は、どうかと思いますので――……」


「それって、どういう事なのですか?」


「はい、私の国アルガラと彼女の国アイルは、隣国同士で互いの土地を奪うために戦争ばかり繰り返してきました。でも、互いに最愛の王子を亡くし目が覚めたのです」


「そうして、残ったのはお姫様だけ……ということですね」


はい、とお姫様は頷いた。よっぽど悩んでいるのだろう……そりゃ、誰だって同姓どうしでの結婚というのは嫌だろう……


「でも、これからどうするのですか、式の始まる前に逃げてきたんでしょ?」

「そうですね……逃げる前に服をどうにかしないといけないので、あなたの服装と私の服装をどうにかするために町へと降りますか……」

「ちょッ!?お姫様は、逃げてきたんでしょ、なのにどうして!」

「この草原を越えたところに町があるので、そちらに……。それと、よかったら私のことはミーレと呼んでもらえませんか?」

「ミーレさん……では、行きますか……」


私の前を嬉しそうに歩くミーレさん。ときおり振り返っては、私に早く早くと急かすように言う。おそらくここは、中世ヨーロッパだろう。風景的に……


でも、私は現代にへと戻れるのだろうか?何だかんだで忘れていたが……


それでも、そんな事を忘れさせてくれるミーレさんの笑顔を見ながら私達は草原を歩いてく。



しばらく歩いて、木のトンネルを抜けるとそこは、雪国だった――ということは無かったが、赤レンガの建物がズラリッと並び、まるで完成されたパズルのような美しさのある町並みがあった。


「ここが、一番商業が発達してる国セリアルです」

ミーレさんが、私にそう教えてくれた。


第2幕 blood stained bird


国の入り口の門番に呼び止められるかどうかミーレさんは考えこんでいたが、難無くと通過できた。

「それで、これからどうするの?」

「はい、まずは服を買いに行きたいのですが……この服じゃ目立ちますので――こちらを通っていきましょう」

そういって路地裏を指差すミーレさん。まぁ今は、無難な方を選ぶ方が正解だろう……

「それに、私のお友達もいますので」

「へぇ、お嬢様のお友達が路地裏に……」

「えぇ、とってもかわいいのですよ!」

そんな話をしながら角を曲がった先には――赤く紅く燃える何十軒もの家があった。

それを見たミーレは、顔を真っ青にして地面に倒れた。崩れ落ちるミーレさんに手を差し伸べようとするが間に合わなかった。


そのとき――頭の中にポリタンクを持った私が、隣町の友達の家を燃やしている映像が流れた。


そうして映像が終わった瞬間私の頭に激痛が走る。


ダメだ、ここで倒れるわけにはいかない……私がミーレさんを運ばなきゃ……。


痛む頭を抑えながら私は、曲がり角へと戻りそこら辺に転がってある箱をくっ付けて、その上にミーレさんを寝かした。


「汗を拭いてあげなくちゃ……」


私は、自分の服を少し破いてそれでミーレさんの汗を拭く。そうして、体を拭いてあげようとドレスを捲って私は、息を呑んだ。


そこには、ミーレさんの身体には、無数の切り傷、青あざ、やけど、擦り傷などがあった。


私は、頭痛も忘れてその場に立ち尽くした。身体中が傷まみれだったからではない。なぜなら――私と同じような場所に、同じような傷があったからだ――


「うッ……あれ、ここは……そうですサーラは、サーラの家は!」


私は、ミーレさんが目を覚ますまで呆然と立ち尽くしていた。ミーレさんは、そんな私には目もくれず先ほどの家を見に行って、泣きながら戻ってきた。


「サーラが、真っ黒焦げになって運ばれて行ってました……」


ミーレさんが、顔を俯けてそう呟いた。


「こんなとこで止まってても、何も始まりません。早く服を買いに行きましょう……」


私の頭痛はいつの間にかおさまっていた。


グネグネとした路地裏を通って、私達はミーレさんが絶対に安全だという店の地下へと降りていく。


そこは、頭上に小さなシャンデリアが吊るされたバーみたいなとこだった。


「ミーレさん、ここに服があるのですか?」


「はい、少し待っていてください。店長、私の服をあげるから服を2着持ってきて!」


ミーレさんが店の奥に呼びかけると、紳士的な男性が出てきた。


「そろそろ来る頃かとお待ちしておりましたよ。では、こちらが約束の品でございます」


「ありがとう。さあ、これを着てくださいな」


そういって渡されたのは、普通に見るとボロボロの服に見えるが、中には薄くのばした鉄が入っておりまるで防弾チョッキみたいな感じだった……。

出口へと向かう途中、小さな痛んだ鳥篭の前でミーレさんが止まった。でも、その中の鳥は羽は折れ、目は片方しかなく、血塗れになって死んでいた。


「私達も……このようになってしまうのでしょうか?」


ボソッと呟いたミーレさんの一言が私の胸の中に大きな重石となって残った。


暗い地下から私達を一番初めに出迎えたのは、純白のウエディングドレスを着た女性と年老いた気品のある老婆と気配で人が殺せそうな老人とその2人を囲むようにいるたくさんの黒服たちだった。



