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「海人くん。勉強教えて、私に」
「急ですね。いいですよ。」
まぶしい。イケメンがまぶしい。
ほほえみの後ろにきれいな光がさしている。
そんなにまぶしい笑顔でこっちを見られると
カァァァァァ
麗華の顔が赤くなる。
だめだ。彼のお顔がかっこよすぎる。
とりあえず、顔を見ないようにしよう。
「私、今日全然授業がわからなかったの」
「算数ですよね。どの範囲ですか?」
「えと、割合! もうね、全然先生が何言ってるかわからなかった。」
というと、さすがの海人も笑顔のままで固まった。
「えと、じゃあ、まず教科書を開いてください」
おとなしく、教科書を開く。
割合のところを開いた。
「まず、麗華お嬢様のわからないところがどこなのか知りたいので、この問題を解いてみてください。」
そういって指をさされたのは教科書の練習問題2番。
おとなしく、問題を読む。
時計の針が進む音だけが聞こえてくる。
だめだ。わからない。
麗華ちゃーん。あなた本当に勉強してこなかったのね。
大人だったんだから解けるでしょ。
とか、私も授業を受けるまでは思っていた。
しかし、どうもこの世界はそんなにうまいこと言ってないらしい。
知識は麗華ちゃんがどれだけ、今までどれだけ勉強してきたかということに完璧に依存している。
こりゃだめだ。
どれだけ読んでもわかんないや。
「わかりませんか?」
「うん。わかんない」
ううう。こんな簡単であるはずの問題が解けないなんて申し訳ない。
勉強はあきらめて、別の方法で、くるみちゃんに勝つしかないかな?
そんなことを思っていたけれど
「わかりました。では、こちらから勉強しましょう」
そう言って、出してきたのは、なんと
小学1年生の算数の教科書だった。
うそでしょ。
仮にも一度義務教育を終えた私が、もう一度小学生の算数からやり直すなんて。
いいわ。頑張ってやってやるー
そうやって、勉強すること1時間。とりあえず、1年生の範囲までの勉強は終わった。
終わったー。もうへとへと。
もうめちゃくちゃ驚いた。
なんて言ったって全然できなかったんだもの。
私もめちゃくちゃ驚いたけれど、きっと海人君なんて、こんなに出来がわるくてきっともっと驚いていたでしょ。
私は、もう疲れた。
「もう勉強疲れたー」
「麗華お嬢様。勉強は継続です。復習! めちゃくちゃ大事ですからね。」
もう、そんな笑顔で言われたら、いうこと聞くしかないじゃん。
イケメンの笑顔に弱い自分がつらい。
そんなに微笑んでくれるなら、私勉強でくるみちゃんに勝てるように頑張ろうかな。