選択
誰かが言った。生きることは選択を続けることなのだと。
正にである。何一つ選ばず生きていける生命など存在しない。ましてやそれが高度な知性と社会性を併せ持つ種なら、なおのこと。
命は絶えず選び、選択に対して対価を支払い続ける。存在自体が奇跡であり、奇跡を維持するためには代償が必要。
当然で残酷な摂理。この理からは何者も逃れられない。神や、神に近い者であったとしても。
「さあ、どうする?」
舞台を整えた男は問いかける。彼らは、そして彼女たちはいかなる選択を行うだろう? 自らも演者の一人となり、最も間近でこの物語の結末を見届けようと企む。
「どうする?」
弄ばれ、雌伏の時に耐え続けた女も問う。自らに、そして自分とは違う別の自分に。
「どうして?」
大いなる力の渦に翻弄され続けた少女。彼女もまた目の前の存在に問いかけた。涙を流し、許しを請いながら。
どうして、どうしてと。
やがて振り返った彼女は答える。
人生最後の選択の理由。他の誰でもない彼女自身の意志で定めた結末の意味を。
「ありがとう」
彼女は生きた。この世界で精一杯に。
だから感謝を告げ、歩み出す。
行く先には――




