白より白い
朝起きる。
昨夜もインスタの通知が機能しなかったことを確認する。
保存職人様に感謝し今日もツイッターで推しが昨日の夜私が寝た三十分後に上げた十四秒の動画を再生する。
インスタのストーリーは二十四時間で消えるのに我らが推しは今回の動画をこれまでで最速の四分で削除したらしい。
わずか十四秒の動画の中で推しはすっぴんで少し伸びた目にかかりそうな黒髪は凡人なら野暮ったいばかりだが、顔面国宝と称される推しがやるとそこには輝きしかない。
否、私の推しはいつだって美しい。
世界がそう言わなくても私はそう言う。
空腹を抱えながら私のまだ知らない洋楽を口ずさむ推しの可愛さに口角を上げているけど、またしてもつまらない考えがどうしたって頭をかすめる。
またアンチがかまってちゃんだとか証人欲求の塊だとか言って推しを叩くんだろうな。
ふざけるな。誰のおかげでグループが売れたと思っている。
推しの人気のおかげでグループも人気が出て他メンはその恩恵を一身に受けているのに。
ネットには推しへの称賛と中傷が溢れている。
それを見るたびに彼が私と言語を同じくする人でなくて良かったと心から思う。
美しい推しには美しいものだけ見ていて欲しいし、彼の周りには美しいものだけが生息できるようにして欲しいと願うけれど、彼が立つのがドブ川であればあるほど推しはどんどん化け物じみてくるように美しくなっていく。
彼を十代の時から追いかけているが、最近ますます人外じみて来たと思う。
去年のドラマでやったホムンクルスははまり役だった。
ああいうのもっと見たい。
神様みたい。
私は最近彼を見るたびにそう思う。
最早かっこいいだとか、イケメンだとか、美しい可愛い、そんな言葉ではもう追いつかないくらいの凄みが最近の推しにはある。
簡単に控えめに言っても、信頼している、崇敬している、違う畏怖している。
美しすぎて彼はこの世の狂気だ。
そう思う私もきっと狂気の粒子に違いない。
朝ごはんを食べながら携帯を見るというお行儀の悪いマネは母の前ではできないので、お昼の休憩時間まで相互さんの狂ったツイートを見ることができないのがいつももどかしいけれど、投票サイトで推しへの投票とグーグルなど各種検索サイトでの推しの検索、ウィキペディアの推しのページを閲覧、ユーチューブで推しのフォーカス動画を再生と朝ごはんまでにやれることを済ませ、母に呼ばれる前に階段を降りていく。
「おはよう、美咲ちゃん。ねえ、今日の夜何食べる?」
母は朝ごはんを食べながら夜ご飯の話をする。
「豚の生姜焼き」
「美咲ちゃんに聞くと毎日豚肉になっちゃう。昨日も豚肉のえのき巻きだったし、一昨日は酢豚だったし、たまには鶏肉も牛肉も食べないと」
「じゃあ肉じゃが」
「牛肉って肉じゃがしかないと思ってるでしょ」
「じゃあ鶏の唐揚げ」
「揚げ物は嫌。片付けるのめんどくさいんだから。もうハンバーグでいい?」
「いいよ」
「デミグラスソースとお醤油どっちがいい?」
「お醤油」
「この間お醤油だったからデミグラスソースにしましょ」
「うん」
「お弁当はお醤油にしてあげるね」
「明日休み」
「じゃあ明日のお昼はそれでハンバーガーにしてあげる」
「ありがと」
「それともお休みだし何か買ってきて食べようか?」
「いいよ。もったいないし」
「じゃあケーキでも買おっか?」
「スーパーのでいいよ」
「どっこも行けないんだからせめて美味しいもの食べようよ」
「うん」
「ドーナツにしようか?」
「どっちでもお母さんの食べたい方でいいよ」
「じゃあケーキね。明日の夜すっごく寒いらしいからお鍋にしようね」
「うん」
「何鍋にする?」
「豆乳」
「この間も豆乳だった。美咲ちゃん豆乳鍋ホント好きね」
「うん」
「キムチ鍋にしましょ。美咲ちゃん。お茶全部飲みなさい。ヤクルトも。免疫力上げないと」
「うん」
