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ベースの学校大潜入

ベースが先生に言われて座った席はリカコの隣(アリカの二つ隣り)だった。

どうやら席が余っているのは後ろしかなかったようだ。

「ねぇねぇアリカちゃん、あの人も貴族かなぁ?」

「えっ私が貴族なの確定事項になってる?」

「当たり前じゃん、隠したかったの? まさかねそんなアリカちゃんが演技下手なわけないもんね」

「ギィクッ も、もちろんだよ て、てかきっとあの人も貴族なんじゃない?」

(てか第二王子なんだけど。 さすがに言ったらヤバそう)

「ねぇそこの ヤ、ヤベーマス=ヤマナシ君? 名前の癖強っ じゃなくてもしかして貴族?」

(ここで貴族と言えばあいつら(アリカとリカコ)にバレる可能性が高まるな)

「いや、僕は地方から最近こっちに越して来たんだ 4月まで待てばいいのに親がどうしてもって言うから今来てる まあ結局、引っ越しの後始末を手伝わなくちゃならないから二日に一回休むことになるんだけどね」

もちろん口から出まかせである。しかも即興の。

(何っ! こやつ、家の手伝いとか聖人すぎる 非の打ち所がないから煽れない!)

リカコ瀕死の危機に陥る。

自主的に学校に来ているのなら良い子ちゃんだと煽れたのにそれもできないから困っているのだ。

地味にリカコが故意に痛いところをついていたことは驚きだがきっと天罰が下ったのだろう。

まあリカコはヤベーマス=ヤマナシの圧倒的名前の癖の強さを忘れているのだった。


「あの、、だからこの街について教えてもらえないかな? 今日は一日空いてるから、学校が終わったら街を案内してもらえると嬉しいんですけど」

これまた即興で街を調査する大義名分をつくるベース。

「いいよ♪ね?アリカちゃん、私四時半から店番しなきゃいけないんだけどその後頼める?」

「いいよ!!」

(王子に媚び売って給料アップを目指すか うっししし) いい返事とは裏腹に腹黒いアリカである。

「ありがとう これからよろしくね」

そんなこんなでベースの学校大潜入が開始したのだった。

その日、ベースはどこからどう見ても「無双 (ガチ) 」だった。

自主的に手を挙げて完璧に答えたり、プリントをサラサラと誰よりも早く終わらせたりとさすがのアリカもビックリだった。

(この私でも43+56ぐらいは手こずった問題を一瞬で!?)

ついにアリカの無双(気分)もなくなり、踏んだり蹴ったりのアリカだった。


    まあそんな感じで学校が終わった。

「えっと、、ここが私の家でそこが雑貨屋で、、ってそういえばアリカちゃんってどこに住んでるの?」

「ギクぅ じゃなくて、その雑貨屋です」 謎の敬語でアリカが答える。

そうアリカが見つけた安い宿屋とは、雑貨屋への泊まり込み(居候)だったのだ。

「ここ!?」  この声はリカコだけではなくベースも発した声だった。

きっとアリカのツッコミどころの多さから、ベースでさえも突っ込むのを耐えられなかったのだろう。

「ゴホンッそれよりそろそろ四時半だがリカコさんは大丈夫か?」つい突っ込んでしまったと思いながら、ベースは無理やり話題を変えて言った。

「そうだった!!アリカちゃん後お願い!!」そう言ってリカコはさっそうと目の前の八百屋に入って行った。

「じゃあ行きますかって言っても私この街のこと何も知らないんで、どうします?」

「どうしますって言われても、、そうだこの街で暮らしていくうえで気を付けなくちゃならないことを、教えてくれないかな?」 またごく自然に街の調査に役立つよう話を持って行くベース。

「それなら、雑貨屋のカシワダさん(店主)が言ってた、裏通りかな」

(発展する裏で治安が悪いとこらがありがちだって言うし、そんな感じか?)

そう考えながら、ベースはアリカについていく。

裏通りにつくとアリカは言う

「ここ!幽霊が出るらしいよ だから通らない方がいいんだって」

(そんなことかよ)

