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アリカ、学校へ

「お前、名は何という?」


唐突に呼び出され、マイクにそう言われたアリカはビクッと体を震わせた後


「ア、アリカと申します」と答える。


もしアリカが通常運転なら 我が名はアリカ。前、名乗ったはずだが覚えていないとは。 とお前呼びかよなどと考えながら言っただろうが今回はさすがのアリカでも命の危機を感じ取った。


(あぁきっとベース王子に何かあったんだ… 風邪だと思ったんだけどな)


あの後アリカは解放され、アーベルカ王国の商業をマイクからもらったお金で満喫していた。


城に呼び出された時点で自らの失敗を感じ取っていたのでいつになく弱腰で中二病を忘れている。


ついにアリカのインチキがバレた‼  って思うよね?


「あぁそうか前聞いていたのに忘れていた 申し訳ない  …さて今日呼んだのはお前を正式に城の魔法使いとして雇うことに決まったからだ」


そう言ってマイクはさっきアリカに名前を聞いて書いていた書類を渡す。


名前を聞いたのは、罪人として罰するためではなく雇用契約書を渡すためだったのだ。


するとアリカもすっかり元の中二病に戻り、胸を張って


「この私の真価を見抜くとはな 精一杯、働かせてもらうぞ」と答えたのだった。


(よーしゃああああ 仕事ゲットしたぞ‼)と考えるアリカ。


シラクスでは王女だったアリカだが、それ以外に自分の価値は有るのだろうかとときどき考えるときがあった。


アリカがアーベルカ王国に来た理由は親への復讐、束縛からの脱出の他に自分の力を知りたいという中二じみた考えもあったのだ。


「では早速、訓練して来い」


(?)   アリカ混乱。


「く、んれ、ん?」 それもそのはずアリカは魔法使いは高収入で、ほとんど働かなくてよい楽な仕事だと思っていたからだ。


「そうだ。訓練が終われば戦場で戦ってもらうんだが、、あいにく人手不足でな  自主練習になるな、   あと、君が戦場に行ったところでできるだけ時間をかせいでもらうだけになるから気を付けておいてくれ」


アーベルカ王国では色々な商品を現地から格安で輸入して売っていた。また、近くに綺麗な海があるので観光客が多かったのだ。だが今は戦時中という事でそんなものはなく、すべて国内でまかなっているのだが、すると第一次産業の人口が増え、必然的に人手不足になっているのだ。


「せん、じょ、う?」


「まあそう焦るな 今は週1ぐらいでシラクス軍が攻めてくるだけだ」


それくらいのことはアリカも知っていた。シラクス国の科学力、人口の多さは世界随一であり正直その他の国は、アーベルカ王国も含め団栗の背比べで、シラクス国は無駄に国力を使わずにアーベルカ王国を降伏させようとしていたのだ。


「ファッ 戦場だと、、え、、、」


アリカが戦場に行くというのは全くの想定外だったのだ。だが無駄に中二病でプライドが高いアリカは断ることができなかった。   完全なる自業自得だ。全世界の人がそう思うだろう「はい乙」と。






と、いうことででアリカは正式に魔法使いとして働くことになった。


しかしアリカが思っていたよりも、魔法使いはブラックだった…


まさかの働いた日(週1)しか給料がもらえなかったのだ。


「普段はいつもどうりに過ごせばいいぞ」 マイクに言われるがそこでアリカはハッとする。


(ヤベ、、金がない‼  食費は?副業しなきゃなの?  てかこの国の学校行くべきかな?いや学費が、)


相当バカなアリカだ。


ここに来るまでに約五万円相当のお金しか持って来なかったのだ。


   …その日、アリカは血眼になってやっとのことで副業と安い宿屋を見つけたのだった。


    ちなみに訓練のことは聞かなかったことにするらしい。






      ~次の日~


アリカは商店街の一角にある雑貨屋にアリカ=ヤマダとして勤めることになった。


思いのほかアーベルカ王国ではシラクス国の常識が役に立った。


カランカラン「今から 抽選を始めまーす」


シラクス国ではいつものことだったがそういうものが役に立つのだと実感したアリカであった。


新入りの意見でもいいと思ったことは採用する、気のいい店主だった。


ある日


「ねえ、ヤマダさん いつも働いてくれて嬉しいけど(※アリカはまだ2日しか働いていません)多分だけど中学生よね? 学校は大丈夫なの?」


と店主に聞かれた。


アリカは学校のことも忘れていたことにするつもりだったが、いざ聞かれると言葉に詰まる。


しかしアリカは気付いたのだ。


(ん?待てよ?ここアーベルカ王国でなら学校で無双できるんじゃね)


思い立ったら吉日というが本当にアリカはその日のうちに入学手続きを済ましてしまった。


「えっ保護者ですか?えーとっ えー まあー そのー、、、 おっお金はいくらでも払うので入れてください‼」


「いや、義務教育なのでお金はいらないよ  これからよろしくね」


(えーお金いらなかったの!?) 