「早く暖かくなるといいね。あと少しの辛抱よね。もうそろそろ終わるわよね。終わったら二人でゆっくり旅行行こうね。当分海外は行けないよね。何が起こるかわからないしね。お母さん東北地方行ったことないから岩手行きたいな。青森も。一緒に行こうね。美味しいもの食べて、綺麗な景色見て、楽しいこといっぱいしようね。服も買いに行かないとね。あと靴と鞄も」
「うん。きっとそのうち終わるよ。一生続くことなんかないんだから」
仕事へ行くのは嫌いではない。
お金を稼がないと推しと繋がれないことはもうわかっているし、毎月食費さえ入れたら母も私の趣味に口出したりしない。
会社に行って唯一の楽しみはお昼の休憩時間だ。
今は社会情勢から時間差で行くように言われているので社員食堂はいつでも一つのテーブルにつき一人になっているのでありがたい。
またどうしようもないアンチ垢が爆誕したらしく通報が呼びかけられている。
帰ったらまとめて一気にやろう。
この間別のアンチ垢を凍結させたばかりなのに、あと何年これが続くんだろう。
兵役までの辛抱だろうか。
なら後三年。
そうは思えない。
きっと推しが醜くなるまで続くんだろう。
彼の美貌が衰える日など本当に来るのだろうか。
地球に巨大隕石が降ってくるより有り得ない気がする。
推しは世界が醜悪で欺瞞だらけであればあるほど、それらを絡め取り巻き込んでいくかのように魅力を日々増加させていく。
現にまだアンチもそんなにいなかった(ファンもそんなにいなかった)デビューして二年くらいの間の彼はただ背の高いひょろりとした可愛らしい男の子に過ぎなかった。
違う、今思うとそうなだけで、初めて彼を見た時から彼は私にとって特別な男の子だった。
あの頃の彼はまだ十八歳で私は二十三歳。
丁度就職した年で生まれて初めてファンクラブに入り生まれて初めてコンサートに行った。
それも言葉も何もわからない異国へ、たった一人で参戦した。
一度でも本物を見ることができたら満足して忘れられると思っていた。
本物の画面越しではない彼を見た時、彼は傷ついたりする生き物であるのだと知った。
彼は本当に私達と同じように生きていて、痛みを感じているのだと痛感した。
そうするともうますます彼から降りられなくなってしまった。
何があろうとも彼を傷つけるあらゆるものから守りたいと思った。
光の中を歩いていく彼はこの世で最も神々しく価値のある儚い生き物だった。
彼の所属するグループは彼の国でトップに未だになれてはいないし、恐らく今後もなれないだろうけど、彼個人はドラマに出たりCMに出たりして着実に人気を集めていった。
同時に他メンファンからのアンチ、他グルのファンからのアンチも着実に増えていった。
地獄に落ちろ。
私は毎日のように心で唱える。
あんなに美しい生き物を中傷するなんて、最早心を失くしているに違いない。
あの美しさを知ってしまえばもう何もいらなくなる。
私はもう何もいらない。
彼が生きていればそれ以外何も。
推しはただ突っ立っているだけで美しいのに笑ったりしてくれるのだ。
泣くのだ、喜ぶのだ、それだけじゃない。
ありがとうと言ってくれるのだ。
あんなに美しい男が。
ただ私達がファンだというだけで。
これ以上に凄いことがあるだろうか。
否、ない。
おまけに歌うわ、踊るわ、コスプレしてくれるわ、ご飯食べるとこ見せてくれたりするわ、映画見に行ったよ、舞台見に行ったよ、ご飯食べに行ったよ、今日この本読み終わったよ、この歌いいよとわざわざ報告してくれる。
あれ、凄すぎない?
そこまでしてくれなくてよくない?
私の推しやっぱりサービス精神の塊すぎんか?
ああ、好き。
愛してる。
薄汚いものを沢山見たので美しい推しを見て浄化させる。
一昨日フィードに上げてくれた黒コート、黒マスク姿で目を細める推し。
マスクしててもイケメンだけどマスク取ったらとんでもなく美しい顔出てくるとか、やっぱり我が推し最強。
人類の宝。
世界最高。
いいね百億回連打したい。
ねえ、どうしてそんなに綺麗な顔で笑えるの?
