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3ー5
「じゃあわたし、さっき一緒に人間やろうって………お時ちゃんに………」
「有希奈………」
「謝らなきゃ!」
俺達の沈黙を破ったのは有希奈だった。
歯を食い縛るように力んだ表情で居間を飛び出していった。
「ほっときなさい」
思わず、といった感じで健信が立ち上がるが、教授が声をかけて止める。
「たぶんあの子なら大丈夫だから」
「………そうですね」
健信は話しかけた教授の方へ向き直る事なく、有希奈が出ていった扉を見つめていた。
俺の座る位置からは背中しか見えず、健信がどんな顔をしているのかわからなかったが、初めて聞く声だった。
教授はそんな健信を見て、1度肩を竦める。
「あなた達はそろそろ帰りなさい。花火デートの件は後で連絡させるから」
「デートって………」
教授はいつものイタズラっぽい顔で俺をおちょくると、ローテーブルの上の食器を片付け始めた。
その時、少しだけ教授が覗かせた表情は、やはり見たことのない物で………
俺は反論の言葉を見失ってしまう。
「わかりました。光誠行こうぜ」
「ちょっと先に行っててくれないか? すぐに追いつくから」
「はいはい」




