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体育館まで歩いた歩いた。
距離はそんなにないんだけれど、暑いし階段あるしでとてもしんどい。
私、普通にしんどいんだけど、雫ちゃん、なんでそんなにケロリとしているの?
「私は体力つけるために水泳やってるからね」
なんやて、工藤。水泳やってるのか。
私も体力つけるためになにか運動始めようかなー?
「それより。もう来たよ、男の子達が。だから静かに!」
私の口を塞ぎながらそういった。
塞がれてたら、私何も言えないんだけど。
モゴモゴする麗華をスルーして、
「あ、あれじゃない?」
と指さす。
うわ、めっちゃ久しぶりにみんなを見た。
幼稚園は一緒だったけれど、小学校校舎別々だと、なかなか見る機会がないんだよなー。
みんなイケメンへの卵って感じでめちゃくちゃ美少年が多い。
ほら、あの子。ほらあの子も!
「みんな顔が綺麗だね。」
「何言ってるの、麗華ちゃん。そんなこと分かりきってるじゃん。」
失礼致しました。
やばい。イケメンだ。どうしよう。
また鼻血でそう。
眩しい。キラキラしてる。
こんなに美少年たちを拝める機会なんて、もうないよ。
拝んでおかないと。
「なむなむ」
そんな私を雫ちゃんが冷めた目が見る。
「拝んでるけど、麗華ちゃんどの子かわかった? あの子だよ。水色の靴下の」
あ、あの子が、熱海凛!
うわ。めっちゃ見た事ある。
そりゃそうか。幼稚園一緒だったもん。
うわ。かっこいい。王子様みたい。
あ!! くるみちゃんの攻略対象のひとりだった。
うわ、名前を聞いても顔を見ても直ぐに出てこないなんて、危機管理能力無さすぎでしょ自分。
もし、近づいて好きになっちゃって、くるみちゃんも凛のこと好きになっちゃったら、私に残された道は破滅しかない。
いーやーだー!!
ダメだ。直ぐに帰ろう。
「雫ちゃん、私帰る!」
「え。もう少しいようよ。」
「ううん。帰るよ」
とりあえず、頑張って見つからないように女子の校舎に行こう。
頑張って走れー! 私。
「麗華ちゃん。先いくねー」
涼しいかおしてやっぱり雫ちゃんが先に行く。
ぐぬぬぬ。お主、先に私を置いていくのか。
やっぱり、なにか私も運動を頑張ろうかな?
ちなみに授業をサボったことに関しては、お腹痛くて……。
と先生に言ったら余裕で許して貰えた。
やっぱり可愛いって素晴らしい。