この世の掃き溜めみたいな汚い世界にいるのにどうしてそんなに清純なの?
白より白いよ、貴方は。
その美しい黒曜石のような瞳で見る世界はどれほど澄んでいるのか。
同じ世界を見てみたいと思うと同時に推しは間違いなくこの世界に実在していて私と同じ様に世界を見ているのだと言う事実に打ちのめされる。
日本語は読めないだろうから見てないだろうけど、あの屑どももそう思ってツイートしてるんだろうと思うとはらわたが煮えくり返る。
地獄へ落ちろ。
否、落としてやるのだ。
通報しかできないけど、コツコツやるのみ。
百八十四センチの長身。
長すぎる手足。
長い睫毛、この世の神秘を詰め込んだ運命を思わせる黒い瞳、完璧な線を誇る鼻筋、開くたびに花が零れるような唇、小さな顔に全てがオーバーキルなパーツが配置されている。
白い肌は透明より深い色。
一度も染めたことがない黒髪は艶があり気品に満ち溢れている。
セルカを撮る時の携帯を持つ手の綺麗さよ。
サンダルからのぞく足の指まで美形とわかるの。
美は細部に宿ると言うが、ここまで全てに美しい存在が人類史にいただろうか。
男女合わせても人類史上最高の存在。
人類は神様が作ったと認識していない私だけど推しだけは胸を張って言える。
彼は彼だけは神様が作ったのだと。
気合入れ過ぎて他がおざなりになったのだ。
完全体を遂に成し遂げてしまったから神様はもう引退なさったのだ。
そうでなければ何故この世はこんなにも醜く残酷なのか。
退勤し、携帯を見ると私のインスタの通知はまたしても敗北を喫していたけど、推しのストーリーは残っていた。
ピアノを弾いている指だけが映っている。
メリーさんの羊だ。
鼻歌は照れ臭くって消したのだろうか?
七年見ているが推しのことは未だにわからない。
でもそれでいい。
あの男は我々人類の手の負える男ではないのだ。
だってあんなに美しいんだから思いっきり調子に乗っていいのに、推しは謙虚というか、おとなしい。
いつもそうっと笑う。
たんぽぽの綿毛を飛ばさないようにするみたいに。
もっと偉そうにしていいんだよって思う。
あんなに美しくってスタイルも良くって、これで人柄まで良かったらもうできること有りすぎでしょ。
一個も持てない人類のが多いのに。
欲張らんでいいよ、もっとだらしなくっていいんだよって言ってあげたい。
「美咲ちゃん。美味しい?」
「美味しいよ」
「そう。ポテトサラダ今日のちょっとマヨネーズ足りなかったと思うんだけどどう?」
「美味しい」
「でね、今日新しい俳優さんが出てきたんだけど、お母さん全然知らない人でネットで調べたんだけどあんまり有名な人じゃないみたい。元モデルなんだって。あの人が相手役かなぁ?」
「そうなんじゃない」
「背が高いばっかりであんまりイケメンじゃないの。でも最近はそういうのが流行ってるの?」
「さあ、どうだろ」
「まああんまりイケメンだと現実味がないもんね。お人形みたいで」
母は見たドラマの話をいつもしてくれる。
ドラマだけじゃなく見た映画や読んだ小説の登場人物の複雑な関係、印象に残ったセリフ、結末など全て教えてくれる。
新聞のクロスワードパズルの答えも、人生相談の秀逸な回答も、母が私といない時間の全てを。
私は推し以外の人類に興味がないし、推し以外にかける時間もないので有り難く拝聴する。
お風呂から上がり、母にお休みなさいと言い、部屋のドアを閉じるともう母は朝まで放っておいてくれるので、ここからは一人だ。
ネトフリで推しが出ている先週から始まったドラマを作業用BGMにして黙々と通報に勤しむ。
エクソシスト役の推しのカソック姿が最高過ぎる。
この世の全てが許せそうになってしまう。
もうグル活よりもドラマとインスタを楽しみにしている自分がいる。
生きていてくれて遠くに行かないでくれたら、目の届く世界にいてくれたらもう歌わなくても踊らなくても、アイドルでいてくれなくても構わないと本気で思う。
明日は休みなので今日はストーリーリアタイするぞと意気込むけど、そういう時に限って早朝に上げるのだ、我が推しは、きっと。