そうアーベルカ王国にも義務教育制度があったのだ。 だが、このままだと学費の為と汗水たらして働いた意味がなくなるのでアリカは


「いえいえ、どうかお金をもらってください‼私の為と思って お願いしますぅ」と校長に言い寄ったが


「なんだい君は‼ 最近の若者は責任感が強いのか、、、…だが断る!」とあっさりかわされたのだった。


次の日アリカに西のザソイ戦闘訓練場にシラクス軍が来たため戦ってほしいと援助要請が来た。


しかし、、、アリカがついたころにはもう遅かった。


「軍隊の戦闘訓練場を襲うなんてなんて卑怯な奴らだ」けがを負った兵士をが言う。


辺りは荒らされた痕跡があったが幸い負傷者は少なかった。


全員が訓練兵だったからだろうが、もし中心にある街が襲われたらひとたまりもないだろう。


アリカのはあたりを見渡す。教科書のことが現実に起こっているのだと実感し体が震えた。


そして、急に心臓が跳ね上がり全身の体温が上がる。


耐え難い腹痛がアリカを襲う。しかしアリカはほとんど無意識的に痛みを隠して全く顔には出さなかった。


(次はこんなことは起こさない‼どこに来ても戦ってやる  我の力でねじ伏せる)アリカは怒る。


今回はわざと中二病で考えた。そうでもしないと自分の無力さに耐えられなかったからだ。






その夜、ベース第二王子は、戦地ザソイ戦闘訓練所から帰ってきたダンラ現国王陛下に話し始める。


「父上、最近の学校では私にとって簡単な問題ばかりです なので私は街で国の様子を探りたいです! もちろん正体は隠しますし、王族としての仕事もします ですので、街に出かける許可をください」と


「なんだそんなことかもちろんいいぞ‼ では街の学校と貴族の学校を交互に通いなさい その方が面白そうだしな ハハッ  あと成績が落ちたら即無効だからな」


「はい!ありがとうございますありがとう父上父さん」






心機一転次の日からアリカは学校に通い始めた。


「はーいみんな注目~今日からこのクラスに転入することになった、アリカ=ヤマダさんだ みんな仲良くするように」先生が言うとアリカは


「我が名はアリカ。今宵からこの地へやって来た。よろしく頼む」と自己紹介(?)をした。


黒歴史確定だがみんなの反応は…


もちろん「わーかっこいいー」ではなく


「わー変人だー」であった。 入学初日からアリカの破滅は確定事項となったのだった。


席に座ると興味津々で隣の席の子 (リカコというらしい) に質問される。


「もしかして君って巷で噂になってる中二病をこじらせた人? ウケるww あ、あとよろしくね」


最初から情報量が多いがアリカは満足であった。 それもシラクス国の学校を知っていたからである。


シラクスではここまでキャラが濃い人はいなかったし、ここまで自由な人もアリカを除けばほとんどいなったのだ。


アリカは来て良かったとしみじみ思ったのであった。


その日は一言でいうのなら、「無双(自称)」だった。 授業はアリカからして微妙に分かりにくいが47+32ぐらいの簡単さだった。


「アリカちゃん凄いね授業一・度・だ・け・当てられたときすぐ答えられてたもん」※彼女は少しアリカをおだててるだけです。


「ふっふっふ私に不可能などないのだよ ふははは」


「笑い方はキショいけど、アリカちゃん貴族出身?」


(え???? えー何で分かったの?   ヤバイヨ、ヤバイヨ)と考えたアリカのひきつった顔を見て


「やっぱりー この学校は国中のいろんな子が来たりするし時期的に普通、この時期に入学しないもんね!そうだと思った~」※現在2月


(てか何気に中二病をこじらせた貴族ってなんだよ) 心の中で突っ込むリカコであった。


案外クラスになじんでいるアリカだったが次の日驚きの光景を目にすることになる。




「はーいみんな注目~今日もこの学校に転入生がいまーす ヤべーマス=ヤマナシ君です」


「よろしくお願いします 今日から転入することになった、ヤベーマス=ヤマナシです」


そう言った黒髪の知的そうなヤマナシを見るとアリカは今まで


(うっそん~私の転入生という肩書が薄れてしまう  いや名前の癖が強いんじゃ)


などと考えていたのも忘れ、ビクッとした後


(この転入生の目、隙が一つもない) ベルターシラクス国国王やであり、アリカの父マイクを見た時も感じた感覚である。誰にも弱みを握らせない、そんな意志が強く感じられるのだ。


さらにアリカは気付く。


(あぁこいつマイクと同じ…いや家族だな)ちゃっかり王子を呼び捨てしているが、アリカは感じ取った。


目に宿る光だけでなく、何・故・か・同じだという事が肌で感じられたのだ。


さらにアリカは思考を続ける。


(あり得るとしたら、第二王子ベースの潜入、街の偵察といったところかな)


ここでアリカが意外と頭がいいと思いがちだが、マイクとヤベーマス=ヤマナシが家族だと気付いたのはただの動物的勘であり、決して頭がいいわけではないのである。


さらにこの、まるで頭がいいような考え方は探偵ものの物語に憧れただけで一貫してアリカは中二病なのであった。


「ちゃらちゃちゃっちゃら~んアリカちゃんの肩書が変人だけになりました~」リカコが言う。


(もうちょっとオブラートに包んでくれよー)とアリカ。いつもデリケートなところをついてくるリカコだった。




(ぱっと見、貴族学校と変わらないが表情が豊かだな …先生が今日も・と言ったという事は他にも転入生がいるのか?だとしたら会話的にあの アリカ とかいうやつか あいつさっき僕のことを見た瞬間、表情が変わった この時期に入学なんてどこかの貴族か? …!気付かれたかもしれない)


ベース達王子は城にある貴族学校に通っているので、一部の貴族には顔が割れているのだ。


(いや、そんなわけないか  貴族の顔は全員覚えているがあんな顔見たことないし ひどく緊張しすぎると逆にばれてしまうかもしれないな  まだ気にする必要もないか)


そう考えた後ベースは先生に言われた席へ向かう。  その間、


(まあばれても口封じするまで)と考えるベースなのだった。




実はアリカはヤベーマス=ヤマナシベースの正体を知っているわけなので、結局のところ無双しようとアリカが学校に来たばかりにアリカの生存確率が下がっただけなのであった。 もちろんアリカの自業自得だが。






  スペック


  ベース  黒髪、とても頭がいい マイクの弟


  リカコ  茶髪、二つ結びの可愛い顔をしていながら痛いところを突いてくる

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