「この道、ずっと行くと弱いこの国の軍育成所に行けるから いつか整備されないかなぁ 王子のあなたからも王様になんか言ってみてよ」 そうアリカは言った。  

ベースの正体に気づいていることが明らかになってしまった。

これは半分わざとである。それとなく正体に気づいた、有能アピールである。しかし、、、

すぐにベースは背中へ手を掛ける。服の中に隠していた刀を取り出す。

刀をとるとアリカの首に押し付けながら壁に押し付ける。まだ力を入れていないが力を入れればすぐアリカはあの世行きだ。

「え?うわーっなんだよ離してえええええええ」 アリカが喚く。だがここは裏通りであり人いなかった。

「何で知っている!僕が王子であることを!!」

「そ、そんなことより私、この国の魔法使い!! 人手不足なんでしょ てかなんで私殺されそうなのよ!!」

「僕の正体を知ったからだ。他国にこの情報が漏洩するよりはお前を殺す方が、リスクが少ない」

(え なんで私がこんな目に。。こんなことになるなら―)アリカは涙目になるそして感情が高ぶる。

すると、心臓が高鳴り、顔から血の気が引く。そして

(わたくし)を殺せると思っているのかしら?この雑魚が!!」

恐ろしく冷たい目で、怖いほどきれいな声でアリカが言う。そしてそれには背筋が凍るようなの殺気が含まれていた。

「何を―」ベースが言い終わる前にアリカのけりが腹にあたって、気を失う。

「な、なにが起きたんだ?」アリカだけが、何もわからない。なぜ自分がさっきのことができたのか、意識があったが、まるで一度別人になったような感覚だった。

「あーどうしようあーあーあーあー反逆罪で捕まらないよね?」

アリカ、パニックになる。

「クッ 痛い、、なに…これ…」 耐え難い腹痛である。 腹をえぐられるような痛みだ。

アリカはそのまましゃがむ。数分ぐらいそうしていた。

すると目の前に青い光が見えた。その光はアリカの魂を引き付けた。

それは()()()アリカにしか見えない光だった。

そこにアリカが触れようと手を伸ばすと下のレンガの道が開く。

(っ魔法――)間違いなかった。それを仕掛けたのは誰だったのか。アリカにはまだ知らない。



ついたのは下水道?のようなところだった。違うのはきれいな水が流れていて、すべてレンガでできているところだった。 前に少し行くと梯子があり上に行けそうだ。

(このままいても反逆罪、王族拉致罪になるかもしれない  ならここから出るのが先決か)アリカは好奇心旺盛な主人公でも、男にモテモテな恋愛小説の主人公でもない。 

アリカの判断基準は自分が生きられるかどうか ただそれだけなのだ。しかし...

足元を見るとなんとベースの姿が!!

「えっ死んでないよね?   やばい...」

「うっうう」 ベースは生きていた。たかが一メートル落ちただけで王子は死なない。

そこでアリカは、梯子を上ってその上までベースを連れて行けば、起きた時夢だったと勘違いして助かるんじゃね?という半現実逃避気味な考えを思いつく。

思いついたらすぐやるのがアリカのポリシーなので、 ベースの服の襟をつかんで梯子まで行って外に出た――

そこには驚きの光景が!! 

緑の芝生が広がっていたのだ。  でもそれだけではない。なんとマイクがそこにいたのだ。



時は三日前に遡る。マイクは貴族学校のテスト勉強におわれていた。

貴族学校はただの勉強だけでも難しいのに、細かな礼儀などもテスト範囲であり、いつもマイクは赤点を回避するので精一杯だ。ブールスでもメイドでも騎士でも目が会うたび、「テスト勉強、はかどってますか?」と聞かれるほどである。だから、マイクは休みを欲していた。

そんなある日、マイクは青い光を目にする。城の中庭でこっそり休める場所を探していた時のことである。

ふれるとアリカの時と同様に魔法が発動し、植木と植木の間に道ができる。

(こんなに大きな魔法が、しかも手で光にふれることが条件で発動するなんて こんなことが可能なのか?)

そう考えながらマイクはその道に入っていく。そして出た先に今アリカ達がいる、緑の芝生が生え心地よいそよ風がふく、完全に魔法によって隠された、(サボり場)に出たのである。


その日から休憩に(サボりに)いつもマイクが庭に通うようになって、今に至る。


(えっえーー なんか来た!!なんか芝生が開いてアリカとベースが来たんだが  いやそれよりサボっていたのがバレてしまう!!!   うわあああ)

ここでマイクに天の鞭。自分でもサボっていることを自覚していたようで、絶望モードである。

一方アリカは

(えっえーーなんかマイク(王子)いるんですけど は? ヤバいどうしよう あああああ 終わった…このままマイクに取り押さえられて殺されてしまう!!!)

さすがのアリカも自分の不幸を嘆く。少しアリカのこのテンションには慣れてきたが、こちらも絶望モードである。

それに追い打ちをかけるようにベースの意識が戻る。 ベースは腹をおさえながら

「どこだここ... いって―――」

(いやあああああああああ 終わったあああ)アリカ、死亡確定!!!

(うわああああああお前は起きるなあああああああ)マイク、死亡確定!!!

言い終わる前にベースは思い出す。 アリカを殺そうとして返り討ちに合ったことを。しかし今、ベースにとって重要なのはそんなことではなっかった。

そこにはマイクがいたのだ。

(マ、マイク!?何でここに... マイクに、アリカに正体を見破られただけでなく、口封じに失敗し気を失ったことを父上ばらされれば、もう潜入捜査に行けない!!! しかも一生そのことをいじられそう... っていうか情報量が多すぎる!!)

意外にもベースも(アリカほどではないが)絶望モードである。

そこに沈黙が流れる。未だにアリカとベースは自らの不幸を嘆いたり、これから起こるであろう悲劇を想像したりしていたからだ。※マイクは何も考えずボケーッとしています。(戦意喪失)

そしてその沈黙を破ったのはマイクである。

「えっと、、なかったことにしません? 今の全て」

(いいの????え エ 絵 よおおおおおおおおおおおしゃあああああああああああ でも何で?  いやマイク様! 神様仏様マイク様! ありがたやありがたや 一生崇拝します!!) アリカはとにかく喜んだ。そして

「もっちろんです!! ()()なかったことにしましょう!!」

(なんかあっちも事情ありそうだけど結果オーライ!! よっしゃー)

とマイク。アリカはじっとベースを見て、無言の圧をかけてみる。

「ま、そうだな しかたない なかったことにしてやろう」

(よっしゃああああ、余裕を持ちつつなかったことにできた!)

ちゃっかりベースは抜かり無い。

(え?いいの?なんかよくわからないけど いえええええエイ) アリカは今日も九死に一生を得たのであった。


そんなこんなで今回もアリカは生き残ったのであった。

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