容姿への中傷、歌、ダンス、演技への中傷、交友関係への中傷、飼っている猫への中傷、毎日勤勉だね。
その労力と情熱を他に使えばいいのに。
愚かだし、実際推しを本当に傷つけられるとでも思っているのだろうか。
推しは心を痛めるだろう。
だけど、彼の本当の価値を損なうことなどできやしない。
そんなことできるものか。
無駄な時間をせいぜい費やせばいい。
アンチも私達も結局は彼を中心に回っているのだ。
私達は楽しくてたまらないけどお前たちは滑稽だね。
憑りつかれてるのはあんた達だよ。
その貧弱な心が囚われたのは推しのどうしようもない魔力なの。
早く抜け出せるといいね。
底の底に沈みこむ前に。
「ビジュアル担当のくせに劣化しすぎ。性格の悪さが顔ににじみ出てる。顔以外いいところ何にもないんだからそれぐらい死守しなよ。まあお直しすればいいと思ってるんだろうけど」
可哀想だね。
取りあえず病院行ってね。
「歌もダンスも演技も一番下手。解散したら一人だけ見向きもされなくなるんじゃないの。怠惰だし。努力は人を裏切らないよ」
声もいいし、端にいてもダンスは他に目が行かないくらい華があるし、演技もいつも何やっても自分のものにしてるよ。
他メンアンチしてる暇あるなら推しに費やしなよ、その時間。
そもそもスターなんて完全に才能でしょ。
いかに視線を自分に向けさせるかじゃない。
推しはそれに関しては抜きんでてるよ。
頑張ったね偉いねって言われるのは高校生の部活動まででしょ。
あとね努力でどうにもならないものこの世にはいっぱいあるよ。
貴方のしてることがまさにそれ。
「メンバーとの写真もあげないのに俳優のヒョンとの写真はあげて自慢ばっかり。そんなに自分だけ目立ちたい?この子のこういうところホント好きになれない」
メンバーとの写真はちゃんとあげてる、寧ろグループで一番あげてるので数えたら?
俳優のヒョンはドラマの宣伝でしょ。
営業努力してるのよ。
つーか、アンチのくせに何でインスタ見てんの?
推しがイケメン俳優に可愛がられすぎててすみません。
魅力の塊過ぎて本当にすみません。
見苦しい嫉妬はやめてくださいね。
そんなことしても自推しの評価は上がりませんよ。
頑張って。
「猫使って可愛いアピールウザい。自分のためなら何でも利用する。人格疑うわ。最近この子特にそうだよね」
可愛いアピールじゃありません。
誰が見ても可愛いだけです。
貴方が異常なだけですよ。
つーか、推しより可愛い自信あんの?
あとご新規ですよね?
歴盛りやめてください。
「ハムレット見に行ったとか月と六ペンス読んだとかインテリぶるな。セレブ気取りで恥ずかしい。見てられない。何でこんな人になっちゃたんだろ?」
お前が見てられないよ。
シェイクスピア見て、サマセット・モーム読んでたらインテリって、その貧困な発想が恥ずかしいわ。
こんな人ってどんな人?
世界一魅力的でいつも私達を笑顔にしてくれる自慢の推しですけど?
「去年のコンサートで実物見たけど背あんまり高くなかった。すっごい厚底靴履いてんだね。あと顔も小さくなかったし、びっくりするくらいオーラなかった」
去年はオンラインコンサートしかやってません。
良く調べてから言いましょう。
ちなみに私は一昨年の本国でやったオフラインコンサートに参戦しましたが、実物は本当に大きくて顔も小さくて睫毛も長くてかっこいいですよ。
魅力の権化です。
見ることができないのが残念ですね。
取りあえずファンクラブ入ってください。
話はそれからです。
ちなみに入会費千円年会費五千円です。
「二年も見れなくなったらすぐ忘れられるでしょ。あんな量産型整形アイドル」
この先一生その姿を見れなくなったとしても私は忘れません。
あの美しさを量産できたとしても、あの誰にもできない表情、声、仕草はどうにもならないの。
美しいものを見て幸せになれないなんて可哀想ですね。
来世に期待しましょう。
「サイコパスなんだよね。アイドルになれて良かったね。まともに会社勤めなんか絶対できなかったでしょ。お金かけて顔いじって良かったね」
サイコパスって自己紹介ですか?
