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龍種たちの動向とアリカの無双

「お兄ちゃん、昨日からリシャ姉がいないんだけど大丈夫かなぁ?」

「大丈夫だろ リシャは自由に遊ぶタイプだし この世界でリシャは千年も生きてるんだし問題ないと思うよ」

「ええ! リシャって千年この世界にいたままだったの?」

「ああ だから俺はリシャのことは呼び出してないぜ」

「前、呼び出したって言ってなかった?」

「あれはデイに関してってことだ」

「マジか  初耳!!!」

「…えっとそれで僕たちはどこに向かってるの?」

「あ、言い忘れてたな 父さんの、、死に場所だ   まあ墓ってところかな」

そんな話をしながら、二人はウェジラータの肉体(原初の龍)がある、デスイまで向かう。

はじめから拠点は、デスイまで近いところに作っていたのですぐについた。

「ここに来てもらったのは セリステに『花』があるか調べるためだ」

「花?」

「言い忘れてたな 花は俺が考えた隠語で、父さんの肉体に受肉できる権利のことだ」

「受肉…」

「父さんを生き返らせるには、父さんの肉体に入って たくさんの人間たちの魂をエネルギーに 父さんの魂を異世界から呼び出さなくちゃいけないんだ」

「なるほど、、、分からん!!」  なるほど分からん 再び。

「まあ 父さんの肉体に入れさえすればいいんでしょ?」

「ああ、、、簡単に言うとそうだな」

そのままセリステはウェジラータの肉体の前まで向かう。

その後 セリステは入ろうとするが、何ともならない。

「ごめん... ダメだった」

「謝るな 俺だってできないし 兄弟の誰かが必ず持っている」

「何で分かるの?」

「俺の特殊能力『魂の感知』は兄弟たちの居場所や、意識した人間が勇者もしくは龍種の場合、それが分かる  で、その応用で『花』は父さんの魂の一部だから この世界に花をもつものがいることは最近意識し始めたらわかったんだ」

「でも、兄弟ってのは?」

「そもそも花は魂が薄すぎてどこにあるか感知できないんだ それでも兄弟ってわかったのは 父の遺言だな」


「俺…の 肉体の権は…お前たち子どもに…持たせ…る」

これは遺言の一部である。最後に言った言葉だったのでかろうじてライも覚えていた。 

他は混乱して頭に入ってこなかったのだ。


「なるほど、、 僕たちで絶対に父さんを生き返らせようね!!!」

セリステの言葉に思わずライもジーンとした。

今まで、ウェジラータが死に それと同時にセリステ、トーグも死んだ。

怒ったデイは一人人間に攻めに行って死んだ。

リシャはあれから姿を見せず、最近になって人間たちと仲良くしていたことが分かった。

つまり、この千年間一人でライはウェジラータを復活させる方法を、ひたすら探していたのだ。

「ありがとう」

ウェジラータだけは、異世界から呼び出すのにたくさんの魂を必要とする。

だから人間たちを犠牲にする必要があったのだ。

一人でずっと そんなことばかり考えていたライから自然にこぼれた言葉だった。


その瞬間、ウェジラータの近くが光った。

「っ魔法―-」

いち早くライはきづいて、セリステを庇うように立つ。

だが幸い、それは杞憂だった。

「何だ?これ?」

光ったところには『龍種に関する魂の魔法に対する量について』と書かれた日記のようなものがあった。

「何?これ?お兄ちゃん」

「何かの発動条件があってこの魔法が発動した 何が発動条件だ?」

「父様の肉体半径二十メートル以内に三体の龍種が入る ってところかしら」

「リシャ!!!」

「リシャ姉!!」

物陰からリシャが姿を現す。

「どこ行ってたの? リシャ姉」

「……逃げるつもりだったわ 兄様たちから 私は人を殺さない」

「は?」

ライがそんな声を漏らす。

続けて言葉を言おうとしたリシャは、悲痛なライの顔を見て言葉を詰まらせる。

「…なんでだよ!!!!   あいつらは父さんを殺したんだぞ!!!   意味が分からないよ... 人間たちと仲良くしてたのも なんでなんだよ!!!!」

ライが叫ぶ。

「父様は遺言で 人間たちと仲良くしろって そう言っていたわ だから私は仲良くするの!  父様を生き返らせるためだとしても、人間を殺すなら 私は兄様たちの仲間ではいられない」

「何を...」

ライはただ無言になる。

重い沈黙を破ったのはセリステだった。

「お姉ちゃんのバカ!!!  兄ちゃんの苦労も知らないくせに簡単に 仲間ではいられない だなんて言うな!!! バカ!バカ!最低野郎!!!」

最後はやけくそだった。でも、心が読めるセリステには容易に想像できたのだ。

自分がたくさんの異世界を回っても知らなかった情報を、魔法の発展が遅いこの世界で見つけ出した、ライの努力を、孤独さを。

そんなことも知らずに父の仇どもと仲良くしていて、おまけに敵になるかもしれないなんてセリステには許せなかったのだ。

「分かってるよ... そんぐらい っ――セリステのバカ!!!」

そう言ってリシャは行ってしまった。

(最悪の場合でも、俺の特殊能力でリシャはなんとかできる、、、そうだよな 俺の作戦なんて いやそもそも俺にみんな(兄弟たち)を説得できるんだろうか)

ふと、頭には過ぎし日の記憶がよみがえる。

「お前はこれからたくさんの兄弟たちのお兄ちゃんになるんだ みんなを守れるかっこいいお兄ちゃんになるんだぞ」

ウェジラータが言った言葉である。まだライしかいなかった頃の話だ。

(お兄ちゃんの心が... 僕はいつも無力だ  今もただ怒ることしかできないなんて  僕は、僕は、、)

