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「生き残ったのはワシらだけということか?」天源

「そのようです。会長以下34名。ポッドの皆は何者かに殺されました」詩波太

「誰の仕業じゃ?」天源

「悪魔だ。人間にできることじゃない」詩波太

「ゴホッゴホッゴホ、ゥゥ」佐々

「誰だ!?」優斗

「ぼ、ぼく。グォッフ」佐々

「佐々か?」優斗

「はい」佐々

「よく生き残った!手当を」詩波太

「はいっ、おりひめへ!」優斗

「待ってください」佐々

「どうした?」優斗

「見ました。あいつら、腕に”2”とか”5”とか書いてました」佐々

「もういい、あとでいいから。手当を」詩波太

「待って。あと、フードを被った男。見たことない」佐々

「わかったから。無理するな」優斗

「その男が指示していた!隣にいたのは、民事部長と循環次長」佐々

「華仕だと!?」詩波太

「まさか。手弥が!?」天源


 華仕は詩波太の同期、循環部次長の手弥は天源の息子である。


「佐々、よく頑張った、よく頑張った」優斗

「お、にぃ、さ、、、」佐々

「佐々くん、ありがとう」詩波太

「バカ息子め!!才能が無いことは責めない。なぜ?なぜじゃ!!」天源

「落ち着いてください。お体に障ります」詩波太

「こうしてはおれん。車を用意しろ!」天源

「なりません」優斗

「お前たち、ワシの言うことがきけないのか?」天源

「今はきけません」詩波太

「もういい、一人で行く!」天源

「なりません!」優斗

「ポッドの壁に穴が開いたようです。避難船にお乗りください」詩波太




 音は完全に遮断され、避難船は静かだった。

 だが、窓からは崩壊する故郷が見えた。


「詩波太さん。これからはあなたが政会会長です」優斗

「ポッドもない、皆もいない。僕は政会会長じゃない。ただの難民さ」詩波太

「それでも、まとめ役が必要です」優斗

「優斗の言うとおり。詩波太よ、あとは頼む。この老体に、この窮地は荷が重い」天源

「会長」詩波太

「引退する」天源

「ですが、元会長にはお手伝いして頂かねばなりません」優斗

「わかっておる。知る限りを話そう」天源

「お願いします」優斗

「佐々の言ったことが本当ならば、首謀者は他のポッドの人間じゃ。次期政会会長に指名された詩波太に嫉妬する華仕を唆し、馬鹿な手弥を利用した。

かなり周到に計画されておる。目的はまだわからんが、壊したのだ。第6ポッドが欲しかったわけではなかったのだろう。

腕に"2"とか"5"と書かれていたと言ったな。そやつらは奴隷じゃ。噂に聞いたことがある。第2ポッドの政会会長、出不刀は身分制度をつくり、人間を分けた。聖者、市民、奴隷にな。

おそらく第5ポッドは、出不刀に支配されたのじゃ。大会議に来た第5ポッドの面子は一新されていた。

内部に裏切り者をつくり、支配させ、その上から支配する。出不刀の考えそうなことじゃ」天源

「このままでは、生き残った我々も殺されることになりましょう」優斗

「おとなしく殺されては、死んだ皆に顔向けできない」詩波太

「秩序を取り戻さなければ、この先、どれだけの人々が虐げられることになるか」優斗

「できるか?」天源

「恨みに任せて罪を犯すことは許せませんが」優斗

「義があるのはこちらです」詩波太

「うむ。頼んだぞ」天源


 詩波太は皆の方を向いて大きな声を出した。


「皆、聞いてくれ。只今をもって、詩波太が政会会長となった。必ず元の暮らしを取り戻してみせる。だから、どうか、耐えてくれ。僕と優斗に任せてほしい」詩波太

「お兄ちゃん、何する気?」羅衣

「俺と詩波太さんで、新しい居住地を手に入れる」優斗

「他のポッドにお邪魔させてもらえないのかしら?」史由江

「それまでは奴隷として扱われるだろう」詩波太

「あなた。寿亜とお腹の子は何があっても私が守ります」季理

「すまない」詩波太

「優斗さん、必ずまた会えるわよね?」乃々

「もちろん」優斗




 しばらくして、第6ポッドは大きな火達磨になって、廃墟と化した。

 奇しくも生き残った者は34名。愛する者とともに死ぬことを選んだ者もいた。

 避難船に逃れたのは、全部で10人しかいない。




 第6ポッドの避難船は、第5ポッドへと向かった。その途中、第2ポッドの輸送船に回収された。


「おやおや、皆さん。運が良かったですねぇ」円土

「やはり貴様らの仕業か」天源

「いったい何の話ですかぁ?」円土

「お前たちが第6ポッドを!とぼけるな」天源

「いやいや。大会議からの帰路を少しばかし変えたんですよ。たまたま通りかかれば、第6ポッドが大変なことにぃ」円土

「おのれ!!」天源

「やめなさぁい。おとなしくしないと、助けませんよぉ」円土

「ワシらは第5ポッドへ行く」天源

「ダメ、でーす。第2ポッドで保護すると、政会会長たちが話し合って決めましたのでぇ」円土

「ワシは反対じゃ」天源

「さっきからうるさいですよ、ご老体ぃ」円土

「第6ポッドの政会会長だ。貴様、立場を弁えろ」天源

「アハハァ!?引退したでしょう?しかし、お姿が見えませんねぇ。詩波太くんと優斗、くんでしたかぁ?」円土

「死んだよ。貴様らのせいでな」天源

「それは残念。一度お手合わせして頂きたかったですぅ。彼らはそうとう優秀と聞いておりましたのでぇ」円土

「円土さん。そろそろ」比絵豆

「はーい。じゃあ、みなさん。おとなしくしておきなさいよぉ」円土

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