朝っぱらから自分の半分も生きてないアイドル誹謗中傷するなんてまともな人間のすることじゃないですもんね。
誹謗中傷用のアカウントでお孫さんの保育園のこと話すのやめた方がいいですよ。
世の中には悪い人間がいっぱいいますから。
実在しないお孫さんなら別ですけど。
誤爆には気を付けて。
「コイツの親借金残して蒸発したんでしょ?ぎっちょだしまともじゃないと思ってたわ」
捏造はやめてください。
彼のご両親は健在ですし、インスタで実家での食事の様子など上げてくれています。
彼はご両親をとても尊敬しているとたびたびインタビューで話しています。
親兄弟の写真をあげないのは一般人である家族を守るためです。
あと全世界の左利きの皆さんに謝罪してください。
そして鍵をかけてそこで呪詛の言葉を延々と吐き続けてください。
それなら世界の迷惑になりませんから。
「無表情で仮面被ってるみたいで気持ち悪い。あといつも目が笑ってないよね。リーダーに対する態度悪すぎ。この子のこういうところ理解できない」
切り取り動画でわかったような口きかないでください。
無断転載は犯罪です。
「俳優気取りで痛々しい。ホント変わったよね。悪い方向に」
人は変わっていく生き物です。
そんなに変わって欲しくないならソシャゲのアイドルでも追いかけたらどうですか。
まあシナリオライターによってキャラ変わったり、ガバガバ後付け設定出されたりと色々ありますが。
一生同じでいてほしいなら実在の人間なんて推さないことです。
人も世界も全て変わっていきます。
貴方だって変わったでしょう?
次の界隈では楽しく推せるといですね。
「インスタ自分の写真ばっかり。たまにはメンバーの写真あげなよ」
個人アカウントなんだから自分の写真載せるの当たり前でしょ。
自分のファンのためにやってるんだから。
そんなに嫌いなら何で見に行くの?
そんなに気にしてくれなくていいですよ。
自分の推しだけ見ていてください。
はっきり言って迷惑です。
「承認欲求丸出し。そんなに自分が好きかね。気持ち悪い。自己愛ばっかり強いナルシスト」
それご自分のことですよね?
そんなにタグ一杯付けて。
関係ないタグまで付けてそんなに人の目にとまりたいですか。
関係ない界隈の人からしたら、ああこのファンダム頭おかしい人ばっかりなんだなって恥ずかしいのでやめてください。
あとリーダーのOSTインスタでもツイッターでも宣伝したの推しだけですよ。
他メンのインスタのいいねもコメントも一番多くしてるの推しです。
自分を愛することは大事ですよ。
酔えるだけの自分がいるならそれは幸せです。
貴方も人気アイドルを誹謗中傷してる自分が大好きなんでしょう?
「謝罪しろ」
何をですか?
美しすぎて他メンを空気にしてすみませんとでも?
「ブサイク。整形」
整っているって認めてるんですね。
美しい言葉を使ってみてください。
それだけで少しはましな人間になれると思いますよ。
まだ人間ならの話ですが。
「将来ハゲそう。つーかカツラじゃないの。ずっと同じ髪型だもんコイツ」
ハゲても愛してます。
「キモイ。消えろ」
貴方がね。
よくこれだけ気持ち悪いことが毎日湧き出てくるものだと思う。
アイコンで誰推しかわかるのによくやる。
まあ擬態かもしれないけど。
読んでても悍ましくって吐き気がするのに書いてる本人どんな精神状態なんだろ。
まあ美的感覚はないと言うことだけは確かだ。
美しいものを見て素直にそれを享受できないんだから。
それはこの上ない不幸でしょ。
あんな美しい、絵画のような、否、芸術を超越したのよ、推しは。
美しい一瞬を閉じ込めたんじゃないの。
彼そのものが彼の人生が芸術なの。
あの美貌を維持するのはとてつもない努力と忍耐が必要だろう。
彼は真実私達のために綺麗でいてくれるのだ。
つまり自己犠牲。
人類への殉教。
世界への献身。
彼の心臓は暖かく時を刻み、瞳は憧憬を隠し切れず揺らめくの、多弁ではない唇はいつだって夢を語る。
ああ、それを私達に見せてくれるなんて。
これ以上の幸福ある?