そこから、初老の老人が前に出てきてミーレさんを見た。


「お前、自分が何をしたのかわかっているのか!」

おそらくミーレさんのお父さんと思わしき人が、吼える。


「そうよ、この結婚が何を意味するのかあなたにもわかるでしょう!!」

おそらくミーレさんのお母さんと思わしき人が、喚く。


「今ならまだ間に合うわよ。どうするの我が花嫁?」

おそらくミーレさんの婚約者と思わしき人が、哂う。


私はあなたたちの玩具じゃない。それが答えです」


今、唐突に戦いの火蓋が切って落とされた――


第3幕 my heart in basket


「そう、あなたは最後の最後に私達を裏切るのね……だったら、無理やりにでも従わすしかないわね!」


ミーレさんのお母さんと思わしき人が、近くの黒服に命令すると一瞬の間に、何十人もの黒服たちが私達を取り囲む。


「殺し以外なら何をやっても構わんから、さっさとやれ!」


ミーレさんのお父さんと思わしき人が命令すると銃を持った黒服達が、襲い掛かってくるはずだった――


でも、パチッとミーレさんの指から音が発せられた瞬間。無数の弾丸と発砲音が、黒服たちに風穴を開けていく。ある者は、何が起こったか気づかずに死に、ある物は自らの妻の名前を叫びながら応戦し死に、またある者は自分だけでも助かろうと逃げ出した。


私はミーレさんに連れられて、どこかの店の中に飛び込んでその状況を見ていた。


「ミーレさん……これは、どういうことなの……」


ミーレさんは、軽やかに笑うと私に教えてくれた。


「私の心を解き放って、人間として暮らしていくための戦争です。お父様が、私にいつも、金で世界は変えられる。と仰っていましたが、正しくその通りでした。殺し屋を雇うためのお金は、安いものではありませんでしたが……」


そうして、辺りは急に静まり返る。その静けさが戦争の終わりを告げる。


「では、行きましょうか。鳥籠を壊して空へと飛び立つために、最後の仕上げをします」

ミーレさんは、店から出て、死んだ黒服達の腕からサーベルを抜き。自らの父と母と婚約者の前に立つ。


「さようなら、そうして……ありがとう」


ミーレさんが、サーベルを構える。これで、私は元の世界に帰れるのだろうか?

そんな事を思いながらミーレさんの後ろ姿を見てると。目の前にノイズが入り、ミーレさんの姿に自分の姿が重なる。


その景色では、私が両親の髪の毛と髪の毛を縛り。沢山の拷問道具で両親を虐めている姿だった。

そうして、両親は200個目の拷問道具で死んだ。


目の前のノイズが消えた瞬間。私に強烈な吐き気が襲ってくる。


なんなんだ今の映像は……


私が、いろいろと考えているとミーレさんが返り血をたっぷりあびた服で戻ってくる。その後ろでは、滅多刺しにされた3つの死体も見えた。


「ねぇ、少し目を瞑っていて欲しいの……だめかしら?」


「えぇ、いいですよ」


「本当にありがとう。あなたのおかげで全てがうまくいったの……だから、楽に逝かせてあげる」


ずしゅッと音がして、私の心臓にサーベルが突き刺さった。


そうして、私は暗闇へと落ちていく――



私が目を覚ますと、そこには私がいた。いや、正確にいうなら私の身体に入ってる誰かだろう。


「こんにちは、今日から『あなた』になった導き人No12の御紙おしき早苗さなえです。これから、新人のあなたのために説明をするね!」


「どういうことですか?全く意味が分からないのですが……」


「まぁまぁ、私の話を聞けば分かりますから」


そういって、私を宥める。


「導き人とは、簡単に言うとですね、目的が一致する2人の人物をどちらかの世界にワープさせてその目的を叶えると。あら不思議なんとそのもう一方の願いも叶っちゃうんです!で、そのバックアップをするのが私達導き人というわけ。そうして、その代償としてどちらかの肉体を奪いその人物となり生活を送るのです。だから、私達導き人は永遠の魂と沢山の世界をみることができるの!」


「と言うことは、私も今日から誰かの肉体を求めて彷徨わなきゃいけないんですか!」

「物分りがいい新人で助かったよ。それじゃ、バイバイ」


こうして、私は今も誰かの肉体を求めて彷徨っている――




初めての投稿です。

出来はだめだめな気がします……

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