「ごめんな セリステ 俺はみんなをまとめられないみたいだ」

「あ――」

謝らないでよ と言うつもりだったが、セリステはやめた。

「大丈夫だよ!!! 僕はずっとお兄ちゃんについていくから!!! ずっとだから!!!  きっといつか家族がまとまる時が来る!!! 絶対に!!!」

途中からセリステの目から涙がこぼれ落ちる。

「っ――そうだな!!! 絶対に父さんを生き返らせるぞ!!!」

そういうライの目にも光るものがあった。  千年ぶりの、、、涙である。


*****  ****  ****  *****  ******  ****  *****


「それで 父さんは誰にころ、、されたんですか?」

貴族間の会議でベースが質問する。 ちなみに王は王子が大人になるまで力のある貴族がなるそうだ。

「白髪に メガネをかけた、 もういいなシラクス国国王、ベルターだ」

「そうですか」

ベースの隣のマイクはこぶしを握り締めている。


憩いの場で、、、

「父さんは、ベルターに殺されたみたいなんだ」

ベースが言う。その場にはマイクとアリカがいた。

「私、、の父です」

考える間もなくアリカがつぶやいた。

「うん、知ってた」

「俺も~~」

「え?は?え?は?え?は?は?」 驚きのあまり一種の歌らしき行為ことをしてしまうアリカ。

「アリカって名前と、白髪なのと目が赤いのはシラクス国の王族だけじゃね」 とマイク。

そう、あのバカなマイクでさえきづいていたのだ。

「まあ、僕は十三王女が行方不明ってところから一目でわかったけど」

「でも、王族も中二病になるんだね~ww」 マイクは爆笑しながら言う。

「まあ、中二病だけじゃなく 変人の気質の方が多いまであると思うけどね」 

そこにベースが付け足した。

「でもなんで殺さなかったの?」

「アリカはスパイじゃないと直感で思ったんだよな」  マイクが言う。野性的本能だろうか。

「まあ、スパイじゃなくても普通正体を隠すし、アリカにスパイが勤まるとも思わなかったからね」

「それってどういう意味!!」

そうアリカは怒るが、その顔は喜びに満ちていた。  また日常が戻って来たのだ。

「私、、行ってくる」

そうアリカは言うと、サッと立ち上がってシラクス国に向かった。

さあ、戦闘開始だ!!!


アリカはシラクス国との国境に急ぐ。

もう不安なんてなかった。(はじめから無かったが。) アリカによる本当の無双が始まった!!!

「っ アリカが一人で攻めてきただと、、、ふっ やっと降伏する気になったのか」

そうベルターは言うと、国境付近まで向かった。

「アリカ、やっと降伏する気になったか  それともお前だけ逃げてきたか?」

「残念!! ハズレ〜〜  自意識過剰 乙!!!」

ここぞとばかりに煽るアリカ。  そしてなぜなのかその挑発に乗ってしまうベルター。

「あ゛? お前くらい簡単に殺せるんだぞ?  それとも今殺してしまおうか」

「いいねぇ  殺してやるよ    六割」

アリカはありかの魂とアリスビーンの魂の割合を好きに変えられるようになっていた。

アリスビーンの魂が多いほど強く、体力を使うので使い分けていたのだ。(ちなみに通常は、五割です)

「ウォーターサンダー」

雷を伴った水での攻撃である。

「グッはああああ」

瞬殺☆とでもいいようか、その瞬間にベルターの息の根は止まった。

(あははっ 弱っ) 

アリカはハッとした。

(危なかった、、、今のはどう考えても 竜種の本能、、、)

竜種の本能は、過去に関係なく人間への憎悪を向けるというものだ。ベルターは勇者ではないが勇者ならばもっと憎悪を向ける。もちろん勇者の本能もそんな感じである。

(五割、、、)

いつものアリカにもどった。

(さて、後片付けと行きますか)

「ここの王殺したから」

そう言ってアリカはベルターの頭を持って、騎士団に会いに行った。

「っベルター様、、、」

「安心って言ったら何だけど、、、この国の人たちには不自由がないよう、できる限り取り計らうわ」

「っ――― 覚えています アリカ王女ですよね、、、 今考えたんです ベルター様が死んでも悲しくなかった それどころかやっと開放されたんですねってそう思った  私はもうベルター様を理解できていなかったんだ いつからかベルター様は変わった  ありがとうございます 王女様」

そう言って騎士団長は泣き崩れる。

それがアリカからの故郷への情であり、けじめだった。 

これからアリカは、アーベルカ王国の人間として生きていくつもりだ。

「…礼はいらない 私はもう帰るからな」

そう言ってアリカはアーベルカ王国に帰ったのであった。


「お~い!!!  ベース~  マイク~  シラクス国に勝ったよ!!!」

「よっしゃあ!!ナイス!!!」  純粋に飛び跳ねて喜ぶマイク。

「は???」  理解が追い付かないベース。

「ベルターを倒しました!!!」  両手で大きなピースをしながらアリカが自慢げに言う。

「え?は?え?は?え?は?は?」   再び。王国で流行っているのだろうか。

「ベース!!! やったな!!!」   飛び切りの笑顔でマイクが言う。

「ふっ  そうだな」

「よおおおおおおおおおおおしゃあああああああああああ」三人が声を合わせて言い合った。

雲一つない青空に三人の笑い声が響いたのであった。


~本編にはない細かな情報~

龍種たちは、自分の得意な (例:セリステなら水) 分野以外や広範囲の魔法を、魂を消費することで賄っています。

また、他の者の魂でも代用可です。


プロフィール

ライ  黄色い髪の男。精神年齢は十五歳。

セリステ  青い髪。 精神年齢 十二歳。

リシャ  緑色の髪。 精神年齢 十四歳。

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