絶対にないわ。
断言する。
彼と出会ってこの世には汚いものが有りすぎると言うことを知った。
でもそれ以上に本当に美しいということがこの世にはあると言うことを知った。
彼に出会わなかった人生など有り得ない。
そんな私ならいらない。
これまでに見た全ての美しいものはこの七年間で見た彼だけだった。
彼に出会う前の私なんていらない。
この先どれほど辛いことがあったとしてもあの美しさを思い出せば何度だって立ち上がれる。
それを彼に伝えられたらいいのに。
貴方と出逢って私はずっと幸せ。
生きていてほしい。
そして貴方が傷つかない世界であって欲しい。
何もしてくれなくていい。
ただ存在してくれるだけでいい。
千年後の人類が見ても貴方の美にひれ伏すだろう。
それこそ地球から誰もいなくなって、火星人が来たときに貴方を見つけるの。
そして言うのよ。
彼が生きていた時代に来たかったと。
ヤン・ヨンハがいた頃に。
時間があるので推しへのリアコ勢の妄想セクハラツイートも通報する。
誹謗中傷する輩も許せないけど、こっちは味方の様で真実敵だ。
同じ天を崇めているとは思えない。
見るに堪えない美への冒涜。
どうして愛を囁きながら推しの尊厳を傷つけることができるのか。
結局皆彼を利用し何らかの欲求を満たしているのだ。
そういった意味では私だってきっと。
彼は私にやることを与えてくれた。
推しがいなければ私の毎日は仕事と家の往復だけだ。
推しがいなければ私は暇で暇でしょうがない。
推しは私に生活を、人格を与えてくれた。
推しに出逢う前の私って何してたんだろう。
何を考えていたんだろう。
何を見て心を動かしていたのだろう。
思い出せない。
二十三年も生きていたはずなのに。
推しと出逢ってからの人生の方が短いはずなのに。
推しに出逢う前の私はからっぽだった。
推しは私に人は自分以外の誰かによって幸せになれるのだと教えてくれた。
推しを大切に思う私を大切にしたいと思うようになった。
貴方と出逢って私は初めて自分を肯定することができた。
相互さんのまともに狂ったツイートを巡回する。
推しへの称賛に同じ血が流れている人間だと安心する。
自分も思い切り推しへの賛美を綴る。
もう少し粘ろうかと思ったが二時を過ぎ眠くなってきたのでベッドに潜り込んだ。
朝が来た。
インスタの通知は何故か機能していたがもうストーリーは消されていて、アイコンを何度も叩いてみるが反応はなし。
相互さんのお恵みで愛猫と頬を寄せ合い口元に聖女のような笑みを浮かべた美しすぎる推しに頭を抱え、ベッドでのたうち回る。
何も、何もいらねぇ。
顔良すぎ。ホントに人間?
可憐すぎる。
無垢すぎる。
純粋過ぎる。
何これ?
まだ夢見てる?
ううん、違うよ。
夢よりずっといいものだよ。
ああ、もう、貴方が微笑むだけで世界は今日もハレルヤ。
何もいらん。
ヤン・ヨンハ以外なにも。
ヨンハがいる。
今日も私にはヨンハがいるのだ。
これからも私の情緒は彼でぐちゃぐちゃにされるだろう。
彼は私の歓喜、そして苦悩。
彼は私を地獄に突き落とすこともできるが、同時に彼だけが私を天国へ連れて行ってくれるのだ、何度でも、何度でも。
そして愚かな人間は彼の天国へは行けない。
そこには愛だけが必要だから。
思う存分振り回して。
ヨンハの望むこと何でもやって。
貴方の望みが叶う世界がホントのいい世界だよ。
さあ、投票して、検索して、閲覧して、上げ記事にいいねしにいかないと。
でも、もうちょっと寝る。
今日はお休みだし、いいお天気だし、母が呼びに来るまではまだこの微睡に浸りたい。
目が覚めたらそこがヨンハにとって素晴らしい世界でありますように。
それだけが私の希望。